ガラスの作り方|自由研究にもおすすめ!ステンドグラス風工作作り

公開日: 2022/12/28

わたしたちの生活のあらゆるところで見ることのできるガラス。みなさんは、ガラスがどんな材料を使ってどのように製造されているのかを知っているでしょうか。古くには紀元前1世紀前からすでに存在していたガラスは、今では機械を使って大量生産できるようになっています。この記事では、ガラスの原料や作り方についてわかりやすく解説します。また、ガラスを使ってできる工作についても紹介しますので、夏休みの自由研究などでぜひチャレンジしてみてください。

目次
ガラスは何から作られているの?
基本的なガラスの作り方を知ろう
ガラスから作られる工芸品について
ガラス絵具でステンドグラス風工作
ガラス製品を知って科学について学びましょう

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ガラスは何から作られているの?

ガラスの主な原料は、珪砂(けいしゃ)とソーダ灰、石灰石です。これらに、ガラスを頑丈にするための素材や、ガラスに色をつけるための素材を加えます。

・珪砂

珪砂とは、二酸化炭素を含む「石英(せきえい)」という鉱物をくだいてできた砂のことです。珪砂は決して特別な物質というわけではなく、例えば公園の砂場の砂などにも含まれています。砂場の砂を観察したときに見られる、透明できらきらと光る砂の粒が珪砂です。珪砂は砂でなく石のかたまりとして掘り出されることもあり、これを「珪石(けいせき)」と呼びます。

・ソーダ灰

ソーダ灰とは、「無水炭酸ナトリウム」のことです。もともとの原料は、ソーダ灰という名前に「灰」という文字がつくことからわかるとおり、草木を燃やしてできた灰でした。現在は塩を原料として作られています。ソーダ灰は白色の粉末のかたまりで、比重の軽い「軽灰」と比重の重い「重灰」の2種類があり、日本ではほとんどが重灰です。ソーダ灰の半分以上がガラスの製造原料として使われています。

・石灰石

石灰石は、炭酸カルシウムを含む「方解石(ほうかいせき)」という鉱物からできている石灰岩から採取する鉱物です。身近なところではチョークにも使われています。石灰石は、代表的なところでは山口県の秋吉台や福岡県の平尾台、岩手県の猊鼻渓(げいびけい)など、日本全国200ヵ所以上の鉱山で掘り出されています。

基本的なガラスの作り方を知ろう

ガラスは、珪砂とソーダ灰、石灰石を1500~1600度の高温の釜の中でどろどろになるまで溶かし、それを引きのばして作ります。ここでは、ガラス製造の代表的な3つの方法をご紹介します。

・手吹きガラス

みなさんは、水あめのようにどろどろになったガラスの素を円筒の先につけて、職人が円筒の中に息をはきながらガラスの素をふくらませている光景をテレビなどで見たことはないでしょうか。これが「手吹きガラス」という方法で、紀元前1世紀の古代に発明されたガラス制作の方法です。この方法ではたくさんの量が必要なガラス製品を一度に作ることができないため、機械を使って工業用ガラスを作る方法が考案されるようになりました。

・フロート法

フロート法は、ビル窓ガラスや自動車用ガラス、液晶ディスプレイといった板ガラスを作るための、世界でもっとも使用されている生産方法です。フロート法では、大きな槽(そう)の中に「錫(すず)」という金属を溶かし、まだ熱い状態のガラスの素を浮かべます。浮いたガラスは錫の上で平らに広がって、徐々に冷えて固まっていきます。ローラーとコンベアを使ってそのガラスを引き出し、薄くのばすことでフロート板ガラスを作るという仕組みです。

・ロールアウト法

ロールアウト法も、工業用の板ガラスを作る一般的な方法の1つです。2本のロールを使ってガラスの素を上下ではさみ、引きのばして板状のガラスを作ります。また、ガラスの素に金属の網を入れた状態でロールをはさむことで、網入りガラスなども作ることができます。

・その他の方法

ガラスびんを作る場合は別の方法が用いられます。ガラスの素を小さなかたまりにしてから、金属でできた型に流し込むとびんの原型ができます。これを棒状の型で突き上げたり、高圧の空気でふくらませたりしてびんの形ができるわけです。
ガラスがその用途、形状によってさまざまな方法で作られることが理解できたのではないでしょうか。

