あの人に聞いてみよう!映画プロデューサー アッシュ・ヌクイさんにインタビュー!

公開日: 2020/03/31

普段何気なく使っているパソコン。オトナになれば、どんな仕事をしていてもほぼ毎日パソコンを使うことになるでしょう。それは、みんながあこがれるような、夢の仕事でも同じこと。そこで、あこがれの仕事のオトナたちは、どんなふうにパソコンを使っているのか、突げきリポートします!

今回は、みんながあこがれる「映画」のお仕事、「映画プロデューサー」を紹介します。お話を聞かせてくれたのは、世界中で見られている映画や毎週テレビで放送されているドラマをつくる現場で、プロデューサーとして働くアッシュ・ヌクイさんです!

―今日はありがとうございます! まずは、ヌクイさんのお仕事「映画プロデューサー」ってどんなお仕事なんですか?

ヌクイ:ひとことで言うと、「映画づくりのリーダー」。プロデュースには、たくさんの仕事があるんだけど、映画づくりを始めるときに大きなものは「企画」と「チーム編成」の2つ。
企画は、「どんな物語にするか」というアイデアを考えること。チーム編成は、企画にぴったりなスタッフを集めること。例えば、演技をする俳優、撮影するカメラマン、セリフを録音する音声スタッフ、現場をまとめる監督といった、いろんな役割の人に「このアイデアで一緒に映画をつくりませんか」って声をかけて、100人くらいの最高のチームをつくるんだ。

―なんと100人も! 映画づくりの現場には、いろいろな役割のお仕事があって、たくさんの人が関わっているんですね。その中でも、今のお仕事を選んだのはなぜですか?

ヌクイ:物語をつくるのが好きだったから。さっきも言ったように、プロデューサーの仕事の一つである企画は、物語を考えることなんだ。オリジナルの物語で企画をたてることもあるし、人気の漫画や小説をもとに企画をたてることもある。どちらにしても、「こんな映画をつくりたい!」という思いを形にできるのが、プロデューサーの魅力だね。そのために、たくさんのアイデアをパソコンに書きためているんだ。

―アイデアを書きためるだけなら手書きでも良さそうですが、どうしてパソコンを使っているんですか?

ヌクイ:パソコンに慣れてくると、手書きよりも早く文章を打ち込めるんだ。良い物語をつくるためには、たくさんのアイデアを出さなくちゃいけないから、パソコンを使うほうが便利なんだよ。

―なるほど! でも、パソコンで早く文字を打ち込めるようになるまで、苦労はしませんでしたか?

ヌクイ:僕は、小学校の低学年くらいからパソコンを使っていたんだ。といっても、ゲームしかしていなかったんだけどね(笑)。遊んでいるうちに、いつの間にか文字を打ち込むスピードが早くなっていたし、ブラインドタッチ(キーボードを見ずに文字を打ち込むこと)もできるようになっていた。
映画プロデューサーはたくさんの場面でパソコンを使うから、小さい頃からパソコンにふれていたのはいい経験だったのかもしれないね。チーム編成をするときも、アイデアをわかりやすく伝えるために、パソコンを使ってたくさんの資料をつくっている。映画づくりが進んでからも、スタッフへの連絡や映像のチェックまで、いつもパソコンを使っているよ。

―その中でも特に、「パソコンがあってよかった!」と思うのはどんなときですか?

ヌクイ:「脚本(きゃくほん)」を手直しするとき。脚本というのは、いつ・どこで・だれが・どう映画を作り上げていくかをまとめたもの。俳優もカメラマンも監督も、映画に関わる人はみんな脚本を見ながら仕事をしているんだ。映画づくりへの航海に迷わないための地図みたいなものだね。
でも、映画づくりを進めていくと、脚本に手直しが必要なことがよくある。その結果、セリフをまるごとカットしたり、撮影場所が変わったり、衣装を変更したりすることもあるんだ。その時、変更のお知らせを紙に書いて100人もいるスタッフ全員に手渡ししていたら、時間がかかっちゃうよね。それに、うっかり誰かに連絡し忘れてトラブルになることもあるかもしれない。映画用のパソコンソフトには、そういった脚本の変更点をスタッフ全員にお知らせしてくれるものがあるんだ。それを使えば、みんながすぐに変更内容を確認できるし、連絡し忘れることもない。スムーズに、そしてトラブルなく映画をつくっていくために、パソコンはとても大切なんだよ。

―ヌクイさんの今後の目標を教えてください!

ヌクイ:自分が本当につくりたい映画をつくること。それって実は、とても難しいことなんだ。映画の制作現場では、100人のスタッフが関わるから、みんなそれぞれ「自分はこうしたい!」っていう思いがある。だから、プロデューサーの僕でも、思い通りにならないことが多いんだ。でもいつかは、お客さんを笑顔にしたり、勇気を与えたりする、理想の映画をつくりたい。そのためには、いい映画をつくりたいという強い思いを持って、たくさんの経験を積んで、レベルアップしなきゃいけない。そういう意味では、「強いプロデューサー」になることが、まず目指すべき目標だね。

―最後に、映画に興味がある子供たちのために、子どもの頃からやっておいたほうがいいことを教えてください!

ヌクイ:まずは映画づくりを始めてしまうこと! 上手い下手とか気にしないで、最後までカタチにしてしまうこと。それが一番大事。難しく考えなくていい、特別な道具が無くても大丈夫。カメラもお家のものでもスマートフォンでもいいし、編集ソフト(映像を切ったりつないだりするソフト)も無料でわかりやすいものもたくさんあるし、まずは編集をしなくてもいい。撮りたいものは身近にいる大切な人や大好きなもの! 例えば、「お父さんやお母さんの休日の過ごし方」でもいいし、友達に演技をしてもらってオリジナルの物語を撮ってみてもいい。最初はうまくいかないかもしれないけど、つくってみると、はじめは気づかなかったこと、もっと撮りたかったもの、もっと良くするためにはどうしたら良いかが見えてくる、そのこと自体がだんだん楽しくなっていくよ! 
つくった映画は、自分にとっても、周りの人にとっても大切な宝物になるはず! そうやって宝物を増やしながら、映画づくりの世界へ踏み出してみよう!

Profile:
アッシュ・ヌクイ
映画・テレビ番組のプロデューサー。日本、アメリカ、中国、ヨーロッパと、世界各国での製作に携わる。代表的な作品にニューヨークタイムスベストセラー原作「Memoirs of a Teenage Amnesiac」の映画化、やロシアで視聴率No.1に輝いた「ザ・スニッファー」シリーズの世界プロデュース等。世界数十カ国で人気の音楽番組のエグゼクティブプロデューサーも務める。

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