フィギュア撮影のコツは?カメラの調整方法とライティングのポイント
公開日: 2019/03/29
フィギュア撮影に必要なものや、カメラの調整方法やスマホでの撮影ポイントをまとめて紹介します。
フィギュアの撮影に必要なもの
フィギュア撮影を行う上で、まず撮影に必要な機材や素材道具を用意しなければなりません。カメラはもちろんですが、撮影するフィギュアの背景になる背景紙、きれいに撮るために照明やレフ板がそれに当たります。
カメラ
最近はスマホのカメラ機能もかなり性能が高いので、はじめはスマホカメラで十分かもしれません。撮影に興味が出てきたら、デジカメ(デジタルカメラ)や一眼レフの購入も検討しましょう。この記事では機能の調整ができるカメラをお持ちのケースと、スマホカメラで撮影するケースの両方を踏まえて説明していきます。
背景紙
背景紙は、フィギュアをきれいに引き立たせて撮影するために必要なものです。背景紙の横幅は、フィギュアを真ん中にのせ、カメラの画角(写真の写る範囲)からはみ出るくらいは必要です。奥域はカメラの画角、フィギュアを置いて背景紙の奥を立ち上がらせる場合、そのまま平らにして撮影する場合など、撮りたい状況によって変わってきますので、使用するレンズを決め、どうやって撮影を行うかイメージした後に用意するとよいでしょう。
照明
照明は、カメラ付属のストロボを使うより、照明の自由度を広げるためにも、外付けのクリップオンストロボを用意しましょう。それが用意できない場合は、LEDを使用した少し大きめの懐中電灯や、LEDを利用した100W程度の卓上ライトでも代用できます。LEDの懐中電灯を使用する場合は、それを固定するものもあった方が便利です。
レフ板
レフ板は人物を撮影する際に使用するような大きなものでなく、被写体になるフィギュアのサイズに合わせて用意しましょう。レフ板は、白と銀色と2色用意しておけば最初は大丈夫です。A3サイズの画用紙や、料理に使用するアルミホイルを使用すると、サイズの調整なども簡単です。
そのほか、三脚は小さなものでも用意した方が、少ない光量でも撮影できるのでよいでしょう。
フィギュアの撮影方法
準備するものが用意できたら、実際に撮影の準備にかかります。
まずは、撮影イメージにあったステージを、先ほどの背景紙を利用して準備します。カメラの位置が被写体のフィギュアに対して上の方にある場合は、フィギュアの奥の方まで写ってこないので、背景紙はそのまま平らでテーブルなどに置いておきます。
また、カメラの位置が低い場合は、平らに置いただけでは、背景に必要のないものが写ってくる場合がありますので、その際はフィギュアの奥側の部分の背景紙を持ち上げて、背景が写らないようにしましょう。その際、背景紙はずれないように固定しておきます。
その上にフィギュアを立たせ、お気に入りのポーズを取らせてこちらも動かないようにしておきます。
そこまで用意できたら、フィギュアに対するカメラの位置を、ファインダーをのぞきながら探して決定します。
カメラの位置が決定したら、次は照明の位置を決めていきます。
照明の位置を決める
照明は、光を直接当てる、天井などに一度当てたものを跳ね返らせて当てる、フィギュアの後ろから当てる、横から当てるなどの方法があり、当てる方向などによってフィギュアのイメージが変わってきます。照明のセッティングは撮影の準備の中でも難しい工程です。ですが思いどおりにフィギュアを写せるようになると、楽しい準備になってきます。
照明の簡単な当て方をご紹介します。
クリップオンストロボを使用する場合は、カメラのホットシュー(カメラ上部の取り付け部)に装着してフィギュアに直接当てないよう、バウンスという方法を使って被写体に照射します。
バウンスのやり方は簡単で、天井に向けて照射し、その光をフィギュアに当てるという方法です。この場合は、光が拡散されフィギュアの上方から優しく当たるので影が出にくくなります。ネットショップの商品画像に近い仕上がりになってきます。
バウンスを天井ではなく横の壁などに当てて跳ね返らせる方法もあります。この場合は、光がフィギュアの一方から優しく当たりますので、光の当たっていない側に薄い影ができます。少しだけフィギュアに陰影をつけたい時に有効な照射の方法です。
天井でバウンスさせる際も、横の壁などにバウンスさせる際も、遠いと光が弱くなってきます。その時は、白いレフ板を天井や壁の代わりに使って、光の強さを調整しましょう。
クリップオンストロボを用意できない場合は、LEDの懐中電灯や、卓上ライトを使用します。
LEDの懐中電灯や卓上ライトは、光が強く指向性があるので、離れた位置からフィギュア全体に光が当たるようにします。LEDの光の強さにもよりますが、クリップオンストロボよりも影が強く出る場合があります。フィギュアとの距離を調整したり照射位置を上下させたりし、お好みの感じになるように調整してください。
LEDライトの10-20cm前方にティッシュを広げておくと、光が柔らかくなります。光を通すものならなんでも構いませんので、試してみてください。
