太陽の温度は何度くらい?太陽光を利用した自由研究をしよう!
公開日: 2023/01/30
日中に空を見上げるとそこにある太陽。特に夏などは、手を向けると遠い距離にもかかわらず温もりを感じることができます。みなさんは、この太陽がいったい何℃くらいあるかを想像したことがあるでしょうか。 今回の記事では、太陽の温度に関する基礎知識についてわかりやすく解説します。また、太陽を使った自由研究のテーマについてもあわせて紹介しますので、学びを深めるためにぜひチャレンジしてみてください。
- 目次
- 太陽の温度は何度くらい?
- 黒点(こくてん)って?
- コロナって?
- プロミネンスって?
- 太陽の温度はどのように測っているの?
- 太陽以外の恒星の温度は何度くらい?
- 太陽光を使った自由研究をしよう!
- 不思議が多い太陽への興味を深めてみましょう
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太陽の温度は何度くらい?
太陽表面の温度は約6000℃であるといわれています。「いわれています」というのは、まだ誰も実際に太陽まで行って温度を測ったわけではないからです。あくまで推定値であり、精密な温度は今に至るまで明らかにはされていません。ここで、「太陽の地面は何でできているの?」「地面がそんなに高熱になることがあるの?」と疑問に思った人も少なくないでしょう。実は太陽には地面がなく、水素やヘリウムといった数種類のガスが集まってできた星であり、その正体は光の玉です(光球)。これらのほかに炭素や鉄などの物質も含まれるものの、量はごくわずかです。炭素は約4800℃、鉄は約2800℃まで上がると気体になるため、太陽にはガスしかありません。ガスが一ヶ所にたくさん集まると、その中心部分の温度が高くなり、大きなエネルギーが発生して熱や光が出ます。こうして太陽はみずからを輝かせているのです。太陽には重さがあり、地球の約33万倍です。太陽は中心に向かって押す力が非常に大きく、内側へ行くほど温度が高くなります。逆に言えば、太陽のエネルギーは中心から外側に向かって伝わっているのです。太陽内部(中心核)の温度は約1600万℃と計算されています。この熱を、太陽から約1億4960万キロメートルも離れた地球で受けることで、わたしたちはあたたかさを感じているわけです。途方もない温度で、にわかには考えにくいものですね。
黒点(こくてん)って?
太陽の表面温度は一定ではなく、温度の低い状態のところが無数にあります。これを「黒点(こくてん)」と呼びます。黒点中央の「暗部(あんぶ)」は約4000℃で、そのまわりにある「半暗部(はんあんぶ)」は約5500℃。こちらも想像しにくい超高温です。黒点は光学望遠鏡を用いて観察できます。なお、太陽黒点が比較的低温なのは、そこに強い磁場があり、磁場によって太陽の表面から出てくる熱や光がさまたげられるためです。
コロナって?
太陽の上層には「彩層(さいそう)」と呼ばれる大気の層があり、さらに約2000キロメートル上空にある層を「コロナ」と呼びます。彩層は4500℃から1万℃、コロナは約100万〜300万℃という高温なガスでできており、近づくことができません。いつか太陽のそばまで行くことができたら、ワクワクしますね。ここで、「コロナのほうが太陽そのものよりも温度が高いの?」と気づいた人もいるでしょう。太陽のエネルギーは中心核から光球へ伝わっているはずなのに、太陽の周囲に存在するコロナのほうがなぜ太陽より温度が高いのでしょうか。現在考えられている仮説の1つは、磁力線にそって伝わる「アルベン波」と呼ばれる波がコロナまでエネルギーを運んでいき、そのエネルギーがコロナによって熱に変わり、コロナをさらに高温にさせているというものです。2007年には太陽観測衛星「ひので」がアルベン波を観測することに成功しており、この仮説が正しいかどうかが将来的には証明できるかもしれませんね。
プロミネンスって?
太陽の表面を特殊なフィルターで見ると、太陽から舞い上がっている炎のようなものを発見できることがあります。これを「プロミネンス」と呼びます。プロミネンスは、温度が5000~1万℃もあるプラズマガスで、高さは数万キロメートル、時には地球の直径の数十倍になることもあります。プロミネンスが太陽の表面に見えると、黒っぽいひものように見えます。肉眼では見ることができませんが、太陽望遠鏡でその姿をとらえることができます。
太陽の温度はどのように測っているの?
