海が青い理由は?青く見える仕組みと青くない海がある理由

公開日: 2022/11/30

海の色は何色ですか、と聞かれたら多くの人が「青」と答えるでしょう。でも、水の色は透明なのに、なぜ海の色は青く見えるのでしょう。空が青く見えるのも、同じ理由でしょうか。

今回は、海の色や空の色が青く見える不思議を紹介します。

目次
海が青い理由とは?
海が青い理由と空が青い理由の違い
青くない海があるって本当?
色の名前で呼ばれる海の現象
世界にある「青くない」海
太陽の光と海の水が、海を青く見せている

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海が青い理由とは?

海の色は青いといいますが、海水に色が付いているわけではありません。そこには、太陽の光と海の水の性質が影響しています。目が色を感じる仕組みと合わせて、詳しく学んでいきましょう。

・色を見分けるためには太陽の光が必要

海が青く見える理由を説明する前に、目が色を感じる仕組みを知っておきましょう。

人間の目は、目に入ってくる光によって何かを見たり、色を感じたりしています。 夜になって光の量が少なくなると色がわかりづらくなり、真っ暗闇の中で何も見えなくなってしまうのは、この性質のためです。つまり、色を判断するためには光(特に太陽光)が欠かせません。

目の中には光から色を感じ取る細胞があります。物体が反射した太陽の光が目に入ったとき、目の中の細胞が強く感じた色によって色を見分けています。赤い光を強く感じれば「赤」だと思い、青い光を強く感じれば「青」だと思うのです。

・光は、色ごとに届きやすさが違う

透明に見える太陽の光ですが、実は虹の7色「赤、橙(オレンジ)、黄、緑、青、藍、紫)を中心に、いろいろな色が混ざり合っています。また、光は波長(はちょう)と呼ばれる性質を持っていて、色ごとに波長の長さが違っています。虹の色は波長の長い順に並んでいて、最も波長の長いのが赤い光で、一番波長が短いのが紫の光です。赤より波長の長い光(赤外線)や、紫より波長の短い光(紫外線)は目には見えなくなります。

赤い光のように波長が長い光は、途中にさえぎるものがあっても回り込んで遠くまで届くという特徴があります。逆に、青や紫のように波長が短い光はエネルギーが強く、まっすぐ進もうとする特徴があります。「止まれ」の信号に赤色が使われているのは、光の波長が長いので、より遠くまで届いて目立ちやすいからです。

・海の中では「赤い光」が吸収されて青くなる

それでは、海が青く見える理由を説明していきましょう。

太陽の光は、水の中に入ると、波長の長い「赤い光」から少しずつ吸収されてしまいます。やがて深い海底で反射して私たちの目に届くまでの間に、赤に近い光は吸収されてしまい、青い光だけが強く残ります。そのため、私たちは海の色は「青」に見えるのです。

海が青い理由と空が青い理由の違い

空が青く見えるのも光の性質のためですが、海が青い理由と空が青い理由は少し違います。次は、空が青い理由を解説します。

空の色が変わるのは、光が「散乱」するため

海と同様に、空の色の変化も不思議です。晴れた空は青く、どんよりとした曇り空のときには灰色、夕焼け空はオレンジのような赤色で、夜空は真っ黒になります。このように、空の色が時間や天気で変わってしまうのも、太陽の光の性質と関係があります。

空の色を青く見せるのは大気(地球の周りを取り囲む気体)が影響しています。太陽の光は遠い宇宙から、大気を通り抜けて私たちのところに届きますが、大気の中には微粒子(びりゅうし)と呼ばれる、とても小さな粒がたくさん浮かんでいます。このとき、波長が短い青い光は障害物にぶつかるたびに進行方向を変えるので、四方八方に散らばったような状態になります。この現象を「光の散乱(さんらん)」といいます。大気の中で散乱する青い光は他の色の光よりずっと目立つため、空は青く見えるのです。

朝と夕方の空が赤いのは、なぜ?

