カタツムリとナメクジの違いは?自由研究におすすめの観察日記
公開日: 2023/03/30
雨の日や、大きな石の裏で見かけることが多い、カタツムリとナメクジ。見分ける時には「背中の殻(から)があるかないか」や「触角(しょっかく)があるかないか」で判断できますが、他にはどんな違いがあるのでしょうか? この記事では、私たちにとって身近な生き物のカタツムリとナメクジが「どこに住んでいて、どんな生活を送っているのか」について解説していきます。カタツムリを飼育する際のポイントについても紹介するので、夏休みの自由研究や観察日記として取り組んでみてくださいね。
- 目次
- カタツムリとナメクジの先祖は同じ
- カタツムリとナメクジが住んでいる場所
- カタツムリとナメクジは何を食べるの?
- カタツムリ飼育のポイント
- カタツムリとナメクジの違いを知り、生き物の不思議を楽しもう
カタツムリとナメクジの先祖は同じ
殻や触角の違いがなければ、見分けがつかない程そっくりな見た目をしているカタツムリとナメクジ。実は、どちらも「陸貝(りくがい)」という巻貝の仲間で、先祖が同じなのです。
さらに、動物界における分類も同じで「軟体動物門腹足鋼(なんたいどうぶつもんふくそくこう)」に位置づけられています。見た目だけでなく、生き物としても似ているカタツムリとナメクジですが、実際にはどんな違いがあるのでしょうか?それぞれの特徴を交えながら解説していきます。
・進化の途中で殻がなくなったのがナメクジ
背中に殻がないのが特徴のナメクジは、実はカタツムリから進化した生き物なのです。進化する途中で背中にある殻がなくなり、このような見た目の違いが生まれました。ナメクジはどうして背中の殻をなくしてしまったのでしょうか?その理由は主に2つあります。
ひとつは、外敵から身を隠すためです。外敵の攻撃から身を守るための殻をなくしたナメクジは、岩の裏やプランターの下といった狭い隙間に入れるようになり、敵から見つからないことで身を守るようになったのです。
もうひとつは、少ない餌でも生きていけるようになるためです。殻がついているカタツムリは、体を成長させる以外に、殻を成長させるためにも栄養をとらなければいけません。しかし、ナメクジには殻がないので、餌から摂ったすべての栄養を体の成長だけに使うことができます。
このように、カタツムリから進化する過程で殻をなくしたため、ナメクジには殻がないのです。
・カタツムリの殻が外れるとどうなる?
カタツムリから進化したのがナメクジであれば、カタツムリの殻を外したらナメクジになるのでしょうか?
答えは「ならない」です。
なぜならばカタツムリの背中にある殻は、ただの飾りではなく、大切な体の一部だからです。殻の中には、心臓や肺といった生きるために欠かせない臓器が詰まっています。また、カタツムリの殻には外敵や乾燥から身を守る役割もあるのです。
そのため、殻を外すとカタツムリは死んでしまうのです。もしもカタツムリを捕まえる時には、殻を外したり傷つけたりしないようにしてあげましょう。
カタツムリとナメクジが住んでいる場所
カタツムリとナメクジは夜行性の生き物で、じめじめと湿った場所を好んで生活しています。そのため、普段は植木鉢や落ち葉の下などの「日が当たらない場所」に身を隠しながら住んでいるのです。
カタツムリやナメクジを捕まえたり観察したりしたい場合には、天気が良くてお日様が出ている日よりも、雨上がりの公園や雑木林を探した方が見つかりやすいでしょう。
また、カタツムリとナメクジは、雨が多く降る梅雨の時期に生息しているイメージがあるかもしれませんが、姿を隠しているだけで1年中生息しています。寒い日には冬眠をしているので動き回りませんが、プランターや石の下でひっそりと身を隠しているのです。
カタツムリとナメクジは何を食べるの?
