水と油が混ざらない理由を実験で検証!自由研究のテーマにおすすめ

公開日: 2019/06/26

突然ですが、サラダにかけるドレッシングは、冷蔵庫から取り出した瞬間は、瓶の上の方と下の方に水と油が分かれてしまっています。あの現象は、ドレッシングの中に入っているお酢などの水分とサラダ油などの油が分離して層になっている状態です。そして、瓶を上下に思いっきり振るとドレッシングが混ざったように見えますが、よく見ると油が小さい滴に分かれて漂っているだけなのがわかります。そしてしばらく放置しておくと、やはり水と油が分離してしまいます。このように、水と油は通常混ざることはありません。 今回は、水と油が混ざらない理由を実験し、どうやれば混ざるのかなどを調べてみましょう。身近な現象を題材にした理科の自由研究になりますので、小学生から中学生のお子さんにもぴったりです。

目次
水と油が混ざらない理由
水と油を混ぜる実験の手順
水と油を混ぜる実験の参考動画
水と油を混ぜてみよう!自由研究におすすめ簡単科学実験

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水と油が混ざらない理由

・なぜ水と油は混ざらないのか

水も油も、それぞれを分解していくと分子になります。水は水分子同士、油は油分子同士がお互いに引き寄せ合って集まっているのです。この引き寄せ合う力が「表面張力」です。
表面張力が同じ程度の力を持つ液体同士の場合は、混ざりやすいという特徴があります。反対にいえば、表面張力の力に大きな差があると混ざらないということです。実際に水と油の表面張力の力を調べると、水の表面張力の方がとても大きいことがわかります。

・水の表面張力が大きい理由

水と油が混ざらない理由は表面張力の差にあるといいましたが、その差を生んでいるのは水分子同士の結合の特徴にあります。

水分子は、水素原子(H)が2つと酸素原子(O)が1つでできています。水分子そのままでは水の状態になれませんから、お互いの水分子同士が結合する必要があります。分子同士が結合するための方法にはさまざまな種類がありますが、水の場合には電気の力で結合し合います。磁石を例にあげると、プラスとマイナスは引き合ってくっつきますが、同じことが水分子にも起こっています。具体的には、酸素原子がプラスで水素原子がマイナスの電気を帯びていて、それぞれが引き合って結合しているのです。これを「水素結合」と呼び、結合の種類の中でも強い結合をしている状態です。

また、水が凍ると体積が増えてペットボトルなどの容器が膨張したり水道管が破裂したりするのも水素結合のためです。水の状態のときには水分子が自由に動きすき間が小さかったのが、凍ることによってすき間が空いたままになってしまい、体積が増えてしまうのです。

・水と油を混ぜるにはどうすればいいか

では、水と油を混ぜ合わせる方法はないのかというと、あります。
その例として身近なものをあげると、石鹸です。油がついて汚れたお皿や衣服を石鹸で洗うと油が落ちますが、これは石鹸の成分によって水と油が混ざることで汚れが落ちているのです。

石鹸は水と結合しやすい「親水基」と、油と結合しやすい「親油基」の両方の成分をあわせ持っています。水と油と石鹸が混ざることによって、石鹸の親油基の成分は油と混ざり、親水基の成分が水と混ざります。そうして、水と油が混ざるのです。こうした現象を、「乳化」と呼び、石鹸のような役割をする物質を「界面活性剤」と呼びます。

つまり、水と油を混ぜるには、乳化させるための界面活性剤を混ぜればよいということなのです。

水と油を混ぜる実験に必要な道具

・コップ2個
・水
・油
・食紅
・ストロー
・割りばし
・石鹸
・お酢
・卵黄

水と油を混ぜる実験の手順

(実験1)水と油を乳化させてみる

・実験の目的
水と油だけでは本来混ざることはありませんが、界面活性剤の役割を持つ石鹸を混ぜることによって乳化して混ざるかを確認します。

・実験方法
材料
 ・コップ2個
 ・水
 ・油
 ・割りばし
 ・石鹸少量

手順
 1.水と油をそれぞれコップの1/3量ずつ入れる
 2.油を入れたコップに水を入れ割りばしでかき混ぜる
 3.水と油が混ざっていないことを確認したら石鹸を入れる
 4.割りばしでしばらくかき混ぜながら様子を観察する

