大相撲の基本ルールや用語を知って試合観戦を楽しもう!

公開日: 2023/07/29

日本の国技であり、日本の歴史や伝統文化が反映されている「相撲」。観ているとなんとなく勝敗はわかるものの、ルールはよく知らない方も多いのではないでしょうか。 この記事では、大相撲の基本的なルールや用語などについて解説していきます。

目次
大相撲に関するルールを知ろう!
大相撲の取組が始まるまでの流れは
大相撲の取組はいつ誰が決めるの?
試合観戦を楽しむために相撲用語を学ぼう!
独自の文化やルールが相撲の魅力

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大相撲に関するルールを知ろう!

まずは大相撲のルールや、勝敗の決まり方などを紹介します。

・取組についてのルール

土俵と呼ばれる円の中で行われる、力士同士の試合のことを取組といいます。大相撲では割(わり)とも呼ばれます。

取組には以下のルールがあります。
 力士同士の「立合い※」で開始する
 手で使っていいのは手の平と指だけ(張り手や、廻しを掴むなど)
 相手の足を引っかけたり払ったりするのはよいが、蹴ってはいけない
 禁じ手(反則技)を使ってはいけない
禁じ手は全部で8種類。まげを故意に掴む、拳で殴る、肘打ちをする、目やのどなどの急所を突く、胸やお腹を蹴るなどがあります。

※「大相撲の取組が始まるまでの流れは?」の中で詳しく説明しています。

・勝ち負けの決まり方
次に、どのように勝ち負けが決まるのか見ていきましょう。

取組の決着には、次の3つのパターンがあります。

1. どちらか一方の体が、土俵外に着く。
2. どちらか一方の足の裏以外が、土俵の上や土俵外に着く。
3. どちらか一方の選手が、禁じ手を使う。

勝敗の判定は、行司(他のスポーツでいう、審判)によって行われます。

ただし、土俵の周りにいる5名の審判員と次の取組を控えている2名の控え力士は、行司の判定に疑問を感じたら異議を唱えることができ、これを「物言い」といいます。

物言いがつけられると、ビデオ映像を参考にして、審判員による協議が行われます。正しく公平に勝敗を決定するための制度であり、稀に物言いによって判定が覆ることもあります。

大相撲の取組が始まるまでの流れは

大相撲では、取組の前にやるべきことが決められています。ここでは、土俵に上がってから取組が始まるまでの動作や作法について紹介します。

・塵手水(ちりちょうず)

力士が土俵に上がったあと、取組の前に行う作法の一つです。「塵を切る」「手水を切る」ともいいます。

蹲踞(そんきょ)※の姿勢になり、揉み手をしてから拍手を打ち、両手を広げて掌をかえすという一連の動作を指します。手に何も持っておらず、正々堂々と戦う意思を確認し合ったことと、空気を揉んで清めることが起源とされています。

※踵を上げて、膝を左右に開いて腰をおろした状態で、上半身はまっすぐに起こします。相手に敬意を表す姿勢だといわれています。

・仕切り

取組開始前の構えです。
まずは、土俵中央にある2本の仕切り線ごしに力士同士が向かい合います。そこから目を合わせ、腰を落としていって、仕切り線にこぶしをつくまでの一連の流れを表します。

番付(力士の強さの階級)によって次のように仕切り制限時間が定められています。

幕内※ 4分以内
十両 3分以内
幕下以下 2分以内

※番付の上位階級の総称です。最上位が横綱、続いて上から大関、関脇、小結、前頭までを指します。

仕切りに回数制限はありません。制限時間内では何回でも行うことができます。

力士はこの間に、相手の様子をうかがったり、作戦を考えたりしながら準備をしています。
時間が迫るごとにどんどん緊張感が高まってくるので、ここでの駆け引きも大相撲の大きな見どころです。

・立合い

仕切りの状態から立ち上がって、取組を始める瞬間を立合いといいます。大相撲では、行司が取組開始の合図を出しません。力士がお互いの呼吸を合わせて取組を始めます。

少しでもタイミングがずれてしまうと、その立合いはやり直しになってしまいます。そのため力士には相当な集中力が要求されます。

「相撲の勝負は立合いで決まる」ともいわれるくらい、取組の行方を左右する大事な瞬間です。

大相撲の取組はいつ誰が決めるの?

