アンプラグドプログラミングとは?メリット・デメリットや方法を紹介

公開日: 2022/03/30

昨今、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)の技術革新である第4次産業革命に対応する人材やグローバルで活躍する人材を育成するため、プログラミング教育が重要視されています。2020年から小学校でプログラミング教育が必修化されたことからもそれが分かります。

第4次産業革命ではAIやロボットにより人間の仕事が自動化され、AIが仕事を奪う可能性が出てきます。そのため、コンピュータを扱う側の人材になる必要があります。一方で、プログラミングについて学びたくても、自宅にコンピュータ環境が整っていなかったり子供がまだ低学年で文字が読めなかったりすれば、本格的なプログラミングの学習はできません。

そこで、注目されるのがアンプラグドプログラミングです。今回は、アンプラグドプログラミングとは何か、メリットとデメリット、方法や教材の選び方についてご紹介します。

目次
アンプラグドプログラミングとは?
アンプラグドプログラミングの方法
アンプラグドプログラミングのメリット・デメリット
アンプラグドプログラミングを学ぶ教材の選び方
アンプラグドプログラミングを楽しもう

アンプラグドプログラミングとは?

さまざまなプログラミング学習の方法がある中、コンピュータを使わない方法として知られるのがアンプラグドプログラミングです。ここでは、アンプラグドプログラミングについて詳しくご説明します。

コンピュータを使わずにプログラミング的思考を学ぶこと

アンプラグドとは、英語の「unplugged」のことで、意味は「電源プラグを繋がない」です。すなわちアンプラグドプログラミングとは、コンピュータを使わずにプログラミング的思考を学習することです。プログラミング的思考とは、「物事を考えるときに物事の順序や動作を理解し、どうすれば効率化が図れるかを論理的に考えること」です。小学校の段階ではプログラミングそのものではなく考え方やアルゴリズムなどを学ぶことが重要なため、コンピュータがなくとも、例えば本やゲームから学習できるのです。

トライ&エラーを繰り返す体験をする

アンプラグドプログラミングでは、ゲームやアクティビティなどで実際に指示を出し、その結果を見ることで指示が合っていたのかを確認して修正できます。この「トライ&エラー」は、コンピュータを使ってプログラミングを学ぶときにも重要です。コンピュータは指示された通りにしか動きません。プログラミングで「トライ&エラー」を繰り返すことで自分の思った通りの動きが得られるように試行錯誤します。

アンプラグドプログラミングの方法

アンプラグドプログラミング方法は大きく分けて3つあります。詳しくみてみましょう。

カードやボードゲーム

子供が遊びながらプログラミング的思考を学べるものがカードやボードゲームです。例えばカードゲームでは、命令が書かれたカードを並べて指示を出し、出した指示通りにキャラクターを動かしてみることでトライ&エラーを体験できるものなどがあります。家族や友達同士で楽しめるでしょう。親は目的ややり方を説明できるよう事前準備をすることが大切です。

絵本

絵本が好きな子供や、まだカードゲームのルールを理解することが難しい子供には絵本がおすすめです。例えば、フィンランドの女性プログラマーが書いた本である「ルビィのぼうけん」が有名です。プログラミングのコードは一切出てこずプログラミング的思考に触れることができ、子供が親と一緒に楽しめる内容になっています。本やイラストが好きな子供や低年齢の子供に向いているでしょう。

アクティビティ

2人1組みになって「ダンスを踊る」動作を考えましょう。1人が「回る」「跳ぶ」「ステップを踏む」などの指示を行い、もう1人が実際にその通りに動きます。ステップアップとして、実際にプログラミングで使用する「繰り返し」や「条件分岐」などを指示に加えてもよいでしょう。この手順を踏むことで、「指示された順序で指示された内容のみを正確に実行する」コンピュータの動きの理解につながります。

アンプラグドプログラミングのメリット・デメリット

それでは、アンプラグドプログラミングのメリットとデメリットは何でしょうか。詳しく見てみましょう。

メリット1:コンピュータを使わずに学習できる

パソコンやタブレットを使わずにプログラミング的思考について学習できることはメリットでしょう。低年齢でまだ機器を使えない子供でも学ぶことができます。コンピュータを操作する前段階として学ぶのに適しています。

