パトカーにはどんな種類がある?用途別の車種の違いと特徴

公開日: 2020/12/20

私たちの生活の中で一番身近な正義の味方といえば警察官ですね。私たちを犯罪から守り、交通事故からも守ってくれています。そんな警察官が乗っている車といえば、働く車の中でも絶大な人気を誇るパトカーです。今回はパトカーの種類や車種、用途など、知っているようで知らなかった警察車両の秘密に迫ってみましょう。

目次
日本のパトカー事情
パトカーの種類【交通取締用】
パトカーの種類【事故処理用】
パトカーの種類【警護用】
パトカーの種類【捜査用】
まとめ

日本のパトカー事情

一般的に言われるパトカー(パトロールカー)とは、警察官が担当地域で警察活動を行うための警察車両のことであり、「無線警ら車」および「小型警ら車」と、「交通取締用四輪車」にわけられます。「警ら」とは『警戒のために見守る』という意味です。「無線警ら車」と「小型警ら車」は街の中のパトロールに使用され、「交通取締用四輪車」は交通の取り締まり活動に使用されています。
またパトカーは国のお金で購入する国有パトカーと、各都道府県のお金で購入する県費のパトカーとしても分けることができます。県費で購入するパトカーは、それぞれの自治体によって様々な車種が使われていますが、国有パトカーは国が一括して購入するため同一の車種となんですよ。
日本の警察にパトカーが導入されたのは、昭和25年6月に当時自治体警察だった警視庁に初めて3台の無線警ら車が配置されたのが最初とされています。それまでは自治体警察の一部で、白いジープ等が利用されていました。しかし、未舗装道路がほとんどだった当時の道路事情により車体の汚れがひどく目立ったため、導入時、米国的な白黒ツートンの塗装に統一され、そのデザインが現在でも使われています。
赤色警光灯やサイレンについても、一般通行車両から良く見えるように、順次改良されています。
それでは、具体的にパトカーの種類と役割をみていきましょう。警察官の役割によって警察の緊急車両にどんな違いがあるのでしょうか?

パトカーの種類【交通取締用】

1.無線警ら車

街を走っていると子供たちから羨望の眼差しを向けられる、白黒ツートンでおなじみの警察車両です。主な任務は街中をパトロールし事件現場に臨場することです。臨場とは事件現場に臨み初動捜査に当たるという意味です。警察ドラマでもパトロール中のパトカーが緊急無線を受けて、事件現場に次々と急行するシーンなどを目にすることがありますね。白黒ツートンの無線警ら車の車種として圧倒的に多いのは、トヨタ・クラウンでしょう。次に多いのは、スバル・レガシィです。
一般車に逃走されては困るのでパトカーの車両には厳しい条件があります。クラウンにはパトカー用のグレードが存在し、メーカーが開発段階からパトカー用車両も市販車と併せて開発しています。そのためクラウンのパトカーがとても多いのです。
無線警ら車は、地域の警察官が主に使用しており、ルーフ上に白いボックスがあり、その上に昇降式の赤色灯がついています。赤色灯はブーメラン型で白いボックスには昇降機が収納されています。
パトロールは、運転する警察官と、無線を担当する警察官の2人1組で行うことが多いです。また、容疑者を乗せて運ぶこともあるため、後部座席のドアは内側からは開きません。助手席からも後ろが確認できるように、サイドミラーの上に後部座席が映るミラーが付いています。

2.小型警ら車

ミニパトと呼ばれている小型のパトカーです。本署から比較的遠方の交番や駐在所に配備されることが多いです。駐車違反や、交通違反の取り締まりに利用されています。使われている車両は、トヨタ・パッソやスズキ・ソリオ、スズキ・スイフトなどの小型自動車が多いです。