大相撲は、1年に6回奇数月に「本場所」という興行が行われ、それぞれの場所の結果によって番付が決まります。

各場所の開催期間は15日間。この期間の中で、幕内と十両の力士は15番(15試合)、幕下以下は7番(7試合)行います。

1日の取組数は、多いときで約160にものぼります。これほど膨大な数の取組は、どのように決められているのでしょうか。

・取組はいつ決めているのか

初日と2日目の取組は、本場所の始まる2日前に決まります。3日目以降の取組は、それまでの勝敗を考慮して、取組の前日に決まります。

同じくらいのレベルや勝敗の力士同士を戦わせることができるため、公平性を保ったり興行を盛り上げたりできるメリットがあります。

・大相撲の取組は誰が決めるのか

大相撲の取組は、審判部が取組編成会議で決めています。審判部の構成員は、審判部長、副部長、審判委員、理事、行司で、合わせて30名ほどです。

・同部屋の力士は対戦するのか

基本的に、同部屋や、兄弟同士、4親等以内の力士同士の取組は行われません。ただし、優勝決定戦だけは例外です。

試合観戦を楽しむために相撲用語を学ぼう!

相撲を観ているときに、「今の言葉はどういう意味だろう?」と思ったことはありませんか?
ここでは、よく出てくる相撲独自の用語を紹介します。

・いなす

相手が突っ込んで攻撃してきたときに、それを正面で受けずに、右か左に身をかわすことです。相手の力を弱めたり、相手の体勢を崩したりすることができます。

・相四つ(あいよつ)

得意な差し手が同じ力士同士の取組のことです。基本的に、どの力士も左右どちらか得意な差し手があります。右手を相手の左脇の下に差して(入れて)いる場合は「右四つ」、左手を相手の右脇の下に差している場合は「左四つ」といいます。右四つが得意な力士同士、左四つが得意な力士同士の取組が相四つです。

反対に、得意な差し手が違う力士同士の取組は「喧嘩四つ(けんかよつ)」といいます。この場合、差し手を取り合う「差し手争い」が起こり、激しい手の突き合いが見られることもよくあります。

・あんこ型

丸々と太った体型の力士のことです。お腹が膨らんでいるアンコウという魚が由来だといわれています。

・ガチンコ

真剣勝負のことです。稽古場で力士同士が全力でぶつかるときに「ガチン」と音が鳴ることから来ているといわれています。ガチンコの反対語は、「注射」という隠語です。

・決まり手

勝負が決まったときの技のことで、現在決まり手は82手あります。よく出る決まり手は「寄り切り」と「押し出し」。この2つで全体の約50パーセントを占めます。

・四股

相撲の基本動作の一つです。膝に手を添えて足を高く上げたのち、強く地面を踏みます。地面に潜む邪気を踏んで閉じ込めるという、邪気払いの力があるといわれており、力士は2回四股を踏んでから土俵に上がります。体幹や下半身の強化や柔軟性の向上にも役立つため、稽古にも取り入れられています。

・ソップ型

痩せている力士や、脂肪が少ない筋肉質な力士のことです。そっぷとはスープのこと。スープの出汁を取る鶏ガラのように痩せているというのが語源です。

・力水(ちからみず)

自分の出番が来て土俵に上がった力士が、他の力士から渡される清めの水です。ひしゃくに入った水で口をすすいだあと、力紙で口元を隠しながら土俵の側面にあるたらいに吐き出します。この一連の流れを「力水をつける」といいます。力水を渡す力士は、基本的に直前の取組で勝った力士が務めます。

独自の文化やルールが相撲の魅力

大相撲の基本ルールや用語を解説しました。大相撲ならではの決まりごとが多くありますが、それぞれの意味を知ると、もっと観戦が楽しくなるはずです。

また、大相撲には、他の武道や格闘技のように体重による階級分けがありません。小柄な力士が巨漢の力士を倒す場面を見られるのも醍醐味の一つです。ぜひ、全力で体をぶつけ合う迫力を感じてほしいと思います。

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