一見すると、口がないカタツムリとナメクジは、小さな歯が数万個も生えている舌をもっています。このザラザラとした舌を使って、削るようにして餌を食べているのです。ここからは実際にカタツムリやナメクジが何を食べるのかについて解説していきます。
・どちらも雑食の生き物
カタツムリとナメクジは雑食の生き物で「野菜・果物・花・葉っぱ・キノコ・苔・虫の死骸・コンクリート」など、何でも食べます。
植物を食い荒らす害虫としても有名なナメクジの場合、草食イメージが強いかもしれませんが、虫の死骸などを食べてタンパク質などの栄養を摂っているのです。
野菜のみを食べているナメクジと、野菜の他に虫などのタンパク質も食べているナメクジとでは、後者の方が成長スピードや産卵が早く、繫殖(はんしょく)しやすい特徴もあります。つまり、人間と同じで、食べたもので体が作られているのです。
・カタツムリはコンクリートが好物
カタツムリもナメクジも雑食なので、基本的には何でも食べますが、その中でもカタツムリは、コンクリートを好んで食べる生き物です。カタツムリの殻を作るためには、栄養素であるカルシウムが必要ですが、そのカルシウムを摂れるのがコンクリートになります。
殻は、カタツムリの大切な体の一部で、外敵や乾燥から身を守るためにも、成長させなければいけません。その殻を成長させるための栄養素である炭酸カルシウムが摂れるので、カタツムリはコンクリートが好物なのです。
雨の日やじめじめとした日に、濡れたコンクリートの上でカタツムリを見かけたら、食事の最中かもしれませんね。
カタツムリ飼育のポイント
餌にお金がかからず飼育もしやすいカタツムリは、自由研究の観察日記づくりにおすすめの生き物です。では、実際にカタツムリを飼育するためには、どんなことに気をつければいいのでしょうか?ここからは、カタツムリを飼育する上で大切な4つのポイントについて解説していきます。
・ケースを置く場所は日陰を選ぶ
カタツムリは、体のほとんどが水分で作られているので乾燥に弱く、直射日光が苦手な生き物です。暑さや寒さといった温度の変化にも弱いので、できるだけ温度が変わらない日陰に飼育ケースを置くようにしましょう。
また、カタツムリは、変温動物(へんおんどうぶつ)といって、自分で体の温度を調節できません。そのため、15℃よりも寒くなると冬眠をしてしまいます。もしも、寒い時期にカタツムリを飼育する場合には、飼育ケースを置く場所が15℃以下にならないように気をつけてくださいね。
・腐葉土や落ち葉を入れる
カタツムリを飼育する際には、飼育ケースの中が乾燥しないように気をつけましょう。カタツムリは乾燥が苦手で、体の表面が乾燥すると弱ってしまい、元気に動けなくなってしまいます。飼育ケースの中を保湿するためにも、落ち葉を入れて腐葉土を作ったり、2日に1回は霧吹きで水をかけたりしてあげましょう。
腐葉土は、公園などにある土や落ち葉を集めれば作れるので、カタツムリを捕まえた時に、一緒に落ち葉を拾ってくるのがおすすめです。
・餌は野菜や果物とカルシウムが含まれるものを選ぶ
カタツムリは雑食なので、野菜や果物・草花など、何をあげても食べてくれます。しかし、背中の殻を成長させるためにはカルシウムを取らなければいけません。カルシウムが含まれる食べ物には「卵の殻」や「貝殻」などがあるので、料理で使ったあとは捨てないで、カタツムリの餌にしてあげるようにしましょう。
また、カタツムリは食べたものに応じて、色の違うフンをします。自由研究として飼育する際には、餌ごとに出るフンの色を観察するのも面白いかもしれません。ただし、お米やパスタといったデンプン質の食べ物や、塩分が多めの食べ物をあげてしまうと。消化ができなくなったり体内の水分が奪われたりしてしまい、死んでしまう危険性があるので気をつけてくださいね。
・直接触れるのは避ける
カタツムリには寄生虫が多くついており、そのなかには人間に有害な寄生虫もいます。そのため飼育する際はなるべく直接カタツムリを触らないように注意しましょう。また、世話をした後は必ず手を洗ってください。できればアルコールで消毒をしましょう。
カタツムリとナメクジの違いを知り、生き物の不思議を楽しもう
先祖が同じカタツムリとナメクジは、見た目こそ似ていますが、生き物としては別の種類になることが分かったと思います。どちらも、環境に適した姿で生きているので、食べている物や生活している場所が違うのも納得できたのではないでしょうか。生き物を飼育することは、興味や好奇心を育み、命の大切さを学ぶ機会にもなります。今回の記事で紹介した生態や特徴を参考に、実際に飼育をして観察してみてくださいね。
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