それでは、朝や夕方の空は、なぜ赤く見えるのでしょう。それは、太陽が地球を照らす角度が変わるからです。

朝や夕方の光は、太陽の光が斜めから差し込むので、昼間よりもたくさんの大気の中を通ります。青い光はさらに散乱するので、私たちの目に届く前に消えてしまい、散乱しにくい赤やオレンジの光が強調されるので、空の色は赤くなるのです。

青くない海があるって本当?

空に青以外の色があるように、海の色も青以外に見えることがあります。ここでは、さまざまな色つきの海を紹介しましょう。

・エメラルドグリーンの沖縄の海

沖縄の海は、プランクトン(海の中に浮かんでいる小さな生きもの)などの微生物が少ないため、サンゴ礁が広がる海の底まで見えるほど透明できれいな水が特徴です。

水深が浅い海であれば、海底までたどり着いた光が反射しても、赤い光の吸収が少ないので青と緑色が混じったようなエメラルドグリーンになります。水深が深いところは、緑よりも青が濃いコバルトブルーと呼ばれる鮮やかな色になります。白い砂浜に反射した光は明るさを増すので、光の色も鮮やかになります。

色の名前で呼ばれる海の現象

海に起こる現象が、色の名前で呼ばれることもあります。プランクトンの大量発生により、一時的に海の色が変わることもあります。

・黒潮(くろしお)

黒潮は、南からの海水を運んできて日本の周りを流れている海流(かいりゅう=海の流れ)で、黒に近い色(濃い藍色)をしています。南からの海水はプランクトンが少なく、きれいに澄んでいるので、太陽の光が吸収されてしまうためだと考えられています。

・赤潮(あかしお)

赤潮は、海の中に浮かんでいるプランクトンが異常に増えすぎてしまい、海の色が変わってしまう現象です。赤く染まって見えることが多くあります。有害なプランクトンが増えすぎた場合は、魚などに深刻な被害を与えてしまうことがあります。

・青潮(あおしお)

青潮は、海が白っぽくにごった青色になる現象です。青潮は汚れた海水で大量のプランクトンが死んでしまうことが原因で起こります。プランクトンの死がいが海の底で分解されると硫化水素(りゅうかすいそ)という成分が発生し、台風などの強い風が吹いて海面に浮かんで来た時に、空気と反応して色を変えるのです。硫化水素には毒性があるので、魚や貝が大量に死んでしまうことがあります。

世界にある「青くない」海

世界には、色の名前のついた海があります。これらの海の色は光の影響とは関係なく、その場所の特性から名前がつけられています。

・黄海 (こうかい)

黄海は、中国と朝鮮半島の間にある海です。
黄河(こうが)と呼ばれる中国の北部を流れる川が運んでくる黄色の泥が大量に流れ込んだため、海の一部が黄色く濁っています。

・黒海 (こっかい)

黒海はトルコの北側に位置する、エーゲ海とつながった海です。深いところにある海水が硫化鉄(りゅうかてつ)という成分を含むため黒っぽく見えるという特徴があります。ただし、「黒い海」という名前の由来ははっきりしていません。北部にある暗い海という意味だともいわれています。

・白海(はっかい)

白海はロシア北東部にある海です。「白い海」という名前の由来は、はっきりしていません。

・紅海(こうかい)

「赤い海」という意味の紅海は、アフリカ東北部とアラビア半島の間にある海です。名前の由来ははっきりとはわかっていませんが、海中の藻(も)の繁殖で海が赤く見えることがあるからだといわれていますが、名づけられた理由ははっきりしていません。

太陽の光と海の水が、海を青く見せている

海の色が青く見えるのは、水と光の性質によるものでした。水は赤い光をよく吸収するので、海底までの深さがある場所ほど、青い光だけが残りやすくなります。つまり、水が青く見えるのは海だけでなく、ダイビングプールのような水深のあるプールでも、同じように青く見えるのです。

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