ピラミッドの作り方は解明されている?巨大な石を運んだ方法とは

身近な疑問

ワンダー 1

公開日2025.12.01

巨大な三角形のシルエットが印象的なピラミッドは、歴史の教科書やテレビ番組で一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。ピラミッドといえばエジプトのイメージですが、実はメキシコやスーダンなど、世界にはピラミッドのような巨大な建物がいくつも存在します。 この記事では、その中でも特に有名で多くのナゾに包まれている「古代エジプトのピラミッド」の作り方に注目します。 ピラミッドの作り方は、現代でもまだ完全にはわかっていません。 しかし、考古学者たちの長年の研究で、有力な仮説がいくつも考えられています。 どんな材料や道具を使い、どうやって巨大な石を運んだのか、古代エジプト人の知恵と工夫を見ていきましょう。

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ピラミッドとは?

ピラミッドとは、石やレンガで造られた四角錐(しかくすい)の形をした巨大な建造物です。エジプト全土では、これまでに100基以上のピラミッドが見つかっており、古代エジプト人がいかにピラミッド建設に情熱を注いでいたかがわかります。

世界遺産でもある「ギザの三大ピラミッド」

エジプトのピラミッドで特に有名なのが、カイロの近くにある「ギザの三大ピラミッド」です。これらは今から約4500年前、古代エジプトのクフ王、カフラー王、メンカウラー王という3代のファラオ(王)が建てたと考えられています。
この場所は、1979年にユネスコの世界遺産にも登録されています。

ピラミッドが何のために作られたのかは、今も専門家の間で議論が続いています。王の魂が眠る墓(王墓)という説が有力ですが、王のパワーを示すためのシンボルだった、あるいは神様をまつる神殿だったなど、いろいろな説があります。

ピラミッドの大きさと使われた石の数

三大ピラミッドで最も大きいクフ王のピラミッドは、できたばかりの頃の高さが約146mもありました。これは、40階建てのビルとほぼ同じ高さです。

この巨大なピラミッドを作るために、なんと約230万個もの石が使われたといわれています。クフ王のピラミッドは、作られてから約3800年もの間、人類が作った世界でいちばん高い建物でした。

ピラミッドを作る材料と道具

クレーンもトラックもない時代に、古代エジプトの人々は、どこから材料を集め、どんな道具を使ってピラミッドを建てたのでしょうか。

たくさんの石をどこから集めたのか

ピラミッドの主な材料は、石灰岩(せっかいがん)と花こう岩(かこうがん)という2種類の石です。ピラミッド本体のブロックには、ギザの近くで採れる石灰岩が使われました。

一方、王様の部屋など、内部の大切な部分には、もっと硬くて丈夫な花こう岩が使われています。この石は、ピラミッドを作っている場所から約800kmも離れたアスワンという場所で切り出され、ナイル川を船で運ばれたと考えられています。

固い石を切り出した道具

当時のエジプトでは、まだ鉄の道具が使われていませんでした。それでは、どうやって硬い岩を切り出したのでしょう。

調査によって、人々は銅でできたノミやのこぎり、そして石のハンマーなどを使っていたことがわかっています。銅は鉄よりやわらかいので、作業はとても大変だったはずです。
また、岩の溝に木のくさびを打ちこんで水をかけ、木がふくらむ力で岩を割る、といった知恵も使われたと考えられています。

巨大な石を運んだ方法

切り出された石のブロックは1個が約2.5トンもありました。これは、車1~2台分くらいの重さです。重いものでは数十トンにもなりました。この巨大な石をどうやって建設現場まで運んだのでしょうか。

有力なのは、木のソリに乗せて大勢で引っぱった、という説です。古代の壁画にもその様子が描かれています。最近の研究では、ただ引っぱるだけでなく、ソリの前の道を水で少しだけぬらすことで、すべりを良くして運びやすくしていた、という発見もありました。

ピラミッドの作り方の工夫

材料をそろえたら、いよいよ建設です。何十万個もの石を、どうやってあの巨大な形に積み上げていったのでしょうか。

巨大な坂道「傾斜路」を使った?

重い石を高い場所へ上げるために、「傾斜路(けいしゃろ)」と呼ばれる大きな坂道が使われたと考えられています。しかし、その坂道がどんな形だったのかは、専門家の間でも意見がわかれています。

まっすぐな坂道説:ピラミッドの横に、まっすぐで長い坂道を作る方法です。シンプルな方法ですが、高くなるほど坂道が長くなってしまいます。

ジグザグの坂道説:ピラミッドの壁をジグザグに登る坂道を作る方法です。場所は取りませんが、石の向きを変えるのが大変です。

ぐるぐる回る坂道説:ピラミッドの周りをぐるぐると、うずまきのように登っていく坂道を作る方法です。

どの説が本当なのか、今も世界中の考古学者たちがナゾの解明に挑戦しています。

ピラミッドを作ったのはだれ?

以前は、ピラミッドはたくさんの奴隷(どれい)を無理やり働かせて建てられたと考えられていました。しかし、最近の発掘調査でその考えは変わりつつあります。

ピラミッドを建設したのは、専門技術を持つ職人や、農業ができない時期の農民たちだったようです。彼らが泊まるための村の遺跡も見つかっており、しっかりとした組織のもとで働いていたことがわかっています。石を運ぶ人、積み上げる人、食事を作る人など、大勢が協力してこの巨大プロジェクトを進めていたのです。

星と太陽で方角を測った

ギザのピラミッドは、4つの側面がほぼピッタリと東西南北を向いています。コンパスがない時代に、どうして正確な方角がわかったのでしょうか。

古代エジプト人は、天文学の知識が豊富だったと考えられています。夜空の星や太陽の動きを観察し、地面に立てた棒の影の長さを測るなど、シンプルな道具で驚くほど正確な方角を計算していたのです。

どうしてピラミッドを作ったの?

そもそも、古代エジプトの人々は、なぜこんなに巨大なピラミッドを作る必要があったのでしょうか。

王のパワーを見せつけるため

ピラミッドの圧倒的な大きさは、ファラオ(王)がどれだけ偉大で国を治める力があるかを、みんなに示すためのものだったと考えられています。「こんなに大きな建物を作れるのは、この私だけだ!」というメッセージだったのかもしれません。

死後の世界を信じていたため

古代エジプト人は、「人は死んでも魂は生き続ける」と強く信じていました。そのため、王の体を守るための「永遠の家」として、丈夫なピラミッドを建てたという説が有力です。三角形の形は、王の魂が天にのぼるための階段だという考え方もあります。

みんなの心を一つにするため

ピラミッド作りという国をあげた大プロジェクトは、何万人もの人々を長い間働かせるものです。このような大きな仕事をみんなでやりとげることで、エジプトという国全体を一つにまとめる目的があったのではないか、と考える考古学者もいます。

ピラミッドの作り方には、まだまだナゾがいっぱい!

この記事で見てきたように、ピラミッドの作り方はまだ完全にはわかっていません。

しかし、残された遺跡やさまざまな説から、古代エジプト人が持っていた天文学の知識、正確な測量技術、そして何万人もの人々を動かす組織力など、多くの知恵と技術があったことはわかります。

この不思議なピラミッドや古代エジプト文明について、図鑑や映像でさらに調べてみるのはいかがでしょう?博物館に行ってみるのもおすすめです。
ぜひ家族や友だちと「もし自分たちがピラミッドを建てるなら、どうやって石を運ぶ?」「一番の工夫は何だと思う?」と話し合って、4500年前からの歴史のナゾ解きを楽しんでみてください。

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