色のついたものを使用すると、その色の光が反映されます。例えば、赤っぽいフィギュアに、白いLEDを当てると、赤が薄くなってしまう場合があります。そこで、赤い色のついたものを使って、光を照射すると赤が引き立ってきます。ティッシュや色のついたものをいろいろと試すと、今までにないちょっと違った感じで撮影できるようになると思います。
ここまで準備ができたら、実際に撮りながらカメラの設定を行っていきます。
カメラの設定を調整する
フィギュアは動かない被写体なので、カメラの設定は照明に比べ難しいものではありません。
カメラの設定の基本には、シャッタースピード、絞り値(F値)、ISO感度などがあります。撮影モードには、マニュアル、シャッタースピード優先、絞り値(F値)優先などあります。基本的には、シャッタースピード、絞り値(F値) 、ISO感度の設定を行って写真の明るさの決定を行います。
今回は、光の光量も決まっていますし、動かないフィギュアの撮影ですので、マニュアルモードを使ってカメラの設定を行っていきます。
マニュアルモードと聞いてびっくりするかもしれませんが、動かない被写体の撮影はコツをつかめば簡単ですので、ぜひチャレンジしてください。
まずは、ISO400、シャッタースピード1/160、絞り値(F値)f=5.6でクリップオンストロボであれば発光させて撮影を行い、撮影された写真を確認します。
ここで確認する内容は、写真全体の明るさ、影のつき方、白い部分が白く飛んでいないか、黒い部分が黒くなりすぎていないかです。白く飛んでいたり、黒くなりすぎていたりする場合は、シャッタースピードを速くしたり、遅くしたり調整をして、ちょうど良い感じの明るさに調整します。
場合によっては、ストロボの位置を少し近づけたり、離したりして調整します。シャッタースピードは、遅くすると(例えば1/30など)被写体ブレを起こす場合がありますが、今回の場合、被写体となるフィギュアは止まっていますので、あまり気にする必要はありません。
しかし、1/60程度までのスピードより速いスピードで撮影するようにしましょう。ISO感度は、シャッタースピードで調整が間に合わない場合(シャッタースピード1/60を下回るような場合)に、調整するようにします。カメラの機種にもよりますがISO感度をあげすぎると、写真がざらついた感じになってきます。
では、絞り値(F値)は何を調整するのかというと、こちらもシャッタースピード同様に明るさを調整するためのものなのですが、それ以外に、ピントの合う範囲を決めることができます。みなさんも耳にしたことがあると思いますが、「ボケ」のことです。ボケは、ピントがあっている部分が少ない場合は「薄い」といい、手前や奥までピントが合っている場合は「厚い」と言います。
絞り値(F値)は、数値を大きくすれば、写真が暗くなっていきます。反対に、数値を小さくすれば、写真が明るくなっていきます。例えば、レンズに記入されている数字がF=2.8のレンズの方が、F=5.6と書かれているレンズより明るく撮影することができます。暗い場所で動きの速いものを撮る場合は、絞り値(F値)を小さくし、シャッタースピードを速くし、ISO感度を上げることで被写体が止まっているように撮影することができるようになります。
しかし今回の場合は止まっているフィギュアなので、明るさの調整はシャッタースピードで行い、絞り値ではピントの合う範囲「ボケ」を調整します。
ではボケを調整する方法ですが、絞り値(F値)を小さくすればピントの合う範囲が薄くなり、反対に数値を大きくすればピントの合う範囲が厚くなります。使用するレンズに依存するところも大きいのですが、こちらも自分好みのボケを探していろいろ調整して作品作りをしてみてください。
また、ボケを作る要因として、絞り値の調整と合わせて被写体とカメラの距離を近づけて撮影することや、もし可能であれば100mmなどの焦点距離の長いレンズを利用することで、簡単に「ボケ」を作ることができます。カメラと被写体との距離を利用すれば、一眼レフカメラでなくレンズ交換のできないコンパクトデジカメなどでも、「ボケ」を作ることができるようになります。
ポージングを決める
写真全体の明るさ、影の位置などの設定を決めたら、フィギュアのポーズを変えるなどしながら撮影を行いましょう。ポーズを変えると影の位置が変わったりするので、微調整をして撮影を行います。
背景紙やライティングは大きく動かせませんので、フィギュア自体を思い切って回転させて撮影してもよいかもしれません。いろいろな角度で、フィギュアの1番カッコ良いところを切り抜いてみてください。
フィギュアを上手に撮影するコツ
安定感のある立ち姿にする
今までの説明は、フィギュアを見下ろす角度での撮影をイメージして、背景紙のセッティングや照明のセッティングを行ってきましたが、この撮影で基本の撮影方法が身についたら、フィギュアを少し高い台に乗せて、アオリ(下から見上げるようにする)撮影などにチャレンジしてみてください。
