なぜ太陽は東から西へ動く?季節で変わる太陽の高さと地球の自転

公開日: 2023/01/30

みなさんは、1日のうちに太陽がどこからのぼってどこへ沈むのか観察してみたことはあるでしょうか。太陽がのぼり、沈む方角をよく調べてみると、太陽は東からのぼり、西へと沈むことがわかります。太陽はなぜ東からのぼり西へ沈むと決まっているのでしょうか。

今回の記事ではその理由をわかりやすく解説します。また、自由研究におすすめのテーマについてもあわせて紹介しますので、学びを深めるためにぜひチャレンジしてみてくださいね。

目次
太陽はなぜ東から西へ動くの?
年周運動とは?
太陽の動きは季節によって変わる
月の動きは東から西?西から東?
自由研究におすすめ!地球が自転している?フーコーの振り子が動いて見える理由
太陽の動きをきっかけにして宇宙に興味を持ちましょう

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太陽はなぜ東から西へ動くの?

太陽が東から西に動く理由には、地球の動きが関係しています。地球上にいるわたしたちから見ると太陽が動いているように見えますが、実際に動いているのは太陽ではなく地球のほうなのです。

地球を北極の上空から見下ろしているとすると、地球は時計の針と反対の向きに回転しています。これを「自転(じてん)」と呼びます。わたしたちが電車に乗っているときに動いていることを感じられないように、地球が回転していると認識することはありません。

地球の自転する速さは、24時間に1回転、つまり1日で1回転です。なお、自転とは別に地球は太陽のまわりを回っており、これを「公転(こうてん)」と呼びます。地球が太陽の周囲を1周する周期は約365日です(正しくは、約1/4日長い365.2422日、言い換えると365日5時間48分46秒)。つまり1年で1周のスピードで公転していることになります。

地球の片方は太陽の方向を向いています。このとき、太陽の光が地表に当たるので明るい部分は昼間となります。反対側は太陽の光が当たらない部分で、つまり夜になるのです。地球は自転しているため、太陽の方向を向いた部分は常に変わっており、昼から夜、夜から昼になるわけです。また、地球は反時計回りに回っていることから、地球は東のほうから西のほうに向かって明るくなります。これが、東から西に向かって太陽が動く理由です。これは日周運動と呼び、地球が西から東へ1日に1回自転しているために起こります。

もし地球儀が身近にある場合は、地球儀を回転させてみると、より具体的にイメージできます。地球儀は教室や理科室などに置いてあるので、ぜひさわってみてください。

年周運動とは?

日周運動に対して、年周運動という概念があります。これは、地球が太陽のまわりを公転することによって起きる、1年を周期とする天体の見かけの動きのことを指します。 一般には、地球の公転運動により、恒星が1年間で天球を西から東へ1周するように見える現象のことを年周運動と呼んでいます。

太陽の動きは季節によって変わる

地球が自転するときの軸は太陽に対して垂直ではなく、実は少し傾いています(23.4度ほどの傾きがあります)。そのために、北極側が太陽の方向を向く時期と、南極側が太陽の方向を向く時期が交互に訪れることになります。

北極側が太陽の方向を向いているとき、北半球においては、地球が自転して太陽の光が当たる時間は長くなります。これはつまり、夜より昼のほうが長いことを示しています。さらに、地表からは太陽が高い位置に見えるようになります(これを「南中高度が高い」といいます)。このとき、単位面積あたりの太陽光が多くなります。これが熱い季節であり、夏です。

一方で南極側が太陽の方向を向いているとき、北半球においては、地球が自転して太陽の光が当たる時間は短くなります。すなわち、昼より夜のほうが長いということです。さらに、地表からは太陽が低い位置に見えるようになります(南中高度が低い)。単位面積あたりの太陽光が少なくなり、寒い季節、すなわち冬というわけです。

なお、南半球では北半球と真逆の現象が起こります。北極側が太陽の方向を向くとき、南半球においては夜が長くなり、南中高度が低くなります。つまり、日本が暑い時期にオーストラリアは寒くなるわけです。そのため、オーストラリアのクリスマスは暑い夏になり、サンタクロースは半袖か薄着で、トナカイとそりではなくサーフボードに乗ってやってきます。同じ12月なのに暑い季節があるなんて、信じられない気がしますね。機会があったらオーストラリアへ旅をしてみてくださいね。

月の動きは東から西?西から東?

月の動きは太陽と同じく、東から西が正解です。月は満ち欠けをするため、満月以降の月は欠けた部分から昇ります。そして、満月以前の月は欠けた部分を残して沈んでいきます。月は、地球が24時間かけて西から東に自転している間に、地球の自転方向へ約13度公転しています。そのため月の出現が毎日約50分ずつ遅くなっていき、出現する方角が西から東へとだんだんと移動していくのです。これにより、月は西から東へ動くと混乱してしまうことがあるのであわせて覚えておくとよいでしょう。なお。月は約1ヶ月で地球のまわりを反時計回りで1周します。

自由研究におすすめ!地球が自転している?フーコーの振り子が動いて見える理由

自転について解説した際、「地球が回転していると認識することはない」とお伝えしましたが、実は振り子を使って自転を観測することができます。これが「フーコーの振り子」です。
1851年にフランスの科学者であるジャン・ベルナール・レオン・フーコー(1819-1868)は、当時の皇帝であるナポレオン3世からパリのパンテオン寺院を借りて、長さ67メートルにも及ぶ巨大な振り子を使った公開実験を行いました。この実験によって、人類の歴史で初めて地球の自転が証明されたのです。

フーコーは長さ67メートルのロープに質量38キロの重さの鉄球を結びつけて、巨大な振り子を作りました。振り子は時計回りにゆっくりと回転しますが、振り子に作用する力は地球の重力と糸の張力だけなので、振り子自身の力では回転できないはずです。しかし、地球の自転によって床が回転するため、地球と一緒に回転する観察者には、振り子が時計回りにゆっくりと回転し続けるように見えるというわけです。

フーコーの振り子で起きた現象は、実験からも確かめることができます。

《用意するもの》
・回転する円形の台
・振り子(回転する台の中心に設置できるもの)
・カメラ

《実験の手順》
1.振り子を台の中央に設置します。台の端から中央に向けてカメラを設置します。
2.回転する台に付いている振り子を振ってから、台を回転させます。台が回転しても、振り子が振れる方向は変わりません。実験装置の真上に設置したカメラから見たときに、台が回転しても振り子の振れる方向が変わっていないことがわかります。
3.次に、この振り子の運動を、台の真上から下向きに見てみます。ここから振り子の動きを見てみると、振り子の振れる方向が変化しているように見えるのです。
この動きは、フーコーの振り子の動きによく似ています。振り子は回転しているように見えましたが、回転台に取り付けたカメラから見た振り子は、実際には回転していません。同様に、フーコーの振り子も一見すると回転していますが、実際に回転しているのはわたしたちを乗せた地球のほうだということがよくわかります。

太陽の動きをきっかけにして宇宙に興味を持ちましょう

太陽が東から西に動く理由がわかると、わたしたちの暮らす地球の中だけで自然が成り立っているわけではないことがよく理解できるのではないでしょうか。宇宙や天体の成り立ちには今も解明されていない不思議なことがたくさんあります。太陽の動きをきっかけに、宇宙のものごとに対してより興味を持って調べてみるとよいでしょう。

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