地球の自転とは?回転している向きや速度、動きを感じない理由

公開日: 2023/02/28

太陽が昇れば朝がきて、沈めば夜がくることは当たり前のように捉えて生活しています。この朝と夜を世界中の人たちが体験できているのは、地球自身が回転している「自転(じてん)」の現象があるからなのです。そんな、私たちの生活に大きな影響を与えている「自転」について今回は解説していきます。

目次
地球の自転とは
地球はなぜ自転するの?
地球はどのくらいの速度で回っているの?
地球の自転が与える影響
地球で生活していて自転を感じない理由
地球が自転していることを確かめる方法
不思議がいっぱいの宇宙に興味を持ってみましょう

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地球の自転とは

宇宙から見ると、地球は北極と南極を結ぶ線を中心にして、1日に一回りしています。この現象を「自転(じてん)」と呼びます。理科室などに置いてある地球儀を回転させてみると、イメージしやすいかもしれません。回転方向は、北極星から地球を見て反時計回りです。

また、地球は自転すると同時に、太陽の周りをぐるっと回転しています。これを「公転(こうてん)」と呼びます。地球の自転軸(地軸)は公転に垂直ではなく、約23.4°傾いています。この角度のことを、「赤道傾斜角(せきどうけいしゃかく)」と呼びます。

地球が自転して太陽の光が当たっている面が「昼」であり、逆に光が当たっていない面が「夜」です。日本の反対側にはブラジルやアルゼンチン、ウルグアイなど南アメリカの国がありますが、日本が昼のときは夜、夜のときには昼になるわけです。

地球はなぜ自転するの?

太陽や地球といった星々は、もともと宇宙空間を漂っていた「ちり」が回転しながら生まれたものです。そのときの回転が今になっても続いているために、地球は自転を続けています。回転していたのは星が生まれたときという、はるか昔の出来事なのに、どうして今でも回転が止まらず、続いているのでしょうか。これには「摩擦(まさつ)」が関係しています。

わたしたちの身近で「回転するもの」の例として、コマをあげてみます。コマを手にとって地面の上で回転させると、最初は勢いよく回るものの、だんだんと回転の速さがゆっくりになり、やがては止まってしまいます。コマの勢いが弱くなって止まってしまうのは、コマの軸と地面との間に「摩擦力」が働いたためです。摩擦力は、コマの回転を止める方向に働きます。したがって、コマの回転がどんどんとゆっくりになっていくのです。

宇宙空間で他の物体と接触することなく動いているときには、このような摩擦が起きません。したがって、回転する天体は摩擦力にさえぎられることなく、今までずっとまわり続けているのです。地球の回転に限らず、すべての運動はそれをさまたげる力が働かない限り、同じ状態がずっと続きます。これを「慣性の法則(かんせいのほうそく)」と呼びます。

「地球に対して何かの力が働いているから、地球は回っているんだ」と考えている人がいますが、それは間違いです。たしかに地球には、太陽や月、ほかの惑星など、外からの力がいくぶん働いています。しかし、地球の回転を止める方向には力が働いていないことから、地球の自転には影響がありません。

地球はどのくらいの速度で回っているの?

地球は時速1700キロメートルの速さで自転しています。これは計算で求めることができるので、実際にやってみましょう。地球は1周の距離(赤道の長さ)が約40000キロメートルです。そして、地球が1回転するのにかかる時間は24時間です。これを時速で表すと、40000÷24=約1700となります。すなわち、赤道上の自転の速さは時速約1700キロメートルというわけです。これを「自転速度」と呼びます。

時速約1700キロメートルは、なかなかイメージしにくいのではないでしょうか。そこで、身近な乗り物と比べてみましょう。

・ジェット旅客機の速度:時速約900キロメートル
・新幹線の速度:時速約200〜300キロメートル
・高速道路での車の速度:時速50〜100キロメートル

地球の自転は、飛行機の約1.9倍、新幹線の約6〜8倍、高速道路を走る車の17〜27倍と、非常に高速だということがわかります。なお、音が伝わる速さは、時速約1200キロメートルです(場所や気温によって異なります)。地球の自転は音よりも速いわけです。