3.交通取締用四輪車

交通取締用四輪車は、取り締まりに必要な装備やエンジンスペックなど、他のパトカーにはない特徴を持っていて、猛スピードでスピード違反の取り締まりを行うことが可能です。
各都道府県の交通機動隊や高速道路交通警察隊に所属し、専門の教習を受けた警察官が乗車し、街中の交通違反を取り締まっています。
スピード違反の取り締まりの時に限り、緊急走行時の法定速度が免除され、3000cc以上の大排気量エンジンでスピードを出すことができます。
白黒ツートンタイプの「制服パトカー」と、パトカーであることを隠して走行するいわゆる「覆面パトカー」の2種類が存在し、どちらであっても、天井の赤色灯、フロントグリル左右の前面警光灯、サイレンアンプに接続されたスピーカーの3点セットを兼ね備えており、交通違反の取り締まり中に制限速度以上を出す場合には、原則この3つを稼働させないといけません。
赤色灯に関しては、覆面パトカーの場合、通常走行時に目立たないように「反転式」と呼ばれるものが使われています。これは、普段は天井裏に格納し、使用する時にフタが開き反転して赤色灯が登場する仕組みで、覆面パトカーの交通取締用四輪車独自のものです。後述する捜査用の覆面パトカーが使う、車内から取り出しマグネットで天井に取り付けるタイプとは違って高速走行でも外れる心配がありません。
使われている車種は、白黒のツートンタイプの場合は、やはりトヨタ・クラウンが多く、覆面タイプの場合はスポーツタイプのセダンが圧倒的に多いようです。トヨタ・クラウン アスリート200系や更に210系、スパル・レガシィや日産・スカイラインなども挙げられます。

パトカーの種類【事故処理用】

主に警察署や本部交通部の交通捜査係が使用しています。交通事故が発生した現場に駆け付け、現場の状況把握を行い、事故によって混乱している現場の交通規制を行ったり、事故処理を迅速に行ったり、第二の事故発生を防ぐことを主とします。裏側には電光掲示案が付いていて、「事故処理中」などの文字を流すことができるため、遠くからでも事故現場であることがわかるようになっています。
日産・キャラバンが最も多く、その他はトヨタ・ハイエースやマツダ・ボンゴブローニィも使われています。

パトカーの種類【警護用】

警護車とは主に要人警護などの目的に使用される車両です。主に内閣総理大臣、閣僚や官公庁の上官、都道府県知事など国内外の要人警護を目的に使用されます。車種はトヨタ・センチュリーやトヨタ・セルシオ、レクサス・LSなど、基本的に国産の高級車が使われます。

パトカーの種類【捜査用】

刑事ドラマなどで主人公の刑事が事件現場へ赴いたり、張り込みや聞き込みを行ったりする際に使っている車をイメージして下さい。警察車両であることがばれてしまってはいけないので、パトカーの代名詞ともいえるトヨタのクラウンが利用されることはほぼありません。機動捜査隊は、トヨタ・マークXや日産・スカイラインが、警察署の刑事課や生活安全課などの私服の刑事警察官には、トヨタ・アリオンやスズキ・キザシといった車種が多く使われています。前述した交通取締用四輪車と異なり、犯人を追跡する際には、赤色回転灯を車内から取り出し、手動で天井に取り付けます。

まとめ

パトカーと一口に言っても、見慣れた白黒のパトカーだけでなく、管轄している部署や乗車する警察官の任務によって、様々な違いがあることがわかります。車内や車外に、任務に必要な装備が数多く搭載されており、普段乗っている車とは全く違いますね。それぞれの役割を持った警察車両によって私たちの安全な生活は支えられているのです。

<参考サイト>
警察庁:現行警察法施行50周年記念
https://www.npa.go.jp/kouhousi/police-50th/history/equipment/patrol_car01.html
公務員総研:【パトカーだけじゃない!】警察の色々な「緊急車両」特集
https://koumu.in/articles/292
CarMe:クラウンやスカイライン…なぜ覆面パトカーにはセダンが多いのか?
https://car-me.jp/articles/3406

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