人類が行ったこともなく、近づくことのできない太陽の温度をどうやって測定しているのでしょうか。実は、太陽の温度は太陽が発する「光の色」を調べることでわかります。太陽のような恒星は、さまざまな波長の光を出しています。この波長は、恒星の表面温度が変わることで割合が異なります。恒星の表面温度が低いときは、波長の長い光が多くなることから赤く見えます。一方で、恒星の表面温度が高くなると、波長の短い光の割合が増えるため、逆に青色に見えるようになるのです。すなわち、どの波長の光が多いかを調べることで、その恒星の表面温度がわかるというわけですね。なお、「恒星(こうせい)」とは星々の中でもみずから光を出している星のことを呼びます。夜空に輝く星はすべて恒星です。一方で、月や地球のように自身が光ることのない星は「惑星(わくせい)」と呼びます。恒星である太陽も他の恒星と同じようにさまざまな波長の光を出しています。太陽の光をプリズムで分けると、虹のような7色になるのですが、どの色の光が多いかを調べると、緑が一番強いことがわかります。このことから、太陽の表面温度は約6000℃だと推測されているのです。
太陽以外の恒星の温度は何度くらい?
恒星の色は、温度の高い順に青白→白→黄→オレンジ→赤と見える性質があります。夜空の星をよく観察すると、色が微妙に異なることがわかるでしょう。温度で言うと、青白い星で1万℃以上あり、赤い星では4,000℃以下くらいあります。例えば冬の空だと、シリウス(おおいぬ座)は青白いことから温度が高く、黄色いカペラ(ぎょしゃ座)は真ん中ぐらいの温度です。赤いベテルギウス(オリオン座)は、他の恒星と比べて温度が低いということになります。それでもわたしたちの身のまわりにあるものよりずっと高温ですから、驚きますね。
太陽光を使った自由研究をしよう!
太陽についての学びを深めるために、太陽光を使った自由研究のテーマを2つ紹介します。ぜひチャレンジしてみてください。
① 太陽と影の関係を知る
影ができるとき、太陽はどの位置にあるでしょうか。太陽を直接見ることはできないため、必ず遮光プレートを用意して観察してみてください。遮光プレートは、家電量販店や100円ショップなどで手にいれることができます。晴れた日中、ひらけた場所に棒を立てて、影の位置を観察した日時とあわせてノートなどに書いておきます。また、遮光プレートをのぞきながら太陽の動きを観察してください。30分後、1時間後、2時間後などにふたたび影の様子を調べて、影の位置と太陽の位置がどのように変化したかを詳細に記していきます。これを2、3回繰り返して、太陽と影の関係について考えてみましょう。
② 太陽光でお湯を沸かす
普段、台所やお風呂で使っているお湯は、水を電気やガスのエネルギーで温めることでできています。今回の実験では、自然エネルギーである太陽光を利用して水を温めてみましょう。身近にある材料を使ってできますので、ぜひ実験してみてください。《用意するもの》ペットボトル6本(500ミリリットルから1.5リットルのもの)アクリル絵の具(ペットボトルに塗ることのできる不透明な色)筆水入れ温度計ダンボール(ペットボトルが1本ずつ入る程度) 粘着テープ角度をつける台(今回の実験で使うものとは別のペットボトルなど)軍手《実験の手順》1. ペットボトルの外側にアクリル絵の具を塗り、白・黒・赤・青・黄・透明のペットボトルを用意します。2. ペットボトルに同じ量の水を入れます。3. ペットボトルの中の水の温度を計ります。4. ダンボールで作った箱の中にペットボトルをそれぞれ入れ、台で角度をつけて太陽光のよく当たる場所におきます。箱の中にペットボトルを入れるのは、ペットボトルに太陽の光を集めやすくするためです。もし太陽の光があまり強くない日は、箱の内側にアルミはくを貼ってみてもよいでしょう。5. 30分ごとに水の温度を計って記録します。これを2時間かけて行います。なお、ペットボトルが熱くなっている可能性があるので、取り扱うときは軍手をしましょう。6. 2時間後、どの色のペットボトルの水の温度がいちばん温かいかを調べてみてください。
不思議が多い太陽への興味を深めてみましょう
わたしたちの生きる世界に当たり前のように存在する太陽ですが、実は想像もできないほどに高温であることがわかり、驚いた人も少なくないのではないでしょうか。この記事をきっかけに、太陽だけでなくその他の天体や太陽系、宇宙空間への興味・関心を深めてみてください。