あの人に聞いてみよう!グラミー賞受賞レコーディングエンジニア/プロデューサー サダハル・ヤギさんにインタビュー!

公開日: 2020/03/31

普段何気なく使っているパソコン。オトナになれば、どんな仕事をしていてもほぼ毎日パソコンを使うことになるでしょう。それは、みんながあこがれるような、夢の仕事でも同じこと。そこで、あこがれの仕事のオトナたちは、どんなふうにパソコンを使っているのか、突げきリポートします!

今回は、みんながあこがれる「音楽」のお仕事、「レコーディングエンジニア」を紹介します。お話を聞かせてくれたのは、2014年に世界で最も価値のある音楽賞、グラミー賞を受賞したスゴ腕のレコーディングエンジニアかつ、音楽プロデューサーでもある、SADAHARU YAGI(サダハル・ヤギ)さんです!

―まずは、レコーディングエンジニアの仕事について教えてください! 音楽の仕事の中では、どんな役割があるんですか?

YAGI:レコーディングエンジニアの主な仕事は、アーティストの歌や演奏をプロのスタジオで録音する「レコーディング」、その後録音した音楽の音量などを調整する「ミキシング」といった2つのステージがあるんだ。普段、みんながYouTubeや音楽サイトで聞いている、プロのミュージシャンが演奏している音楽には、ほぼすべてレコーディングエンジニアが関係していると言ってもいいほどなんだよ。

―音を集めて、音楽を作る仕事ってことですね。YAGIさんはどうしてレコーディングエンジニアを目指そうと思ったんですか?

YAGI:元々、音楽が好きだったんだけど、例えば同じミュージシャンの曲でも、昔に出したものと最新のものとでは「音楽の世界観が全然違うなぁ」と感じることがあって、それってなぜなんだろうと思ったことが最初のきっかけかな。調べて見たら、レコーディングエンジニアやプロデューサーという仕事が大きく音楽の世界観に関係していることを知ったんだ。自分で楽器を演奏していたこともあって、そうした仕事に興味が出てきて、音楽にレコーディングで関わっていきたいと思ったんだ。

―どうやって今のお仕事につながって行ったのでしょうか?

当時はインターネットも今ほどは広まっていなかったから、本を読んだりいろいろと手探りでやっていたかな。高校の時、ぐうぜんプロのレコーディングエンジニアの方とメールでやり取りすることができて、その人のアドバイスもあって大学に進学したんだ。そこで「音響工学」という勉強をしてから、卒業後にアメリカにわたって、レコーディングエンジニアとして歩み始めたんだよ。

―インターネットを使ったコミュニケーションが、運命の出会いにつながったんですね。普段のお仕事では、どんな時にパソコンを使いますか?

YAGI:ほぼすべてのシーンで使っているよ。録音をする時もパソコンにデータを保存するし、その調整をするのもパソコンでやるからね。「プロツールズ(Pro Tools)」っていう専用のソフトウエアを使って作業するんだ。それ以外にも国内外にいる仲間と連絡を取ったり、メモをとったり、YouTubeを見たり。逆にパソコンを使っていない時間の方が少ないかもしれないね。お医者さんからは、「パソコンのし過ぎで姿勢が悪くなっている」って注意されたこともあるんだ(笑)

―パソコンは仕事に必須のアイテムなんですね。

YAGI:今、僕はアメリカのロサンゼルスを中心に活動しているんだけど、パソコンがあれば例えばヨーロッパの仲間とつながって仕事をすることもできるし、離れた場所で録音しているアーティストに直接指示を出すことだってできるんだ。仕事のやりやすさやできることの幅が、パソコンのおかげですごく増えているように感じるね。

―グラミー賞をとるなど、確かな実績も残されているYAGIさんですが、今後の目標はありますか?

YAGI:グラミー受賞は確かにうれしかったし名誉なことだったけど、だからと言って自分自身や人生が大きく変わるものではないんだ。そうした大きな賞もとることも大切だけど、それよりも自分は日々の仕事をしっかりとこなしながら、良い音楽や作品を継続して世の中に届けていきたいという思いの方が強いね。

―日々の仕事に対する努力がしっかりあるから、結果的に大きな賞の獲得につながったんですね。

YAGI:そうですね。そういった賞もありがたいことだけど、それよりも僕はアーティストや他のスタッフも含めて、レベルの高い人たちと一緒に仕事をすることで感じる緊張感とか一体感とか味わって、音楽づくりそのものを楽しんでいきたいと思っているんだよ。

―レコーディングエンジニアをはじめとした、音楽の仕事を目指す子どもたちに、メッセージをお願いします!

YAGI:今は色んな技術が発達して、便利なアイテムも増えてきている。だから子どもの頃からそうした現在の技術にたくさんふれておくのはいいことだね。だからといって、そればかりに集中するのももったいない。音楽ってやっぱり「生モノ」だから、自分で演奏してみたり聞いてみたり、実体験もしっかりと積んでおくことが大切だよ。

―音楽は生モノですか。技術が発達しても、変わらないものもあるんですね。

YAGI:そうだね。今の技術は本当に便利で、やろうと思えば音を聞かなくても曲を作ることができてしまう。でも、それを聞くのはやっぱり耳だから、いい音楽を作るためには生の音を聞く耳をきたえておくことが大切なんだ。あとはやっぱり楽しむこと。楽しみながら色んな技術にふれていけば、それがきっと将来に役立つはずだよ!

Profile:
SADAHARU YAGI (サダハル・ヤギ)
ロサンゼルスを拠点に活動するレコーディングエンジニア/プロデューサー。日本人として史上初となる3度のグラミー・アワードを獲得。ロックやブルース、ゴスペル、ラテン・ポップなど、幅広いジャンルの音楽を手がける。

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