なぜ虹は7色なのか?虹ができる仕組みと日本と世界での見え方の違い

公開日: 2022/11/30

雨上がりや、雨が降っている最中に日が差すと、空に虹ができることがあります。また、晴れた日の噴水の近くでも小さな虹を見ることができます。虹はどのようにしてできるのでしょうか。また虹はなぜ7色なのでしょうか。

目次
なぜ虹は七色なの?虹ができる仕組み
虹が二重に見えるときがある?
日本と世界では虹の色の数が違う?
虹を7色としたのはニュートン
家庭でできる虹の実験
虹は光について学ぶ絶好の素材

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なぜ虹は七色なの?虹ができる仕組み

虹が見えるとき、空気中には小さな水滴が浮かんでいます。虹は、太陽の光が空気中に浮かぶ水滴の中を通ることで現れます。なぜ光が水滴の中を通ると7色に見えるのでしょうか。

空気から水のように、光がある物質から別の物質の中を進むとき、その境界で光の進む方向が変化して、進路が折れ曲がります。この現象を「屈折」といいます。太陽の光が空気中に浮かぶ水滴を通るときにも、空気中から水滴へ入るときに屈折が起こります。このとき、屈折する角度は「光の波長」によって違います。

光には波のような性質があって、波が一回上下する長さを波長と言います。太陽光は白っぽく見えますが、実は波長の違ういろいろな色の光がまじり合ったものです。それぞれの波長の光が違った角度で屈折して少しずつずれた方向に進むのでので、赤や橙色などいろいろな色の光に分かれるのです。

光が波長ごとに分かれる現象を「分散」といいます。分散した光は水滴の内側に反射し、もう一度水滴表面で屈折して出てきます。その光が私たちの目に入ってくることで、虹が見えるのです。したがって虹は、太陽を背にして立った方角にしか見えません。

虹をつくる水滴と同じ働きをするものに「プリズム」があります。プリズムとは、屈折によって光を分ける透明な三角柱です。プリズムに光を当てると、波長ごとに赤、橙色、黄色など光の帯の「スペクトル」が現れます。

虹が二重に見えるときがある?

虹の外側に、もう1本薄い虹がかかっているのを見たことがありますか。通常の虹を「主虹(しゅにじ・しゅこう)」と呼ぶのに対して、外側の薄い虹を「副虹(ふくにじ・ふくこう)」といいます。

通常の虹ができるのは、水滴に屈折して入った光が水滴の内側に反射して、再び屈折して空気中に出てくるためでした。これに対して副虹は、水滴に屈折して入った光が水滴の内側に二回反射してから屈折して出てきたものです。通常の虹の色が、外側から赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の順番であるのに対し、副虹はその逆で内側から赤、橙、黄、緑、青、藍、紫となります。

日本と世界では虹の色の数が違う?

日本では一般的に、虹の色は赤、橙、黄、緑、青、藍、紫色の7色とされていますが、実は、虹は7色だという認識は世界共通ではありません。

たとえばアメリカやイギリスでは、藍色がない6色、ドイツやフランスでは5色、インドネシアでは4色で、台湾の一部の部族は3色、南アジアの部族の中には赤と黒の2色だと考えているところもあるようです。一方、アフリカには、日本の7色に黄緑色を足して8色だと認識している人々もいます。なぜ国や地域で虹の色の数に違いがあるのでしょうか。

そもそも、虹の色は色ごとに境界があるわけではなく、何色なのか決まった答えはありません。虹の中にどんな色を見るかは、文化の違いや色を表す言葉の種類などによりさまざまなのです。

虹を7色としたのはニュートン

その中で、虹は7色であると主張したのは、イギリスの物理学者アイザック・ニュートン(1643〜1727年)です。「万有引力の法則」で有名なニュートンは、光の研究もしていました。

ニュートンはプリズムを使って、太陽光を赤から紫の光のグラデーションに分ける実験をし、人の目に見える可視光は、これらの色の光が混ざったものであることを確かめました。そして赤から紫へ変化する光の帯は7色であるとしました。

