プログラミングが必修化される?導入背景と今後の成長
公開日: 2018/03/15
数年前から関心が高まっていたプログラミング教育ですが、日本の政府は、小学校段階でのプログラミング教育の実施を2020年から実施することを発表しました。そこで、プログラミング教育を小学校教育課程で始めることになった背景や導入後に期待されることなどについてご紹介します。
プログラミングが必修化される
2017年に新学習指導要領が発表され、そこでプログラミング教育が必修化されることが明かされました。どのような背景がありプログラミング教育を実施することになったのか、詳しく見ていきましょう。
●2020年からプログラミング教育が必修化される
文部科学省の発表によると、小学校段階でのプログラミング教育は、2020年からとされています。情報化社会が進み、産業界ではIT関連へ投資するところが増えています。それにともない、情報セキュリティなどのニーズも高まっており、情報化社会を支えるIT企業や企業の情報システム部などのIT人材の確保が難しくなってきているという現状があります。経済産業省の発表では、日本の社会をマクロな規模で見たとき、現在のIT人材は約90万人います。一見多そうに思えますが、高い成長率のIT市場では、現在でも約17万人不足している状況です。しかも、産業人口は、2019年にピークを迎え、その後減少傾向になるといわれています。産業人口は減少していくのにIT 利活用の需要が高まり、高度化・多様化は今後もますます進展すると考えられており、2020年にはIT人材は約92万人に対して不足数が約36.9万人、2030年にはIT人材は約85.7万人に対して不足数が約78.9万人に拡大すると予想されています。 IT人材の不足は、日本だけでなく先進諸国でもいわれていることですが、グローバル化によって海外にIT産業を奪われてしまう可能性があります。そうなると、優秀なIT人材が海外へ活躍の場を求めて進出してしまうことも考えられ、海外における日本の競争力が低下するかもしれません。このような背景を受け、日本の政府は、深刻化していくと考えられているIT人材の不足を少しでも減らすためのひとつの対策として、IT人材の育成や確保のために小学校教育課程からプログラミング教育を導入するに至ったといわれています。
小学校からプログラミングを勉強しなければならない理由
プログラミングと聞くと難しいイメージがあり、小学校では早いのではないかという保護者の方もいますが、日本の政府は小学校段階でのプログラミング教育の必修化を発表しました。
●従来まで
中学校では、2012年から情報教育が開始されています。授業の内容は学校によって異なることもありますが、ホームページの作成や簡単なロボットが作れるプログラミング学習教材などを通じて、情報教育が実施されています。
●海外では小学校からのプログラミング教育は既に一般的!?
2012年、日本では中学校で情報教育が開始されましたが、海外では同時期より小学校の教育課程において、プログラミング教育が開始され始めています。世界でも通用する優秀なIT人材を成長させていくためには、小学校からプログラミング教育を勉強しておくメリットは大きいと考える国が多く、先進国であるアメリカをはじめ、ヨーロッパの各国でも小学校からプログラミング教育を行うことが当たり前になってきています。
小学校のプログラミング教育ではどんな内容があるの?
