ラクダのこぶはなぜあるの?中身や役割をわかりやすく解説!
公開日: 2023/01/30
背中に大きな「こぶ」を持っているラクダ。特徴的な背中のこぶには、どのような役割があるのでしょう。ここでは、らくだのこぶの不思議について解説します。
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ラクダのこぶはなぜあるの?
ラクダのこぶの中には何が入っていると思いますか。実は、ラクダのこぶは大きな脂肪のかたまりです。生きていくために必要な栄養分を脂肪に変えて、こぶの中にため込んでいるのです。ラクダが暮らしているのは、主に広大な砂漠地帯や岩だらけの荒地。雨が少ないので植物が少なく、夏は40℃を越えるほど暑いのに冬はマイナス30℃まで冷え込むような、寒暖差の激しい過酷な環境で暮らしています。そのため、栄養が取れないときには、ラクダはこぶにためておいた脂肪を使ってエネルギーをつくり出します。脂肪が使われるとこぶは少しずつ小さくなって、空気の抜けた風船のようにしぼんでしまいます。1箇所にまとめて脂肪がついているのは、暑い砂漠で体の熱を逃がしやすくするため。四つ足で歩くラクダにとっては、背中に盛り上がるように脂肪がついているほうが太陽の熱をさえぎるのにも好都合なのです。ラクダが砂漠で暮らすのに適している、体の秘密はまだあります。実は、ラクダの体はわずかな水分でも生きていられる仕組みになっていて、体重の3分の1の水分を失っても生きていられます。ほとんど汗もかきません。一度に何百リットルもの水を飲んでも大丈夫な胃があるので、水分補給ができるときに胃の中に貯めておき、時間をかけて少しずつ血液内に浸透させて体内の成分濃度を調整します。こうした体の仕組みのおかげで、ラクダは長い間水を飲んだりエサを食べたりできない状態でも、生きていくことができるのです。ラクダのまつげがとても長くて二重になっていたり、鼻の穴が自由に開いたり閉じたりする理由は、砂嵐の中で目や鼻に砂が入らないように保護するためです。足の裏も、砂の上を歩いても沈み込まないように、やわらかくて平べったい形になっています。
ヒトコブラクダとフタコブラクダ
ラクダにはこぶが1つのヒトコブラクダと、こぶが2つあるフタコブラクダがいます。この2種類のラクダは、どのような違いがあるのでしょう。こぶの形だけでなく、体格や住んでいる場所などにも違いがあります。ヒトコブラクダは主にインドや西アジア、アフリカの周辺、フタコブラクダは中央アジア周辺にある岩場の地域か砂漠地帯で暮らしています。ヒトコブラクダの方が、頭は小さく足が長くてすらっとしています。体の毛が短いので夏の暑さに強いです。一方、フタコブラクダはがっちりとしていて足が短く、体毛が多いので冬の寒さに強いと言われています。過酷な環境でも生きていられるラクダですが、野生のラクダの数は極端に少なくなっています。ヒトコブラクダは家畜として人間の飼育下にある状態になり、野生で生きている姿はほとんど見かけられません。フタコブラクダは絶滅危惧種に指定されて、ゴビ砂漠でかろうじて生き残っているだけです。
ラクダ以外に体に脂肪を蓄える動物はいるの?
ラクダのように、住んでいる環境に適するように体に脂肪を蓄える動物は、他にもいるのでしょうか。
・アザラシが脂肪を蓄える理由
北極や南極のような寒い地域に暮らしているアザラシは、氷が浮かぶ冷たい海の中でも元気に泳ぎ回ります。その理由は、からだの半分以上にたっぷりと皮下脂肪がついているから。脂肪は熱を蓄える働きがあるので、冷たい海にいても体温を保つことができるのです。さらに、ラクダと同じように、エサがなかなか見つからないときには、エネルギー源としても使われます。
・クマが脂肪を蓄える理由
クマが住んでいる山の中は、冬になるとエサが取れなくなってしまいます。そこで、クマは春が来るまで何ヶ月も巣穴の中でじっと動かずに、何も飲んだり食べたりしない状態で冬眠します。ただし、クマの冬眠は完全に眠り込んでいるわけではなく、少しの物音で目覚めるような浅い眠りです。ただ巣穴にひきこもっているだけにも思えるので、「冬ごもり」と呼ばれることもあります。じっとしていてもエネルギーは少しずつ使われるので、冬眠に入る前にたくさんのエサを食べて脂肪として蓄えておきます。さらにメスのクマは冬眠中に出産をするので、赤ちゃんクマに与えるミルクをつくるためにも、なおさらたくさんの脂肪を蓄えるのです。
・コウモリが脂肪を蓄える理由
冬眠をするのは、クマだけではありません。コウモリも、寒くなってエサとなる昆虫類が少なくなる冬には冬眠しています。冬眠に入る前にはたっぷりとエサを食べて脂肪を増やし、春まで生き延びるためのエネルギー分を蓄えます。冬眠中のコウモリは、気温とおなじくらいにまで体温を下げて基礎代謝を下げ、呼吸もゆっくりとしてできるだけエネルギーを使わないようにしながら、春までじっと動かずに過ごすのです。
ラクをしない、ラクダってすごい!
クダの背中のこぶは、砂漠という過酷な環境でも暮らしていくためのエネルギータンクだということがわかりました。広大な砂漠で交易をする商人たちが、馬よりもラクダの背中に荷物を積んで移動していた理由がわかりますね。水や食料が少なくても生き延びてくれるラクダのたくましさに、どれだけ助けられたことでしょう。なくてはならない相棒だったに違いありません。近くにラクダを飼育している動物園がある場合は、ぜひラクダに会いに行ってみてはいかがでしょうか。 ラクダに会えたら、背中のこぶの様子をしっかりと観察してみましょう。