地球の自転が与える影響

地球が自転することによって自然や時間にさまざまな影響を及ぼしています。

・うるう秒

わたしたちは、地球が1回転する時間を「1日(24時間)」、1日の24分の1を「1時間」、1時間の60分の1を「1分」、1分の60分の1を「1秒」としてきました。地球は止まることなく回り続けていますが、動く速度は実は一定ではなく、いつも同じ速度で回っているわけではないことがわかってきています。

この世界でもっとも正確な時間を刻む時計として「原子時計」がありますが、地球の自転が早かったり遅かったりすると、地球の自転によって決まる時刻と原子時計によって測定する時刻の間にズレが生じることになります。このズレを修正するために設けられたものが「うるう秒」です。
地球の自転速度は、原子時計と比べながら観測が行われています。地球の自転と原子時計によって決まる時刻の差がプラスマイナス0.9秒の範囲に入るよう、うるう秒をはさむことで調整されているのです。

例えば西暦1990年ごろ、地球は、原子時計を基準にした1日より約2ミリ秒ほど長くかかって1回転していました(1ミリ秒は1秒の1000分の1の単位を指します)。もしこの状態が500日間(約1年半)続いたとすると、地球の自転と原子時計の時刻が1秒ずれてしまうことになります。そのような場合、うるう秒として1秒を加えることによって、時刻の調整が行われるというわけです。

うるう秒は、基本的には6月もしくは12月の最後の日の最後の秒ではさまれます。初めてうるう秒による調整が開始されたのが1972年のことで、総務省が発表している限り、これまで27回のうるう秒が挿入されました。わたしたちが普段気に留めることのない時間の流れに調整が行われているなんて、不思議ですね。

・海や風の流れ

空気の流れである風はさまざまな要因で発生しますが、その一つが地球の自転です。太陽の熱と地球の自転によって強い風が常に起こることで、海の流れである海流が引き起こされています。海水は地球規模で移動していて、北半球では右回りに、南半球では左回りに大きな渦を描くようにして動いているのです。

・季節の移り変わり

地球の自転軸は公転の軌道に対して約23.4°傾いています。北極が太陽の方を向いているとき、太陽は頭の真上近くから照らし、昼間が長くなります。これが夏です。逆に、南極が太陽の方を向いているときは、昼が短くなります。これが冬になるわけです。なお、南半球では北半球と季節が反対になります。つまり、北半球が夏のとき南半球は冬、北半球が冬のとき南半球は夏になります。

地球で生活していて自転を感じない理由

こんなにも地球は高速で回転しているのに、なぜわたしたちはそれを感じないのでしょうか。これは、地球上にいるわたしたちだけでなく、わたしたちを取り巻くまわりの空気も地球と同じスピードで動いているためです。新幹線やジェット機に乗っているとき、高速で移動していることを感じないのと同様です。

また、地球の自転は、1秒に0.0042°しか回転しません。そのため、わたしたちが直接的に自転を感じることはありません。

地球が自転していることを確かめる方法

地球が自転していることを確かめる方法として、科学博物館などに展示されている「フーコーの振り子」を使うものがあります。フーコーの振り子とは、地球の自転を検証するために用いられる振り子のことです。長い糸の先に、おもりをつけた振り子を静かに振らせると、振り子は直線で左右に揺れるのではなく、地球の回転と逆向きになるように回転するのです。

1851年、フランスの物理学者レオン・フーコーが、パリのパンテオン寺院でこのような振り子を使って実験を行い、地球が自転していることを証明したことから名付けられました。このときは、長さ67メートルの金属の糸(鋼線)に、重さ28キログラムのおもりをつるして実験を行いました。機会があれば、展示されている博物館を見学に行ってみるとよいでしょう。

不思議がいっぱいの宇宙に興味を持ってみましょう

普段の生活でわたしたちが地球の自転を意識することはありません。しかし、気づくことができないだけで、地球は今も確実に自転を続けているのです。宇宙には、今も解明されていない不思議がまだまだたくさん存在します。将来、その不思議を解明するのはみなさんかもしれません。興味を持った人は、ぜひ学びを深めてみてください。

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