プログラミング教育必修化に関するアンケート調査 家庭内での準備状況は?小学1~6年生の保護者500人に聞きました

公開日: 2020/03/31

学習指導要領の改訂に伴い、2020年4月から小学校でのプログラミング教育が必修化となります。社会のIT化を背景に、コンピュータ等の情報機器の基本的な利用方法を学び、論理的に物事を考える力を養うことが主な狙いです。 では、プログラミング教育の必修化が目前となった今、ご家庭内ではどのような準備・取り組みが行われているのでしょうか。 今回は、小学生の子供を持つ20代~50代の保護者500名(男性241名、女性259名)を対象に、「プログラミング教育必修化」に関するアンケート調査を実施しました。

目次
プログラミング教育必修化の内容を十分に理解している人は2割弱
情報集めはインターネット検索がメイン、しかし収集していない人も4割超
プログラミング教育の必修化は6割が賛成、4割が反対
「学ぶのは早いほうが良い」vs「小学校ではほかに学ぶべきことがある」
プログラミング教育必修化に期待することは
「基本的な知識・技能の習得」と「興味を持つきっかけづくり」
保護者が考える必要なサポートは
「IT環境の整備」「親子で挑戦」「教材を用意」の3本柱
プログラミング教育必修化に向けて準備している保護者は2割弱
プログラミング教育必修化に不安な保護者は7割、内容面や環境面に懸念
まとめ

プログラミング教育必修化の内容を十分に理解している人は2割弱

Q1.2020年4月からのプログラミング教育必修化について、どの程度内容を理解されていますか?

プログラミング教育必修化について、「十分内容を理解している」と回答した人は17.4%(87名)に留まるという結果になりました。「理解していない」「あまり理解していない」を合計すると68.6%(合計343名)、「そもそも必修化を知らなかった」という人も14.0%(70名)存在することから、プログラミング教育必修化の狙いや実施内容については、未だに浸透しきっていない可能性があります。

情報集めはインターネット検索がメイン、しかし収集していない人も4割超

Q2.プログラミング教育必修化についての最新情報はどのように収集されていますか?(複数回答可)

※棒グラフの色は赤が女性、青が男性を表しています。(以下同様)

プログラミング教育必修化に関して、最新情報を収集できている保護者は58.6%(293名)でした。情報収集を実施していない人が4割を超えており、情報のアップデートができていない家庭では、プログラミング教育必修化について、子供に対して誤った認識を与えている可能性があります。

また、情報収集を実施している保護者は複数の方法を使い分け(一人当たり約1.8件※1)しており、その中でも特にインターネット検索を利用している人が多い(34.0%、170名)ことがわかりました。「小学校教師」(16.2%、81名)や「友人」(13.8%、69名)など人づてで情報を得ている保護者も一定数存在し、特に女性にこの傾向が強く現れています。そのほかの性別による違いとして、男性はSNSの中でもYouTubeで情報収集を行う特徴があり、(22.6%、53名)、女性はInstagram(23.1%、34名)を通じて情報を得るという傾向が見られます。

※1:回答数合計522件を、情報収集をしている保護者293名で割った数

プログラミング教育の必修化は6割が賛成、4割が反対
「学ぶのは早いほうが良い」vs「小学校ではほかに学ぶべきことがある」

Q3.プログラミング教育の必修化について、どのように感じていらっしゃいますか?回答した理由もお答えください。

※設問内にプログラミング教育必修化についての概要を参考資料として用意。

<回答理由>
主な賛成意見:
・論理的なものの考え方を身につけることができると思うから。(小学2年生の保護者/30代男性)
・これからの時代には必要な知識と技能だと思うから。(小学6年生の保護者/30代女性)
・情報化社会を理解するきっかけになれば良いと思うから(小学4年生の保護者/40代男性)

主な反対意見:
・小学生の内はなるべく自然に触れさせたいので。(小学1年生の保護者/40代男性)
・将来、その道に進みたい人が、高校や大学進学で学べばいいと思う。(小学5年生の保護者/40代女性)
・他に覚えなくてはいけない、学んでほしいことがあると思う。(小学4年生の保護者/30代女性)

プログラミング教育必修化に対するスタンスとして、64.2%(321名)が賛成、35.8%(179名)が反対と回答しています。性別ごとに比率を見ると、男性のほうがやや反対が多いようです(男性:賛成61.0%・反対39.0%、女性:賛成67.2%・反対32.8%)。
賛成意見をまとめると、今後の社会に必要な知識・技能であり、早めに取り組んだほう良いがという声が多く、一方反対側では小学生のうちは、国語や算数などほかに学ぶべきことがたくさんあるという意見が多く挙がっています。両者はプログラミングについて今後必要になる知識・技能であるという点ではおおむね一致していますが、学ぶ時期をめぐってスタンスが分かれるようです。

プログラミング教育必修化に期待することは
「基本的な知識・技能の習得」と「興味を持つきっかけづくり」

Q4:プログラミング教育の必修化が子供にどのような影響を与えることを期待していますか?(複数回答可)

保護者が小学校でのプログラミング教育必修化に最も期待していることは「プログラミングについての基本的な知識や技能を習得する」(222名)が最も多く、次いで「プログラミングに興味を持つきっかけをつくる」(207名)、「新しいことに挑戦する楽しさに気づく」(190名)が続きます。
プログラミングに関心を持つきっかけづくりを超えて、授業内では具体的な知識や技能まで踏み込んで欲しいという希望が現れている(※2)と考えられます。

※2:2020年4月から実施される小学校でのプログラミング教育必修化では、個別具体的なプログラミング言語を覚えたり、技能を習得したりすることは目的としていない。

保護者が考える必要なサポートは
「IT環境の整備」「親子で挑戦」「教材を用意」の3本柱

Q5.プログラミング教育の必修化に向けて、保護者はどのようなサポートを行うべきでしょうか?