ニュートンが色の数を7としたのは理由があります。当時のヨーロッパでは、学問としての音楽と自然科学を結びつけることが重要視されていました。そこで、光の帯の幅を「レミファソラシド」の7つの音階の高さと関連付けて(帯の幅がせまい藍色とオレンジ色を、ミとファ、シとドに対応させた)、7色としたのです。

実は、日本で虹の色を7色と考えるのは、江戸時代の終わりごろから明治時代にかけて、欧米の科学技術や知識と一緒にニュートンの虹の考え方も取り入れられたためです。それ以降、学校で虹は7色であると教えるようになりました。それより以前では、虹は4色や5色など、時代とともに認識される色の数も変化していたようです。

家庭でできる虹の実験

いろいろなものを使って虹をつくってみましょう。

《用意するもの》
・霧吹き
・洗面器などの容器
・鏡(12×12センチメートルくらいの大きさのもの)
・懐中電灯
・不要になったCDやDVDのディスク
・炭酸用の丸いペットボトル(500ミリリットル)
・A4サイズくらいの白い紙
・水
・プリズム(通販などで入手できますが、透明な四角い容器と水でも作ることができます)

《実験の進め方》

【実験1】霧吹きで虹をつくろう
1. 晴れている日に日の当たる場所で、霧吹きで水を吹きます。太陽が自分の後ろに来るような向きで吹きましょう。

【実験2】鏡と水で虹をつくろう
1. 洗面器などの容器に、水を5センチメートルくらいの深さまで入れます。
2. 水の中に、鏡を斜めにして入れます。水面に対して45度くらいの角度になるようにして置きます。
3. 鏡の水に入っている部分に懐中電灯の光を当て、光の反射する部分に白い紙を置くと、虹が映し出されます。

(解説)
懐中電灯の光は水の中に入るときに屈折して分散します。その光を鏡で反射させて白い紙に映すことで、虹が見えます。

【実験3】CDやDVDのディスクを使って虹をつくろう
1. CDやDVDのディスクの裏側に、懐中電灯の光を垂直に当てます。
2. 懐中電灯の光を、ディスクに近づけたり離したりすると虹が見えます。

(解説)
光がディスクの裏側に反射してできる虹は、水滴で光が屈折してできる虹とは仕組みが違います。ディスクの裏側には、非常に細かい穴がたくさん開いています。その穴の部分で反射した光が強め合ったり弱め合ったりすることで、虹ができます。

【実験4】ペットボトルを使って虹をつくろう
1. きれいな水を、炭酸用の丸いペットボトルにいっぱいまで入れます。
2. ペットボトルの横から、懐中電灯の光を垂直に当てます。
3. 光を当てた方向から、左右約45度の方向に白い紙を置くと、虹が映し出されます。

(解説)
ペットボトルの水が、虹をつくる空気中の雨粒と同じ役割をします。懐中電灯の光はペットボトルの水に進入するときに屈折し、ペットボトルの内側に反射して、白い紙の上に虹となって映し出されます。

【実験5】プリズムで虹をつくろう
1. プリズムに懐中電灯の光を当てて、虹をつくります。プリズムがない場合は、透明の四角い容器に水を入れることで簡単にプリズムがつくれます。容器の角の部分に光を当ててみましょう。
2. 実験に使う光を発光ダイオード(LED)に変えて、虹がどうなるか調べてみるのもよいでしょう。

虹は光について学ぶ絶好の素材

虹は、雨上がりの空にいつも見られるわけではありません。虹を見つけたら、嬉しい気持ちになる人も多いでしょう。そんな私たちの好奇心や興味を掻き立てる虹は、自然の不思議や光の性質について学ぶ絶好の素材であるといえます。なかなか見ることのできない虹を自分でつくってみることにぜひチャレンジし、どうして虹ができるのかを学んでください。

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