SDGs(持続可能な開発目標)とは?実現に向けて子どもとできること
公開日: 2019/10/01
ここ数年、注目されている「SDGs」。ニュースや何かのセミナーなどで耳にしたことのある方もいるのではないでしょうか。2015年の国連サミットで採択されたSDGsは、2030年までに達成できるように頑張りましょう!という世界共通の17の目標を掲げています。 SDGsが決められた背景や、どんな社会を目標と考えているのか、説明していきます。
SDGsとは
SDGs(Sustainable Development Goals)とは「エス・ディー・ジーズ」と読み、それぞれの単語を日本語にすると次のようになります。S(Sustainable)…持続可能なD(Development)…開発G(Goals)…目標日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。いつ誰が決めたのかというと、2015年9月に開催された国連の「持続可能な開発に関するサミット」の中で、出席する世界のリーダーたちによって採択されました。この目標は、2030年までに達成しようという国際社会共通の目標とされています。まずは2030年に世界がどうあるべきかの未来像を描き、それまでの10数年間で何をどうしていくことがいいのか、さまざまな分野で世界中の国々や人々が努力していきましょうということです。
SDGsの17の目標
SDGsを簡単に言えば「世界をよくしていこう」という事なのですが、それだけでは具体的な取り組み内容を決めることができません。そのため、どんな分野でどう取り組むべきか、17の分野に細分化して目標を定義しています。ここでは、17の目標についてご紹介します。
<「持続可能な開発目標」が掲げる17の目標 >
1. 貧困をなくそう…世界中のあらゆる形態の貧困をなくし、医療や教育などのサービスを誰もが受けられる2. 飢餓をゼロに…飢餓を終わらせ、栄養を改善し、環境や資源を守って持続可能な農業を進める3. すべての人に健康と福祉を…何歳でも健康で、安心して満足に暮らせるように医療や薬を充実させ環境を守っていく4. 質の高い教育…誰もが平等に質の高い教育を生涯にわたってあらゆる機会に学習できるようにする5. ジェンダーの平等…すべての人が性別を理由にしたあらゆる差別・搾取・暴力を受けないようにする6. 清潔な水と衛生…すべての人が安全な水を使えるようにし、水資源の再利用や水に関する生態系の保護をしていく7. 再生可能エネルギー…すべての人が電気やガスなどを安く使えるようにし、再生可能エネルギーの利用やエネルギー効率を倍増していく8. 適切な良い仕事と経済成長…環境を悪化させることなく経済成長を進め、すべての人が生きがいのある仕事につけるようにしていく9. 新しい技術とインフラ…災害に強く、安価で誰もが利用しやすいインフラのための技術を生み出し、企業が環境に配慮した技術を取り入れるようにしていく10. 不平等を減らすこと…先進国と途上国の間での不平等や格差を解消し、特定の人々を差別する習慣や法律をなくしていく11. 持続可能なまちと地域社会…すべての人が安全で住みやすい家や、水・電気などの必要なサービスを得られるようにし、環境に配慮された災害に強いまちや地域をつくる12. 責任を持って消費すること…すべての国でゴミを減らし、再利用や資源化をし、それらを促進することを目指す13. 気候変動への対策…気候変動の原因となる温室効果ガス排出の減少に取り組み、気候変動がもたらす危険や自然災害への対策や回復する力を高めていく14. 海のいのちを守ること…海の汚染をなくすこと、海の生態系に悪影響を与えることをなくしていく15. 陸のいのちを守ること…森林、湿地、産地、乾燥地、内陸にある淡水などにおける生態系を守り、絶滅危惧種を保護する16. 平和で公正な社会…あらゆる暴力と暴力による死を大幅になくし、府や国の制度を公正にすることを目指す17. 目標のために協力すること…実施手段を強化し、持続可能な開発に向けて世界の国々が資金や技術で支援し、目標達成に向けてどのくらい進捗しているかを統計化していく
MDGsからSDGsへ
SDGsは、2000年に国連サミットで採択された「MDGs(Millennium Development Goals):ミレニアム開発目標」が2015年の達成期限を迎え、その後を継承する形で決められました。MDGsでは、途上国の極度の貧困や飢餓、教育、医療などを開発目標に掲げ、先進国がそれを助けるという形でしたが、SDGsでは対象となる分野を広げ、世界中すべての人を対象にして、経済面・社会面・環境面の3つの側面すべてに対応していこうとしています。つまりSDGsでは、経済の発展だけではなく、誰もが豊かで安全な暮らしをしながら資源の維持をできるよう、世界という大きな枠組みで取り組んでいこうということなのです。
SDGsの達成に向けた世界、日本の取り組み
