魚も人間みたいに寝るの?魚は海の○○で眠っている!

公開日: 2023/03/30

水の中を常に泳ぎ回っている印象が強い魚ですが、人間のような動物と同じように眠ることがあるのでしょうか?もし寝るとしたら、水の中でどうやって体を休めているのか気になりますよね。この記事では魚の睡眠について解説していきます。

目次
魚も人間みたいに寝るの?
魚は海のどこで寝ているの?
変わった寝方の魚たち
魚はいつ寝ているの?
魚にとっても睡眠は重要!

おすすめコンテストを紹介!

魚も人間みたいに寝るの?

魚も人間や他の動物と同様に眠ります。しかし、魚の種類によって睡眠のスタイルは大きく異なり、その眠り方は人間とは違うようです。

魚の眠り方を紹介する前に、まず「眠る」とは何かを考えてみましょう。人間を含む哺乳類の場合、眠っている状態は外見からもよく分かります。基本的に睡眠中は動作が少なくなり、目を閉じてじっとしています。運動量が多くカロリーの消費が激しい動物ほど長い時間眠る傾向があるので、睡眠は疲労を回復するために体を休める機能として進化してきたと考えられています。この意味では、魚も体を休める状態をとることがあるので、「魚も寝る」と言えます。しかし、多くの魚には人間のようなまぶたが無く目を閉じることができないので、外見上は眠っていることが分かりにくくなっています。

魚は海のどこで寝ているの?

陸上で生活する哺乳類の場合、眠る場所は地面(人間の場合は床に敷いた布団やベッド)で、外敵から攻撃されにくい場所を選ぶのが一般的です。それでは、水中で生活する魚の場合はどのような場所で寝ているのでしょうか?

・砂にもぐって寝る

ベラという種類の魚の中には、砂の中に潜って眠るものがいます。ベラには多くの種類があり、色がきれいで水槽で飼育しやすい魚も存在します。しっかりと砂を敷き詰めた水槽であれば、眠るときに砂に潜る場面を観察できます。

・海藻につかまって寝る

カワハギの仲間では、海藻につかまって眠る魚もいます。カワハギは比較的小型の魚で、泳ぐ力が強くないので、海の中の水の流れ(海流)に流されてしまわないように海藻につかまって眠る習性を身に付けたのかもしれません。

・サンゴの間で寝る

海底に生息するサンゴは、睡眠をとりたい魚たちにとって絶好の隠れ場所です。入り組んだ形のサンゴの隙間に体を置くと、大きな魚の接近や、海流で流されるのを防ぐことができると考えられています。サンゴが豊富にある暖かい地域では、このようにサンゴを利用して眠るタイプの魚が多く観察されます。

・イソギンチャクの間で寝る

アニメ映画の主人公として有名になったカクレクマノミは、イソギンチャクの中で眠る珍しい性質を持っています。イソギンチャクの触手には毒があるので、多くの魚は触れることができません。カクレクマノミはこの毒から体を守る仕組みを持っているので、イソギンチャクの中でも安心して眠ることができます。

カクレクマノミは一方的にイソギンチャクを利用しているようにも見えますが、カクレクマノミが近づいてくることでイソギンチャクの周りに新鮮な海水が届くというイソギンチャク側のメリットもあるようです。カクレクマノミとイソギンチャクのように、異なる種類の生き物がお互いに利益を得る関係のことを「相利共生」と呼びます。

変わった寝方の魚たち

ここまで紹介したように、安全に身を休めることができる場所を探して眠るのは、人間のような哺乳類と共通点が多い眠り方といえます。しかし、水の中で暮らす魚の中には変わった眠り方をするものも知られています。

・泳ぎながら寝る魚

マグロやカツオは寝ている間も泳ぐことをやめません。その理由は、マグロなどの呼吸の方法にあります。水の中で生活している魚も、私たちと同じように「酸素」を取り込んで「二酸化炭素」を排出する必要があります。人間は口から空気を吸い込み、肺を使って呼吸しますよね。一方、魚の場合は「エラ」という部分から水を取り込み、水中の酸素を取り入れます。

マグロやカツオの場合、泳ぐことによってエラから水が取り込まれる仕組みになっているため、泳ぐことをやめてしまうと呼吸もできなくなってしまうのです。マグロなどの睡眠の仕組みは現在でも研究が進められていますが、泳ぎながら短い時間で少しずつ体や脳を休めることでエネルギーの消費を抑えていると考えられています。

ちなみに、マグロやカツオは海などを大きく移動する「回遊魚」と呼ばれることがあります。回遊魚の中には、泳いでいない時もエラを動かして呼吸できる魚もいます。「回遊魚=泳いでいないと死んでしまう」というわけではありません。

・自分で寝袋をこしらえて寝る魚

ブダイという魚は自分で寝袋を作って眠ることが知られています。この寝袋の正体は、魚のえらのあたりから出てくる粘液で、ネバネバした膜を作って魚の体全体を包み込むことができます。この膜の役割は、寄生虫から体を保護することや、とがった岩から身を守ることです。他にも、体から出る匂いが漏れ出さないようにして、捕食者から身を隠しているとも考えられています。

敵に襲われないよう毒ビレを立てて寝る魚

眠っている間は動きが鈍くなるので、捕食者に食べられてしまう危険性が高まります。そこで、毒をもったヒレを立てて、捕食者に危険を知らせる魚がいるのです。ヒメアイゴという魚は、背ビレや尻ビレに毒のある鋭いトゲを持っています。ヒメアイゴが眠るときはこのヒレを立てていて、捕食者が毒を避けて食べることを難しくしています。

・死んだふり?横になって寝る魚

工夫を凝らした特徴的な眠り方をする魚がいる一方で、シンプルに体を横にして死んだように眠る魚もいます。このような魚たちは、「疲れた時はとにかく休む!」という戦略をとっているのかもしれません。

魚はいつ寝ているの?

陸上の生き物と同じように、魚にも昼間活発に動いて夜は休息する「昼行性」の種類と、昼間の行動を抑えて夜間に活動する「夜行性」の種類がいます。水の中が暗くなる夜間は餌を発見して捕まえることが難しくなりますが、逆に考えると、天敵に見つからずに行動できるメリットにもなる可能性があります。

釣りをする人は、狙っている魚の習性を知っておくと良い結果につながります。例えば、お寿司のネタとしても人気があるアナゴは夜行性なので夜釣りが効果的です。

魚にとっても睡眠は重要!

寝ている印象があまりない魚にとっても、長い間生きていくためには睡眠による休息が欠かせません。眠っている間は敵に襲われたり、水流に流されたりといった危険がたくさんあるので、魚はいろいろな工夫をこらした睡眠テクニックを進化の中で獲得してきました。

最近の研究では、魚にも人間が夢を見ている時と似たような脳の活動パターンがあることが発見されています。もしかしたら、海の中の魚たちも私たちと同じように夢を見ながら体を休めているのかもしれませんね。

この記事をいいねと思ったらクリック!

3ワンダー