てるてる坊主の由来とは?日本で広まった時期や吊るし方の豆知識

身近な疑問

ワンダー 3

公開日2025.05.19

「明日は晴れてほしいな」そんな気持ちで『てるてる坊主』を作って吊るしたことがある人も多いのではないでしょうか。白い紙や布で作る小さな人形に、そっと願いを込めるこの風習は、今も多くの子どもたちに親しまれています。 ところで、なぜてるてる坊主を吊るすと晴れると言われているのか知っていますか?実は、てるてる坊主には昔から伝わるいくつかの由来があるのです。 この記事では、てるてる坊主の由来や名前の意味を分かりやすく解説します。そして作り方や豆知識についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

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てるてる坊主の由来とは?

てるてる坊主の誕生には諸説があり、昔の中国や日本の文化が深く関係しています。ここでは、そのもとになったとされる2つのお話を紹介します。

中国の「掃晴娘」(そうせいじょう)

てるてる坊主のもとになったといわれている話の1つに、中国の「掃晴娘(そうせいじょう)」があります。
「掃晴娘」は、ほうきを持った女の子の切り絵の人形で、長く雨が続いたときに登場します。中国では、この女の子が空の雲をほうきではいて、晴れにしてくれたという言い伝えがありました。
この風習が日本に伝わり、形を変えて、今のてるてる坊主になったと考えられています。

日本の妖怪「日和坊」(ひよりぼう)

もうひとつの由来として、日本の妖怪「日和坊(ひよりぼう)」が関係しているという説もあります。
日和坊は、江戸時代の古い本「今昔画図続百鬼(こんじゃくがずぞくひゃっき)」に登場する妖怪で、晴れた日に山の上に現れると伝えられています。
日本では、昔から自然の力や天気を、神さまや妖怪のような不思議な存在に例えて考えることがよくありました。てるてる坊主も、そんな考え方から生まれたのかもしれません。

「てるてる坊主」という名前に変化した理由

「てるてる坊主」という名前は、晴れてほしいという願いが込められています。
「てるてる」は太陽が「照る(てる)」こと、つまり晴れを意味し、「坊主」は丸い頭が僧侶に似ていることから名づけられたと言われています。
また、昔の日本では地域によって呼び方が異なり、例えば「照法師(てるほうし)」「てりてり坊主」「日和坊主(ひよりぼうず)」などがありました。江戸時代にはこれらの名前が文献にも残っています。
こうした呼び名の違いから、てるてる坊主が日本各地で親しまれてきたことがわかりますね。

てるてる坊主が日本で広まったのはいつ頃?

てるてる坊主は、いつごろから日本中で広く知られるようになったのでしょうか。
ここでは、てるてる坊主が日本の暮らしの中にどのように根づいていったのかを見ていきます。

江戸時代には広く知られていた

てるてる坊主は江戸時代頃には多くの人に知られていたとされています。特に農業をしていた人たちの間で、大切にされていた風習でした。
当時、天気はとても重要でした。晴れが続けば作物はよく育ちますが、雨が長く続くと田んぼや畑に大きな影響が出てしまいます。そこで、人々は「どうか晴れてほしい」と願いを込めて、てるてる坊主を吊るしたのです。
昔の絵や書物には、家の軒先にてるてる坊主を吊るして天気を祈っている様子が描かれています。てるてる坊主は、ただの飾りではなく、暮らしを支える大切な存在だったことがわかります。
また、地域によっては、農業の行事やお祭りでもてるてる坊主を使うところがありました。形や作り方に違いはありましたが、「晴れを願う気持ち」は全国共通だったのです。

てるてる坊主をさらに広めた童謡(どうよう)

てるてる坊主がさらに広まったきっかけは、大正時代に作られた童謡「てるてる坊主」でした。この歌は、1921年に発表されました。
やさしいメロディーと晴れを願う気持ちがこめられた歌詞が人気となり、教科書に掲載されていたこともあるようです。
この童謡のおかげで、てるてる坊主は雨の日の定番となり、今では遠足や運動会の前の日に子どもたちが願いを込めて吊るす風景が当たり前になっています。

