音楽特別講義「グラミー賞受賞者が教える! 曲作り」第3回

公開日: 2020/05/29

グラミー賞受賞者サダハル・ヤギ(SADAHARU YAGI)さんが、前回に続き登場! 音楽特別講義『おウチで、仲良く、音楽作り』の第3回です。(構成・文:アッシュ・ヌクイ) 前回のテーマ「『好き』を音で伝えよう!」からの続きです。気持ちを音で伝えられることを知ったキミは無敵だ! 今回のテーマは、「楽しく音を奏でよう!」です。 音楽特別講義第3回「楽しく音を奏でよう!」

目次
『楽しい器』=楽器
3つの音を手に入れた!?
ドレミファソラシドじゃない音
奏でているときの気持ち。

『楽しい器』=楽器

今、みんなはおウチのお部屋の中にいるかな? 外へも自由に出られずイライラしがちな日々を過ごしているかもしれないね。もし、そのイライラを音にして、出してみたらどんな音になるかな?ものすごくうるさい音になっちゃうもしれないね。みんなの中に流れている音、うずうずしているかな。ボク達の時間は「音を楽しむ」時間だから、楽しく音をつくっていこう!

さて、前回は5万年前の世界にいるかのように自分の気持ちを音で伝えられるかどうかにチャレンジしてもらったけどうまくいったかな? 身の回りのものを使ってありったけの大好きを伝えられたかな?

むかしむかしの大昔の人たちは、自分の気持ちをもっともっと伝えるためにはどうしたら良いか、どうしたら良いか、どうしたら良いかぁーーー!って、100万回くらい考えて失敗して失敗してようやく出来上がったもの、それが「楽器」かもしれない。今回は、僕たちのありったけの好きを伝えるために、楽しく音が出る器、をまず用意していきたい。

3つの音を手に入れた!?

もしかして、みんなはおウチにピアノを持ってるかもしれない、ギターを持っているかもしれない、トロンボーンも持ってるかもしれない。でも、今回は、僕たちのありったけの好きを伝えるために、楽しく音が出る器、としてコップをまず用意していきたい。え? コップが楽しいの、って思ったかもしれない。

試しに、コップを3つ用意してみようか。コップに水を注いでみて。自由に注いでいいよ。ただし、3つのコップに入れる水の量は、3つとも違う量にしてみて。そして、スプーンか箸を用意して、軽くコップを叩いてみよう。

コップを1個ずつ、1個ずつ、1個ずつ。

3つの音がしたね!

ポイントは、キミがコップに楽しい気持ちを込められるかどうか、だ。

キミの音を出してくれるコップのこと、ちょっとでも考えてみて。どうしてこんな音が出たんだろう。もしその音を好きになれたら、コップはきみのためにもっといい音を出してくれるかもしれない。

ドレミファソラシドじゃない音

ドレミファソラシド〜♩、って聞いたことあるよね? 7つの音階のこと。(詳しくはまたずっと後で話します。)コップを叩いてみて気づいた人もいるかもしれない。ドレミファソラシドじゃない音が聞こえたんじゃないかな。

そう、音ってドレミファソラシドだけじゃないんだ。

この世界の色が7つだけじゃないように、音だってドレミファソラシドの7つだけじゃない。アラブ音楽や他の音楽では7つよりたくさんの音を使ってる。実は、日本だって昔は5つの音で曲を作ってた時もあるんだ。そう、住む場所や時代によって、音に対する考え方も音の作り方も全然違うんだ。だから、今、みんながコップで生み出した音は、キミの今の音なんだ。

コップで音を奏でてみよう!

いろいろ水の量を変えてみて試してみて。水の量が少ないと高い音。多いと低い音がしたんじゃないかな? では、ドレミファソラシドにこだわらず、3つの音を使って、みんなの楽しい気持ちをコップで伝えてみよう。いろんな順番で、いろんな速さで、キミの気持ちの思いのままに。3つの音を自由自在に使ってみて! 

(ここで、お父さまお母さまにご協力いただきます。音を表現しているお子様の様子を、スマホやボイスレコーダー等で録音してくださる、もしくは貸してくださる、と助かります。講義のモットーが「楽しく」なので、お子様の表現をポジティブにリアクションくださると幸いです!)

奏でているときの気持ち。

コップで音を奏でてるとき、どんな気持ちだった? 誰かを想って(コップのことも想って)好きな気持ちを音で伝えてる時間は居心地が良かったらいいな。キミの奏でた音が、みんなを優しい気持ちにしたならもうアーティストだ。

次回のテーマは、「もっと楽器をつくってみよう!」です。

Profile:SADAHARU YAGI (サダハル・ヤギ)ロサンゼルスを拠点に活動するレコーディングエンジニア/プロデューサー。日本人として史上初となる3度のグラミー・アワードを獲得。ロックやブルース、ゴスペル、ラテン・ポップなど、幅広いジャンルの音楽を手がける。
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