・結果
水は白っぽく濁っていき、最後にはとろみのついた液体になりました。

・考察
かき混ぜるうちに石鹸が水と油それぞれと結びつき、乳化現象が起こったことがわかりました。乳化した液体は白っぽくなり、とろみもついてきます。調べて見ると、卵とお酢を混ぜてマヨネーズができるのも卵に含まれる成分が界面活性剤の役割をして乳化現象を起こしていることがわかりました。

(実験2)お酢と油を卵黄で乳化させてみる

・実験の目的
本来お酢と油は混ざりませんが、卵を入れることによってマヨネーズのように乳化して混ざるかを確認します。

・実験方法
材料
 ・コップ
 ・油
 ・お酢
 ・卵黄
 ・割りばし

手順
 1.お酢と油をそれぞれコップの1/3量ずつ入れる
 2.油を入れたコップにお酢を入れ割りばしでかき混ぜる
 3.お酢と油が混ざっていないことを確認したら卵黄を入れる
 4.割りばしでしばらくかき混ぜながら様子を観察する

・結果
お酢と油は混ざり合って乳化しました。

・考察
お酢と油は卵黄を入れることによって乳化しました。卵黄を入れてからすぐに乳化するのではなく、しばらくかき混ぜているうちに乳化することから、水と油が混ざるときは徐々に分子が引き合うのでしょう。調べて見ると、実際にマヨネーズを作る際には、一気に材料を混ぜても乳化せず、卵黄と酢を混ぜたものに少しずつ油を入れて混ぜる必要があることがわかりました。

(実験のまとめ)

表面張力の強さの違いによって、水と油は混ざり合いませんが、界面活性剤を混ぜれば混ざり合って乳化することがわかりました。
界面活性剤は、洗剤や化粧品などの工業製品だけに入っているのではなく、卵や牛乳などの食品にも含まれています。日頃何気なく食べている食品が、乳化現象を利用して作られているとわかって料理も科学なのだと感じました。

水と油を混ぜる実験の参考動画

この実験をまとめてみた例を紹介します。参考にしてみてください。

(実験)水と油を混ぜて様子を観察する

・実験の目的
水と油の混ざり方を確認します。

・実験方法
材料
 ・コップ2個
 ・水
 ・油
 ・食紅
 ・ストロー
 ・割りばし

手順
 1.水と油をそれぞれコップの1/3量ずつ入れる
 2.わかりやすいように水に食紅で色をつける
 3.色をつけた水を油の中にストローで数滴落とし、様子を観察する
 4.割りばしで油をかき混ぜ、しばらくするとどうなるのか様子を確認する

・結果
水は油と混ざらずに下の方に沈みました。割りばしで混ぜると、水は小さな水滴となって油全体に浮かんでいましたが、時間が経つと徐々に底の方に沈んで大きな水滴になりました。

・考察
水と油は混ざることがなく、水は油よりも重いため下の方に沈むことがわかりました。かき混ぜると、一瞬混ざったように見えますが、よく見ると水滴が小さくなっただけであることがわかりました。水と油は、引き合うことがなく、お互いの分子同士としかくっつかないためです。

水と油を混ぜてみよう!自由研究におすすめ簡単科学実験

水と油は、結合の強さや種類によって表面張力の力が大きく異なることから、本来は混ざり合いません。ところが、界面活性剤を用いることで乳化現象が起き、混ざり合うことができます。界面活性剤のこうした力は、洗剤や化粧品、医薬品など以外にも、食品にも幅広く利用されています。材料もご家庭にあるもので用意できるので、思い立ったらすぐに始めることができますし、もし失敗しても何回でもやり直しがしやすいのもポイントです。

今回は、卵黄を使って乳化現象を確認しましたが、ご家庭にある調味料を使ってどの調味料なら乳化現象が起きるかを確認してみるのも面白いかもしれません。
ぜひ、夏休みの自由研究のテーマにしてみませんか。

<参考>
株式会社KTR
KTRニュース『第17回「水と油はなぜ混ざらないのか」』
https://www.kaji-tr.com/news/news17.htm
日本ガイシ株式会社
家庭でできる科学実験シリーズ NGKサイエンスサイト『油と油のサンドイッチ』
https://site.ngk.co.jp/lab/no164/
日経Style『氷はどうして水にうかぶの?』
https://style.nikkei.com/article/DGXKZO07063190Z00C16A9W12001/

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