てるてる坊主の作り方

てるてる坊主は、身近にある材料で簡単に手作りできます。天気が気になるときに、ぜひ作ってみませんか。

【用意するもの】
てるてる坊主に使うものは、家の中にあるもので大丈夫です。
*ティッシュペーパー(2〜3枚)
*輪ゴム(首の部分をしばるため)
*マジックペン(顔を描くときに使います)
*ひも(吊るすため)
*マスキングテープ(ひもをとめるときに便利です)

【作り方の手順】
1.頭を作る
ティッシュを2枚重ねて、ふんわり丸め、頭の形を作ります。

2.体で包む
もう1枚のティッシュで、頭をやさしく包みます。

3.首をしばる
包んだティッシュの下の部分を輪ゴムでしっかりしばって、首を作ります。

4.形を整える
下の部分を広げて、ふんわりと傘のような形に整えましょう。

5.顔を描く(お好みで)
てるてる坊主には、最初は顔を描かないという昔ながらの方法もありますが、にっこり笑顔やほっぺを描いても大丈夫です。

6.ひもをつけて吊るす
頭の後ろにひもをつけ、マスキングテープで固定したら完成です。窓の近くなど、外が見える場所に吊るしましょう。

知らなかった!てるてる坊主の豆知識

ここでは意外と知られていない、てるてる坊主にまつわる豆知識を紹介します。

てるてる坊主に顔を描いてはダメ?

「てるてる坊主に顔を描いてはいけない」と言われることがありますが、これは昔からの言い伝えです。
理由は、「顔を描くと、てるてる坊主が『願いがかなった』と勘違いする」という考えがあったからです。ただし、願いがかなった後に「ありがとう」の気持ちで顔を描くのは、むしろ良いと考えられていました。
今では、最初から顔を描く人も多く、にっこり笑った顔やピンクのほっぺなど、自分だけのてるてる坊主を作っています。大切なのは、昔の言い伝えを尊重しながらも、楽しく作ることです。

てるてる坊主は逆さに吊るす?

一般的には、てるてる坊主は頭を上にして吊るしますが、実は逆さに吊るすこともあります。これは「雨乞い」の意味が込められています。
たとえば、夏に暑い日が続いて水が足りないときや、畑や田んぼに雨が必要なときなどです。逆さに吊るすことで、「雨がふってほしい」という願いを伝えることができると言われています。

役目を終えたてるてる坊主どうする?

てるてる坊主を吊るした後、「どうやって片づけるべきか?」と迷うこともあるかもしれません。
大切なのは、「願いをかなえてくれてありがとう」という気持ちを込めて、丁寧に処分することです。
昔は川に流して自然に返す方法がありましたが、今では環境を守るため、川に流すことは避けたほうが良いとされています。
現在では、次のような方法での処分が推奨されています。

*きれいな紙や布で包んで、家庭ごみとして丁寧に処分する
*小さく折りたたんで、「ありがとう」と心の中で伝えてから捨てる

地域によっては、特別な方法があることもあります。地元の風習に従って、処分方法を確認するのも良いでしょう。

てるてる坊主の魅力とその役割

てるてる坊主は、「明日は晴れてほしい」という気持ちを形にしたおまじないです。小さな人形の中には、昔の人たちの願いや思いがたくさん詰まっているのかもしれません。

中国から伝わった伝説や、日本の妖怪の話、江戸時代の農家の人たちの願い、さらには「てるてる坊主」の歌など、たくさんの人たちがてるてる坊主を通して「晴れてほしい」と願ってきました。そうして、てるてる坊主は日本の文化の中で育まれてきたのです。
もし、これから雨が降りそうな予報が出たら、ぜひてるてる坊主を作ってみましょう。家族やお友だちと一緒に、心を込めて願いをかける時間は、きっと楽しい思い出になりますよ。


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