アオリ撮影を行うと、背景紙ではカバーできなくなってきますので、天気の良い日に空を背景にして撮影するとよいでしょう。
フィギュアを仁王立ちのような安定感のある立ち姿にし、下方向からアオリ撮影を行うと迫力のある写真が撮れるかもしれません。こちらもいろいろとアングルを探しながら、撮影にチャレンジしてみてください。
撮影小物を使用する
またフィギュアの持っている小物を利用したり、戦士のフィギュアに消しゴムを持たせたりと、意外性のある組み合わせで撮影すると思ってもいない良いものが撮影できるかもしれません。
影を有効利用する
照明の強弱によってできる影をうまく利用してみましょう。
極端に照明の当たっていない部分を黒くしたり、反対に光が当たっている部分を明るくしてしまったり、影に強弱をつけて撮影してみましょう。
光が当たっていない部分にも、実際は反射の光が当たっています。そこで、カメラに写らない部分に黒いレフ板を用意して、黒いところに当たるようにします。これだけでも、黒が引き締まってきます。
また、光が当たっている部分に銀色のレフ板を利用して光を足すと、照明の光だけの場合より明るくすることができます。
先ほども書きましたが、照明は難しい部分でもありますが、決まった光ができると楽しくなってきます。もともと写真は光と影を利用したものなので、面倒くさがらずにいろいろ試してください。
ホワイトバランスにこだわる
他の表現方法として、カメラについているホワイトバランスを調整してみる方法があります。
通常は、ホワイトバランスオートでもいいのですが、白色LEDでの撮影の際に、曇り空のホワイトバランスで撮影を行うなど、こちらもいろいろと試してみると思わぬ発見があるかもしれません。色温度を調整してみても同じような効果がありますので、こちらを触ってみてもいいかもしれません。
スマホでフィギュアを撮影するときのポイント
フィルターを利用する
一眼レフで照明などを使った撮影はどうしても大掛かりになりがちですが、その点スマホでの撮影は手軽にできます。
スマホカメラには、みなさんご存じのように、撮影後や撮影前に設定しておくフィルターがたくさん用意されています。
モノクロや、彩度を上げたもの、セピア調に撮れるものなどたくさんあります。時間が許す限りいろいろと試されてください。その場の雰囲気や、背景、光などの要素が組み合わさって、すてきな写真が撮れると思います。
撮影の際はアングルや光の位置にこだわってフィルター無しで行い、自分で納得のいくものが撮れた後に、お好みのカラーフィルターや切り抜き、ボケなどの処理をするのが、オリジナルと加工後の両方がわかるので、初心者の方を含めて分かりやすいと思います。
また、撮影の際はHDRをオフにすることをお勧めします。理由は、HDRは数枚の明るさの違う写真を撮影して、明るいところ暗いところを補正して1枚の写真にしています。これだと、濃淡のない写真になってしまいがちです。濃淡のない写真は、場合によっては良いことがあるのですが、フィギュア撮影のような場合、面白みに欠ける写真になりがちです。
スマホでの撮影の場合も、余裕があればLEDの懐中電灯で光を当ててあげれば、スマホだけで撮影するものと違った感じの写真になります。手伝ってくれる方や、懐中電灯を固定するものがあれば、ぜひ使ってみてください。
近い距離で撮影する
スマホで気をつけたいのは、被写体から離れて撮影しがちになることです。スマホは軽いし取り回しが簡単なので、思いっきり近づいて、迫力のある写真を撮影してみてください。
スマホなら通常のカメラでは近づけないところまで近づけますので、通常のカメラでは撮れないものが撮れると思います。
既成概念にとらわれず、自由な発想で撮影を!
フィギュアの撮影に限らず、写真の撮影には、絶対にこれが正解というのがありません。
今回お伝えしたことは、撮影を行う上での基本的なことです。撮影する皆さんが、こんな風に撮ってみたいと思って、それが撮れた時が撮影者にとっての正解だと思います。
カメラが無いと撮影はできませんが、ストロボがなくても撮影できますし、今回本文中に何度も出てきた懐中電灯でも撮影はできます。あれが無いから撮影できないと諦めずに、いろいろなものを利用して撮影にチャレンジしてください。
また、今回の文章を読んで多くの方が、フィギュア全体を写したものを想像したのではないかと思います。実際、この記事はフィギュア全体を撮影することをイメージして書いていますが、フィギュア全体を写すことにこだわる必要もないと思います。例えばフィギュアの上半身だけの写真でもよいですね。
写真は、考えれば考えるほど、試せば試すほどいろいろと想像が広がっていくものだと思います。みなさんもいろいろ想像し、イメージを膨らませて、楽しんで撮影してくださいね。
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