自宅でできる磁石の作り方│身近に隠れた磁力を使ったものとは?
公開日: 2022/10/31
みなさんは、磁石の力をふだん意識したことがあるでしょうか。今回は、磁石にものがくっつく仕組みや、簡単にできる磁石の作り方、身近に隠れた磁力を使った商品などを紹介します。
- 目次
- 磁石にものがくっつく仕組みは?
- 永久磁石と電磁石
- 磁石を手作りしてみよう
- 磁力が強い「電磁石」の作り方
- フェライト磁石とネオジム磁石
- 身近にある磁石・磁力が活用されているものは?
- 身のまわりにあふれている磁石や磁力をもっと研究してみよう
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磁石にものがくっつく仕組みは?
磁石には鉄をひきよせる性質があります。そのため、鉄の含まれるものが磁石にくっつきます。プラスチックやビニール、紙やガラスには鉄が含まれていないため、磁石にはくっつきません。
また、鉄と同じ金属でも銅やアルミニウムをひきよせる性質は磁石にはないため、たとえば1円玉や5円玉は磁石にくっつきません。
永久磁石と電磁石
磁石には、永久磁石と電磁石の2種類があります。鉄をひきよせる性質を常に持っているものを永久磁石とよび、電流が流れているときだけ磁石の性質を持つものが電磁石です。
たとえばアルファベットの「U」の形をしたU形磁石は永久磁石で、実は鉄でてきています。鉄は、もともと磁石の性質を持っていませんが、「磁化させる」ことで磁石にすることができます。磁化とは、物質に磁石の性質を持たせることです。
磁石を手作りしてみよう
身のまわりにあるもので磁石を自分で作ることができます。今回はクリップを使って磁石を作ってみましょう。
《必要なもの》
・ クリップ
・ 磁石
《手順》
1.クリップを磁石でこすります。クリップの右から左、あるいは左から右に向かって、一定の方向に30回くらいこするのがポイントです。
2.こすったクリップが、磁石がなくてもほかのクリップにくっつくようになったら成功です。
鉄でできたものはこすって磁石にできるので、たとえば鉄製の縫い針や釘などもこすると磁石になります。ただし、こすって作る磁石は磁力が弱いので、U形磁石のような強力な磁石にすることは難しいでしょう。
磁力が強い「電磁石」の作り方
電流が流れているときだけ磁石になる電磁石は、別の方法で作ることができます。
《必要なもの》
・ ストロー
・ エナメル線(ホームセンターで入手できます)
・ 鉄製のくぎ
・ クリップ
・ 乾電池
・ セロハンテープ
《手順》
1. ストローのまわりに、エナメル線をばね状にして巻きます。エナメル線の両はじは乾電池をつなぐため、10センチくらい伸ばしておいてください。
2. ストローの穴にくぎを入れたらコイルの完成です。
3. ストローの両はじのエナメル線を乾電池の両はじにそれぞれつないでセロハンテープでとめます。クリップを近づけてクリップがコイルにくっついたら成功です。
電磁石は電気が流れているときだけ磁界が発生し、鉄をひきつけるという磁石の性質を持ちます。そのため、電池をコイルから外すとクリップがくっつかなくなるところまであわせて実験してみましょう。夏休みの自由研究で実験するときには、エナメル線を巻く回数を大きく変えたり、中に入れるくぎの太さを変えてみたりして、発生する磁気の強さが変わるかどうかを調べるのもよいですね。
フェライト磁石とネオジム磁石
先ほど、「U形磁石は鉄でできている」と説明しました。このように鉄の酸化物を主な成分とした永久磁石は「フェライト磁石(フェライト焼結磁石)」といいます。
フェライト磁石は安く生産することができるので、わたしたちの身のまわりで幅広く使われています。また、腐食に強く、さびる心配がほぼないことや、磁気が安定していることから屋外や高温下などでも使われます。ただし-30℃程度まで温度が低くなると磁力が弱くなることもあわせて覚えておくとよいでしょう。
フェライト磁石以外の永久磁石には、たとえば「ネオジム磁石(ネオジム焼結磁石)」があります。鉄を主成分とするフェライト磁石と異なり、ネオジム磁石の原料は鉄とネオジム、ホウ素です。ネオジム磁石は「世界一」「世界最強」といわれるほど強力な磁力を持ち、その強さはフェライト磁石の10倍になるともいわれています。直径1〜2センチほどのネオジム磁石でも、5〜10キロの重さのものをくっつけられるのでびっくりすることでしょう。ただし、ネオジム磁石はフェライト磁石より錆びやすいという弱点があります。
以前は身のまわりの磁石といえばフェライト磁石が主流でした。かつてネオジム磁石は特別な環境でしか使われないものでしたが、ネオジム磁石が医療器具や工業製品などさまざまな分野で応用できることがわかり、原料がリサイクルできることも相まって、流通が盛んになりました。今ではスマートフォンやハードディスクなど、一般家庭にあるものにもネオジム磁石が利用されるようになってきています。
身近にある磁石・磁力が活用されているものは?
わたしたちの身近では、磁石・磁力がどのように活用されているのでしょうか。
・方位磁石
方位磁石はコンパスともいい、針のN極、S極で方位を調べることができる磁石です。はるか昔から磁石が身近で使われてきた代表的な例であるといえるでしょう。
磁石にはN極とS極と呼ばれるふたつの極があり、どの磁石も必ず両方の極を持っています。N極だけ、S極だけの磁石はありません。U形磁石の片方がN極でもう片方がS極であることはみなさんにもおなじみなのではないでしょうか。
磁石を自由に動ける状態にして置いておくと、N極は北を向き、S極は南を向くという性質を持ちます。これは、地球自体が大きな磁石で、北極に向かってS極、南極に向かってN極となる磁場を持っているためです。
・モーター
おもちゃや乗り物などに使われているモーターを回転させるのが、実は磁力の力です。ここで、モーターが回転する仕組みについて解説します。モーターは、磁石のN極とS極の間にコイルがはさまれる形で成り立っています。このコイルに電流を流すと、コイルのまわりに磁界が発生し、コイルが磁力をおびます。電磁石のN極は磁石のS極と、電磁石のS極は磁石のN極とくっつこうとしてコイルが回転します。ここで、「コイルの電流を逆方向に流すと電磁石のN極とS極が逆になる」という性質を利用します。コイルの電流を逆向きにすることで電磁石のくっつく方向が逆になるため、コイルはふたたび回転します。
電流の流れを交互に繰り返していくことで、コイルを回転させ続けることができるのです。これがモーターの基本的な仕組みです。モーターも身近なものだけで簡単に工作することができますので、ぜひ自由研究の題材として取り上げてみてください。
身のまわりにあふれている磁石や磁力をもっと研究してみよう
この記事を通して、ぜひ磁石にもっと興味を持ってもらい、工作や調べもの学習などで知識を深めていってください。ひょっとしたら、将来あなたも磁石を使って新しいものを開発できるようになるかもしれませんよ。
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