音楽特別講義「グラミー賞受賞者が教える! 曲作り」第1回

公開日: 2020/05/18

以前ワンダースクールのインタビュー記事で登場した、グラミー賞受賞者サダハル・ヤギ(SADAHARU YAGI)さん、音楽特別講義として『おウチで、仲良く、音楽作り』をテーマに数回に分けてレクチャーをします。ワンダースクールから、新たなグラミー賞受賞者が生まれるかもしれません!(文・インタビュー:アッシュ・ヌクイ) ワンダースクールの講義では、ボク達からの熱い想いを精一杯みんなに伝えていきたい、と思ってます。出来る限り自然に、音楽そのものの魅力を感じとってもらえるよう、張り切って伝えます。 特に今、世界中でおウチの中にいて辛く苦しい思いをされてるご家庭がたくさんあります。そんな不自由な生活の中でも、音を楽しく、楽しく音で、家族の絆がもっと深まるような内容にできるよう懸命に努めます。どうかご一緒にご協力のほど宜しくお願い申し上げます。

目次
「4分33秒」、耳を澄ます。そこに曲が生まれている!?
好きな音、楽しい音に耳を研ぎ澄ませてみよう!
録音した音を一緒に聴いてみよう
「4分33秒」の秘密
みんなでつくった「音楽」を教えて!

「4分33秒」、耳を澄ます。そこに曲が生まれている!?

今、みんなはおウチのお部屋の中にいるかな? お部屋の中ではどんな音が聞こえる?

耳を澄ましてみて。

どんな音が聞こえていたかな? 普段あまり気にしてなかった小さい音もあったかもね。遠くに響いている音とかも。実はいつも耳に届いていて、ボク達はたくさんの音を聞いていたんだね。

今度は、もうすこし長く耳を澄ませてみよう。できたら、4分33秒。

4分33秒? なんで、って? 秘密は後で教えます! では、*どんな音が聞こえたか?*どれくらいの数の音が聞こえていたか?音探しの遊び、を家族みんなでしてみよう! 4分33秒の間に、声を出しても大丈夫。歩いてみたり、窓を開けてみたり、いろいろしてみてもいい。ただ、耳だけは澄ませてみてね。(ここで、お父さまお母さまにご協力いただきます。耳を澄ましているお子様の様子を、4分33秒、スマホやボイスレコーダー等で録音してくださる、もしくは貸してくださる、と助かります。厳密に4分33秒でなくても大丈夫てす。お子様が耳を澄ましながらも自由に過ごしてる様を録って頂けると助かります。手を触れ合ったり、ぎゅっと抱きしめたり、心臓の鼓動を一緒に聴いてみても良いです!)では、スタート!!・・・・・・・・・。さて、4分33秒経ったかな?(録音を停止してもらいます!)では、どんな音が聞こえていたか、お父さんお母さんみんなに教えてあげて。あんな音、こんな音、いろんな音や声があったよね。

好きな音、楽しい音に耳を研ぎ澄ませてみよう!

もし、さっき耳を澄ませて聞いてみた音の中で、好きだなって思った音、楽しいなって思えた音、があった? もしあったなら、キミには音楽のすごい才能があるかもしれない!

今度は、楽しいことをイメージしながら耳を研ぎ澄ませてみよう!

イメージは自由。家族みんなで楽しかった思い出、学校のみんなと遊んだ時のこと、いろんな嬉しかったことを思い浮かべながら、耳を澄ませてみよう。他にも、今が朝だったら夜をイメージしてもいいかもね。実は、音楽を仕事にしているボク達も、普段から、好きな音や楽しい音は何かな、って意識することを習慣づけていたりする。そういったことをもっと大人になって習慣にしたけど、本当は、子供たちであるみんなの方が、たくさんの音に気づいたり探していることをしているかもしれないんだ。(度々ですが、お父さまお母さまにご協力いただきます。耳を澄ましているお子様の様子を、スマホやボイスレコーダー等で録音してくださると助かります。4分33秒より短くても大丈夫です。)では、スタート!!・・・・・・・・・。今度は数じゃなくて、どんな風にその音が好きだったのか? どんな風に楽しかったのか? お父さんお母さんとワイワイ教え合ってみよう。

録音した音を一緒に聴いてみよう

さぁ、さっきまで、みんなが耳を澄ましていた様子、その音をみんなで聴いてみよう!たったいま出来上がった、ホヤホヤ出来たてのみんなの楽曲です! え? これが曲なの? ってまだ突っ込まないで。。。秘密は聴いてもらったあと話します。。(度々ですが、お父さまお母さまにご協力いただきます。耳を澄ましているお子様の様子を録音した音を再生してくださると助かります。)一体どんな音が流れているんだろう!? ワクワクする。自分が感じていたイメージの音と同じ? それとも全然違う? でも、そこには家族みんなと一緒に過ごした、大切な音がそこには、記録されているはず。

「4分33秒」の秘密

秘密というほど、もったいぶる話ではないです。(すみません。)この映像を見てみてください。曲のタイトルは、「4分33秒」。

今から約70年前の1952年に、ジョン・ケージというアメリカの音楽家(兼、作曲家、詩人、思想家、キノコ研究家!)が、コンサート会場で「4分33秒」というを披露したんだ。ジョンさんは、いつものように会場でステージの階段をスタスタ登り、指揮者が立つ傍でピアノと向き合い、鍵盤に向かって手を振り上げた途端、その手を止めた! 止まった手はいつまで経ってもも振り下ろされない。4分33秒もの間、ジョンさんは、その手を鍵盤に触れることが一度もなかった。そして、そこにいた観客は拍手喝采したんです! 「音楽」って何だろう? 楽曲って何だろう? 実は、誰もはっきりと説明できないかもしれない。コンサート会場で、ある一人の男が奏でた「音楽」は、どこからどこまでが音楽と言えるのだろう。音楽を演奏したその場には、お客さんの息遣い、会場に佇む音、それら全てが影響して、人々の耳に聞こえてくる。いろんな音が反響して反芻して音楽がそこにある。実は、誰もここからここまでが音楽だ、曲なんだ、と線を引くことはできないのかもしれない。今、その時、耳を澄ませて感じた音、音楽はもっと自由でいいし、ボクたちの感じる音楽ももっと自由でいいのだと思う。さっき、家族と一緒に聴いた音は、とても思い出深いものになったかもしれないし、もしかしたら、自分が楽しいと思ったイメージ、と全然違ったかもしれない。でも、その幅があるから音楽は自由なのかもしれない。

みんなでつくった「音楽」を教えて!

録音した音に、キミの中で感じた音は、聞こえてなかったかもしれないよね。でも、今はそれでいいんだ。キミのイメージした音に近づくために、近づいていく楽しみがこれからたくさんある。そして、ボクの知っている知識や思いをそのために講義していくよ。もし次回までに、時間があったら、もっとイメージを膨らましてみよう。例えば、50,000年前にタイムトラベルしてみたら? どんな音がその世界には広がっているんだろうね。きみの思う50000年前には、周りに何があって、どんな風が吹いている? スマホもYoutubeもBlu-rayもCDもない世界。楽器もないかもしれない。そんな世界で、ボク達が呼べるような音楽はあったのだろうか? ありったけのイメージを教えて欲しい。次回、第2回は、音を奏でてみよう! 

Profile:SADAHARU YAGI (サダハル・ヤギ)ロサンゼルスを拠点に活動するレコーディングエンジニア/プロデューサー。日本人として史上初となる3度のグラミー・アワードを獲得。ロックやブルース、ゴスペル、ラテン・ポップなど、幅広いジャンルの音楽を手がける。
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