気になるのが、小学校でのプログラミング教育の内容です。一般的に、プログラミングというと、プログラミング言語といわれるコンピュータに意図する命令を指示する言葉を使ってプログラムを組み立てることをイメージされる方が多いですが、小学校ではプログラミング学習を通して、コーディングができるようになることを目的としているわけではないため、難しいコードなどはほとんど使用しない予定です。
●基本的に授業はタブレット端末等の学習教材を使用する
基本的には、パソコンやタブレット端末などを使うとされていますが、毎回そのようなものを使うわけではありません。プログラミング教育の必修化で、「プログラミング」という教科が新たに追加されるわけではなく、国語、算数、理科、英語などのすでにある基本的な教科の中にプログラミングを盛り込む予定となっているため、パソコンやタブレット端末などのICT機器を使わない授業を行うこともあります。 小学校でのプログラミング教育では、プログラミングの学習を通して、論理的思考や創造性などの育成すべき資質や能力の「プログラミング的思考」を鍛えることが大きな目的のため、パソコンやタブレット端末などを使わず、プログラミングの考え方を応用した授業を行ったり、体を動かしたりしてプログラミング教育を行うこともあるのです。
●プログラミング学習にはビジュアルプログラミング言語を用いる
小学校でのプログラミング学習では、大人でも難しいプログラミング言語を使うのではなく、ビジュアルプログラミング言語といわれるものを使うことが多いようです。・ビジュアルプログラミング言語とはビジュアルプログラミング言語は、子どもでも直感的に扱えるようなプログラミング言語です。一般的なC言語やPHPなどの単語と文法をあわせたようなプログラミング言語とは異なり、命令などを視覚的に捉えられるため、簡単にプログラムを組むことができます。ビジュアルプログラミング言語でも、アニメーションやゲームの作成が可能で、その経験を通じて、子どもたちは論理的思考力を学ぶことができるとされています。簡単なゲームであれば、特に問題なく作れることもありますが、複雑な内容にしようとするほどプログラムが正常に動作しないことが多く、「問題点はどこか」、「どうすれば正常に動くか」を考えながら目的を達成していくことになります。この過程を繰り返す中で自然と論理的に考えるようになり、問題を解決する思考能力も習得することができるのです。ビジュアルプログラミング言語を使ったプログラミング学習は、国語や算数などの教科よりも直感的に論理的思考力について学習することが可能とされています。しかも、身についたプログラミング的思考は、プログラミング学習だけでなく、ほかの教科での学習や社会人になっても役立つため、小学校からプログラミング学習を行うメリットは大きいといえるでしょう。
2020年までに小学校を卒業すれば関係ない?
プログラミング学習が2020年から導入されるのであれば、小学校を卒業したら関係なくなると思うかもしれませんが、プログラミング教育の必修化に関係なく、プログラミングを学んでおいたほうが良いといわれています。
●今からでもプログラミング教育は学ばせるべき
中学校での情報教育はすでに始まっているため、2020年までに小学校を卒業する子どももプログラミングを学習したほうがよいでしょう。また、プログラミングを学習することで、毎日の勉強でも役立つ論理的思考力や集中力 、創造性や問題解決などの能力を養うこともできるといわれているため、今後学習への姿勢の変化も期待できます。今後IT化が進むにつれ、社会においてもプログラミング的思考は重宝されると予想されています。企業でもIT人材の確保が難しいことから、就職にも有利な人材となりうるといわれるため、プログラミングを学習しておくことで将来役に立つでしょう。バンダイのワンダースクールでは、キッズプログラミングやスクラッチなどの子ども向け学習教材を使用した授業の動画を公開しています。実際の操作などを見ながら楽しく学習できるため、ワンダースクールのキッズプログラミングなどの学習教材をうまく活用して、楽しくプログラミング的思考力を身に着けるとよいかもしれません。また、バンダイではプログラミング学習用教材として、幼児向けプログラミング知育玩具やC言語などの専門的なプログラミング知識を保持していなくても学習できるアプリケーションがあります。さまざまな学習教材が登場しているので、子どもにあうプログラミング学習教材を活用してプログラミングを学ばせてあげるとよいでしょう。
まとめ
IT化が進むにつれ、日本だけでなく先進諸国でもIT人材の不足が課題となっており、世界ではすでに小学校段階でのプログラミング教育が始まっています。日本でも、今後IT人材の不足数が増大することや海外でプログラミング教育が進んでいることを受け、文部科学省が2020年から、小学校段階でもプログラミング教育を実施すると発表しました。小学生にはまだ早いと感じる方も中にはいますが、プログラミング教育を通じて、日々の勉強や社会人になって強みとなるスキルを身につけることができるため、早いうちからやっておくほうがよいといわれています。子どもの場合、楽しみながらプログラミングを身につけられるビジュアルプログラミング言語が主流で、直感的にプログラミングが学べて自然と資質や能力が身につけることが可能です。ただ、初心者の場合、どのようにプログラミング学習を始めればよいのか戸惑いがちです。そのようなプログラミング初心者の方は、動画でプログラミングの授業などを公開しているワンダースクールの「そもそもプログラミングってなに?」などをチェックすることから始めてみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
TechAcademyは、プログラミングやアプリ開発を学べるオンラインスクールです。短期間で未経験からプロを育てるオンラインブートキャンプを開催。300社・10,000名を超える教育実績。日本e-Learning大賞を受賞。