ガラスから作られる工芸品について

実際に、ガラスから作られる日本の工芸品にはどのようなものがあるのでしょうか。歴史がある代表的な工芸品をいくつか紹介します。

・江戸硝子

江戸硝子(えどがらす)は、東京都の江戸川区や墨田区、江東区などで今も作られているガラス工芸品です。長く東京の地場産業とされてきましたが、現在では都内でも一部の工場でしか作られていません。もともとは18世紀の初頭に中国やヨーロッパから伝来した技術と日本の技術とが組み合わさって生まれました。江戸硝子は「宙吹き」や「型吹き」、「押し型」などの伝統的な技法で作られており、幅広い世代や、海外でも親しまれています。なお、江戸硝子の伝統技術は代々受け継がれており、2014年(平成26年)には伝統工芸品にも指定されました。

・琉球ガラス

琉球ガラス(りゅうきゅうがらす)は、沖縄本島を中心に作られているガラス工芸品です。明治時代中期に始まったといわれており、1998年(平成10年)に沖縄県の伝統工芸品として認定されました。琉球ガラスは「宙吹き」や「型吹き」などの伝統的な技術で作られており、近年では沖縄で琉球ガラスの体験教室なども広く開かれています。琉球ガラスは、青や緑などの鮮やかな色や、ガラスに閉じ込められた気泡、ぬくもりを感じられる丸みをおびた形状などが愛される工芸品です。

・江戸切子

江戸切子(えどきりこ)は、江戸時代の末期から現在に至るまで東京都で生産されている、切子加工を施されたガラス工芸品です。切子(きりこ)とはガラスの装飾加工の方法の名称で、ガラスの表面に溝を入れて磨くことで独特のデザインを施したものです。1985年には東京都指定伝統工芸品に指定され、2002年には経済産業省大臣指定伝統的工芸品に認定されました。

・薩摩切子

薩摩切子(さつまきりこ)は、幕末(1853年~1868年)に薩摩藩(現在の鹿児島県)で生まれたガラス工芸品です。江戸切子と同様に切子加工がなされています。当時作られていたのはわずか20年ほどで、日本の伝統工芸として現代によみがえりました。「ぼかし」と呼ばれる独特の色合いがあるほか、日本で初めて色をつけることに成功したガラスは「薩摩の紅ガラス」と呼ばれ、注目を集めました。

・津軽びいどろ

津軽びいどろ(つがるびいどろ)は、青森の伝統工芸品に認定されているガラス細工のことです。もともとは漁業で使うガラス製の浮き玉を作っていましたが、その品質の高さが評判となって、浮き玉が使われなくなった昭和50年ごろからガラス工芸品を作るようになったことが始まりです。

ガラス絵具でステンドグラス風工作

太陽の光で色とりどりの美しい姿を見せてくれるステンドグラス を、工作で作ってみましょう。使うものは、100円均一ショップで手に入る「ガラス絵の具」です。ガラス絵の具は乾かすと透明になるため、ステンドグラス風の美しい模様を楽しむことができます。

《必要なもの》
・ ガラスの板がついているフォトフレーム
・ ガラス絵の具
・ 紙(フォトフレームに収まるサイズ)
・ つまようじ 2~3本
・ 筆記用具

《作り方》
1.デザインを決めて紙に下絵を描いていきます。「ステンドグラス デザイン」でインターネット検索するとたくさんのデザインが見つけられますので、参考にしてみてください。
2.紙にガラスの板を乗せて固定します。すると、ガラスの上からデザインが透けて見えるようになります。
3.ガラスの上から、デザインの線の部分に黒いガラス絵の具で縁取りを行います。細かい部分はつまようじを使って描くとよいでしょう。
4.縁取りが完全に乾いたら、色を塗ります。
5.全体が完全に乾いたら完成です。

ガラス製品を知って科学について学びましょう

わたしたちの日常にあふれているガラス製品。そのなりたちについては知らない人も多いのではないでしょうか。普段使うグラスやコップなどの中にも、実は歴史の深い伝統工芸品があるかもしれません。また、「このガラスはどうやって形を作っているのだろう」と考えを巡らせてみるのも楽しいでしょう。身の回りのガラス製品をきっかけにして、科学についてより興味を持てるようになるとよいですね。

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