プログラミング教育の必修化に向けて必要な家庭内での準備として、「IT環境を整える」が最も多く(209名)、「子供と一緒にプログラミングを学ぶ」(191名)、「プログラミングの学習教材を用意する」(184名)が続きます。まずは自宅で子供が自学自習できる環境をつくった上で、親子で一緒に取り組むことが大切であると考えているようです。
一方で「プログラミングスクールや体験会に参加する」を選択した人はほかに比べて少なく(121名)、家庭の中で完結するようなサポートを優先的に実施したいという意図が汲み取れます。

プログラミング教育必修化に向けて準備している保護者は2割弱

Q6.プログラミング教育の必修化に向けて、ご家庭内で準備を進めていますか?

多くの保護者はプログラミング教育必修化に向けて、何らかのサポートが必要と認識していますが、実際に準備・実施した人の割合は24.4%(122名)に留まりました。男女の違いを比較すると、男性のほうが必修化に向けて準備を進めている傾向が見られます(男性:28.2%・68名、女性:20.8%・54名)。

Q7.プログラミング教育の必修化に向けて、ご家庭内で準備・実施されていることを教えてください(複数回答可)

実際に準備・実施を行っている122名について、最も多いのは「IT環境を整えた」(66名)、次点で「プログラミングの学習教材(書籍やアプリ、おもちゃなど)を購入した」(58名)が続きます。環境面の整備を優先的に進めている様子が伺えますが、Q5の必要なサポート内容で2番目に多かった「子供と一緒にプログラミングを学ぶ」に関連する、「子供向けプログラミング体験イベントに参加した」(32名)、「子供に教えられるようにプログラミングの勉強を始めた」(19名)について、実行している保護者は少数という結果になりました。

Q8.プログラミング教育の必修化でお子様がつまずかないために、今後どのようにサポートしていく予定ですか?(複数回答可)

※「現状、特別なサポートをする予定はない」の選択肢を選んだ場合、その他の回答が選択できないように設定。

準備をしていない378名の中で、145名の保護者は「現状、特別なサポートをする予定はない」と回答しています。時間の制約や経済的な問題など、家庭によって理由はさまざまですが、当面の間は学校での指導に任せるという意図かもしれません。

また、今後準備を予定している233名の保護者については、すでに準備を進めている人同様、まずは「パソコンやタブレットなどのIT環境を整える」ことから始めようと考えている人が多い(111名)ようです。

プログラミング教育必修化に向けて準備を進めている家庭は今のところ少数派とはいえ、これから何かしらの準備する予定の人を合わせると71.0%(355名)にもなることから、家庭内におけるサポート体制は今後二極化していく可能性があります。

プログラミング教育必修化に不安な保護者は7割、内容面や環境面に懸念

Q9.プログラミング教育の必修化について不安に感じていることを教えてください(複数回答可)

プログラミング教育必修化に対して、何らかの不安を感じている人が73.2%(366名)も存在することがわかりました。内容を見ると「プログラミング教育の授業内容」(164名)、「プログラミングを十分に教えられる教師の不足」(162名)が多く、学習指導要領そのものや実行する教師、学校などの体制面に対して不安に思っていると言えるでしょう。その他の意見としては、「家庭環境の違いよって習熟度に差が出ること」や「子供の体調面への影響」を懸念する声が上がっています。

まとめ

家庭内でのサポートでプログラミングを“楽しいこと”に

今回のアンケート調査では、小学校でのプログラミング教育の必修化に対して、十分に準備を進められているご家庭はまだまだ少ないという現状が浮き彫りになりました。授業で触れることでプログラミングに興味を持ち、将来の仕事にしたいと考える子供が出てくるでしょう。一方で、授業だけでは理解が追い付かず、プログラミングに対して苦手意識を持ってしまう子供が出てしまうおそれもあります。
そのような事態を避けるためには、小学校や教師に任せきりにせず、保護者が一緒になって取り組み楽しさを伝えるなど、何らかのサポートが必要になるでしょう。子供がプログラミングを好きになれるよう、今のうちから各ご家庭でできる範囲のサポートを実施してみてはいかがでしょうか。ワンダースクールのプログラミング部では、無料で楽しめる動画やゲームをご用意しています。プログラミング教育を子供と一緒に考えるきっかけとして、ぜひお使いください。

▼参考資料
「小学校プログラミング教育必修化に向けて」パンフレット(未来の学びコンソーシアム作成)
https://miraino-manabi.jp/assets/data/info/miraino-manabi_leaflet_2018.pdf

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