SDGsを推進するために、世界各地に活動拠点の置かれた世界的なネットワーク「SDSN(Sustainable Development Solutions Network):持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」が毎年取り組み状況を調査し、ランキング形式で公表しています。2019年の資料によると、17の目標をすべて順調に進めている国はまだなく、特に再利用・気候変動・資源問題については取り組みが遅れていると指摘しています。また、すべての人が貧困ではなくなることを目指しているにもかかわらず、世界中で広がる格差の深刻化のために、さらなる変革が必要だといいます。
世界での取り組み事例
それでは、SDGsの取り組みが進んでいる国はどこでしょうか?国際ランキングでは、北欧とヨーロッパ諸国が上位を占めています。参考までに、2019年のランキングでは162カ国中で日本は15位、アメリカ35位、中国39位でした。そんな中、この国際ランキングでここ数年、毎年1位となっている国は、スウェーデンです。スウェーデンでは、地下資源(石油や石炭、プラスチック)から地上資源(風力や水力、ガラス)に切り替えようとしていて、街中を走るバスは、生ごみを使ったエネルギーで走っているそうです。また、自分たちがどれだけSDGsを達成できているのかが分かるようにリサイクル率などを数値化することで、達成度を確認しているそうです。
日本の取り組み
日本では、世界のお手本となることを目指し、「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」を設け、国を挙げて取り組もうとしているのです。では、日本のSDGs取り組み状況について見てみましょう。日本では誰もが活躍できる社会(一億総活躍社会)をつくる取り組みとSDGs目標を関連付けて具体的施策を進めています。「一億総活躍社会」の取り組みによって経済が強くなり、子育てや社会保障を強化すると、さらに経済が強くなるという、日本型の「持続可能な経済、社会づくり」を目指して進めているのです。また、SDGsに取り組んでいるのは政府だけではありません。日本の大手企業を中心に構成される経団連では、SDGsの達成を企業行動憲章に盛り込み達成しようと号令をかけました。その結果、日本企業はSDGsの掲げる課題において技術革新が進んできています。
SDGsの実現のために子どもとできること
地球に住む世界の一員として、私たちもSDGs実現のための行動をしてくとしたら、どんなことができるでしょうか?
世の中で起きている問題を子どもと一緒に学ぶ
世界にはどんな問題があって、どういう暮らしをしている人がいるのか、どんな考え方や価値観の人がいるのかを学びましょう。
SDGsを推進しなければ、2030年にはどんな世界になっているのかを考えてみる
これまで世界で起こった問題はどうして起こったのかを学び、このまま何もしなければ2030年には世界がどうなってしまうのか、私たちの生活にどんな影響があるのかを想像してみましょう。
15年で世界がどう変わったのかを学ぶ
MDGsが採択された2000年から目標期限となった2015年の間、MDGsの取り組みがされてきましたが、世界はどのように変わってきたのでしょうか?世界の人口の推移や、乳幼児の死亡率、成人識字率の変化などを調べてみましょう。
SDGsの実現に向けてできることを考え身近なところから始める
SDGsは、人任せにしておけば実現できるものではありません。SDGsで課題にされていることは、一人ひとりの課題でもあるのです。自分にできることは何か、どうしたらSDGs実現に協力できるのかを考えてみましょう。
世界中の誰もがSDGsを推進し、実現していこう
SDGsは、誰かのためでもなく、人間のためだけにあるものでもありません。世界が抱えている課題は、どこかの国や地域、有識者や大企業が何かをすれば解決するのではなく、世界中の人々がそれぞれに課題を理解して行動していくことが求められています。まずはどんな課題があるのかを学び、自分には何ができるのかなどを親子で話し合ってみてはいかがでしょうか?「節水する」「ポリ袋を使わない」など、SDGs実現のための家族のルールを決めてみてもいいかもしれません。
<参考>国際連合広報センター『SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは? 17の目標ごとの説明、事実と数字』https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/31737/Save the Children『持続可能な開発目標SDGs』https://www.savechildren.or.jp/lp/sdgs/首相官邸『SDGs実施指針(SDGs Implementation Guiding Principles)』http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/pdf/jisshi_shishin.pdfSave the Children『先生・ファシリテーターのための 持続可能な開発目標 -SDGs- アクティビティ集』https://www.savechildren.or.jp/news/publications/download/SDGs_Activity_full.pdf