メリット2:論理的思考力が身に付く

アンプラグドプログラミングでは、作業を分解してタスクの順番を決め、順序通りに実行して結果を得ることで論理的思考力が身につきます。論理的思考とは、「その結論になる根拠を、筋道を立てて考える」考え方です。物事を分解して組み立てることで、効率の良い方法やアルゴリズムを考えるられるのです。人に説明するときの方法を考えたり、作業の効率的な順番を考えたりするのに役立つでしょう。

メリット3:コンピュータの仕組みを楽しみながら理解できる

アンプラグドプログラミングでは、本やカード・アクティビティなどでコンピュータの仕組みを大まかに理解できます。コンピュータがどのような仕組みで命令を実行するのか、絵本やイラストなどで分かりやすく理解することができます。実際にコンピュータを触るときの抵抗がなくなるでしょう。

デメリット1:本格的なプログラミングは学べない

アンプラグドプログラミングでは、「ボタンを押す」や「移動する」といった命令のブロックを並べるビジュアルプログラミングや、実際にコードを書くテキストプログラミングといった本格的なプログラミングについての知識は学べません。

実際のプログラミングは、プログラムを作って試行錯誤しながらコンピュータを動かします。アンプラグドプログラミングは、プログラミングの考え方を学ぶだけであってプログラミングそのものを学ぶことではないことに気をつけましょう。

デメリット2:コンピュータやプログラミングへ興味が持てない場合がある

アンプラグドプログラミングの学習が面白くないと感じてしまうと、子供のコンピュータやプログラミングへの興味がなくなってしまう可能性があることもデメリットの1つです。小学校でプログラミング教育を学ぶ前に興味がなくなってしまうと、学ぶ楽しさを感じられなくなり学習が辛くなってしまう可能性があります。

子供が楽しいと思える方法でアンプラグドプログラミングに取り組みましょう。

アンプラグドプログラミングを学ぶ教材の選び方

では、アンプラグドプログラミングを学ぶときの教材はどのようにして選べばよいのでしょうか。ここでは、おすすめの教材の選び方について説明します。

難しい言葉を使わない教材を選ぶ

アンプラグドプログラミングは、まだパソコンを活用できない幼児や低学年の子供を対象にしています。コンピュータやプログラミングについての難しい用語が出てくる教材は子供が理解できない可能性が高いでしょう。日常の言葉を使った本やゲームを選びましょう。

子供が楽しみながら取り組める教材を選ぶ

教材を選ぶときは、子供が楽しみながら学べる教材を選びましょう。楽しんで学ぶことで、「もっと知りたい」という学習意欲も育まれ、自分から主体的に取り組めるようになります。特に、幼少期の子供は興味を持ったものにしか集中力が続きません。ゲーム感覚で遊びながら学べるものや、家族で一緒に取り組めるものが良いでしょう。

アンプラグドプログラミングを楽しもう

プログラミング教育は、STEAM教育の一環として、プログラミング教室に通って学んだり、動画や本を見たりしながら学ぶことができます。STEAM教育とは、科学・技術・工学・アート・数学の各英単語の頭文字を取った言葉で、今後のAIの時代を生きてゆく子供に必要なスキルを授け、時代に適した人材を育成するための教育方針です。文部科学省のSTEAM教育推進の影響も受け、今後さらにプログラミング教育は重要になるでしょう。
アンプラグドプログラミングは、低年齢の子供のプログラミング教育に適しています。アンプラグドプログラミングでコンピュータの基礎や身近な課題解決の手順(アルゴリズム)について学ぶことで、その後パソコンを使ったプログラミング教育やビジュアルプログラミングにスムーズに移行できます。そのためには、ゲーム感覚で楽しく学べ、苦手意識を感じさせない教材選びが重要です。

アンプラグドプログラミングを用いて、子供にプログラミングを学ぶことの楽しさを感じてもらいましょう。

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