静電気が流れる仕組みとは?原理を踏まえて自由研究をしてみよう!

公開日: 2023/07/29

冬場にドアノブに触ったとき、指先にビリっと痛みを感じたことがある人はいませんか?また、頭を下敷きでこすって、髪の毛を浮かせて遊んだことがある人もいるかもしれません。静電気の性質を知っていると、感電する仕組みやそれを防ぐ対策がわかるはずです。静電気を上手に使うと、おもしろい自由研究もできます。そこで、静電気が流れる仕組みを詳しく解説します。

目次
なぜ静電気は発生するの?
静電気が起こると痛いのはなぜ?
静電気を防ぐための3つの対策とは?
静電気を使った自由研究をしてみよう!
静電気は身近な存在!性質を理解しておもしろい自由研究に挑戦してみよう!

なぜ静電気は発生するの?

静電気が発生する要因は、「原子」という肉眼では見えない小さな粒の性質にあります。原子のなかでは、水素・ヘリウム・酸素などが有名です。地球上には約110種類以上の原子が存在し、その組み合わせですべてのものができています。

原子は原子核と電子から成り立っています。そして、どちらも「電荷」といって電気を帯びている状態です。原子核はプラスの電荷、電子はマイナスの電荷を持っています。プラスとマイナスの電荷は同じ数ずつあるので、通常は打ち消し合ってバランスが取れた状態を保っています。しかし、2つの物体がこすれ合うことで、バランスが崩れて電気が外にあらわれます。これが静電気の正体です。

バランスが崩れて電気が外にあらわれている状態を「帯電」と呼びます。帯電するときは、プラスかマイナスのいずれかに偏ります。

静電気が起こると痛いのはなぜ?

静電気が起こるとバチバチっと痛みを感じることがあります。痛みは、静電気が起きてバランスが崩れた状態から、元に戻ろうとして起きます。

たとえば、摩擦によってマイナスの電気を帯びた物体があるとしましょう。マイナスに帯電した物体はバランスが悪い状態なので、元の状態に戻ろうとします。このため、プラスに帯電した物体に接触すると、バランスのよい状態にするためにマイナスの電気がプラス側に移動するのです。電気が移動を「放電」といい、2つの物体間に電流が流れる状態になります。
何かに触れたときに静電気によって痛みを感じていることは、自分の体の一部が感電した状態なのです。

静電気を防ぐための3つの対策とは?

静電気は身近に起こりがちです。冬は毎日バチバチと痛みに悩まされている人も多いでしょう。静電気を防ぐための主な対策を3つご紹介します。

・静電気対策1:適度な湿度を保つ

静電気対策の1つ目は、適度な湿度を保つことです。静電気で痛い思いをするのは、冬が多いと思いませんか?冬は湿度が低く乾燥していて、静電気が起こりやすいからです。水分は電気を逃す性質があるので、適度な湿度があると静電気が起きにくくなります。

空気中の湿度が20%以下だと静電気が起きやすくなるので、加湿器などで乾燥を防ぎましょう。

・静電気対策2:静電気対策グッズを使う

静電気対策の2つ目は、静電気を防止するアイテムを使うことです。静電気対策グッズとしては、衣類や髪に吹きかけて使う「静電気防止スプレー」や、リストバンドのように手首に巻く「静電気除去ブレスレット」などが挙げられます。

静電気防止スプレーは、配合されている薬剤によって静電気を防止します。静電気を防ぐことでホコリや花粉の付着も防止できます。

静電気除去ブレスレットは、指や手に静電気が起こることを防ぐアイテムです。体にたまった電気を逃がしやすい素材でできていて、冬に起こりがちな静電気による痛みを予防できます。デザインや価格はさまざまで、100均で販売されているものもあるほどです。

・静電気対策3:繊維や素材の組み合わせを考える

静電気対策の3つ目は、着用する繊維や素材の組み合わせを考えることです。素材によって、プラス・マイナスどちらに帯電しやすいかが異なります。電気的な性質が大きく異なる物体同士は通電しやすくなるので、性質が近い素材を組み合わせると静電気が起こりにくくなります。
たとえば、冬に着ることの多いウールや静電気が起こりやすい髪の毛はプラスに帯電しやすい性質です。マイナスに帯電しやすいポリエステルやアクリルではなく、レーヨンやコットンのインナーを着用すると静電気は起こりにくいでしょう。

静電気を使った自由研究をしてみよう!

静電気の力を使うと、おもしろい実験ができます。自由研究として挑戦してみませんか?

・静電気探知機を作ってみよう

静電気は目には見えないものですが、探知機を使えば探し当てることができます。静電気探知機の作り方は次の通りです。

【材料】
 アルミホイル
 長さ15セントメートルほどのガラスビン(ごま油やドレッシングの空きビンなど)
 発砲スチロール(食品トレイを切り抜いたもの)

【作り方】
1. アルミホイルを切って①15セントメートル×1センチメートル②15センチメートル×4センチメートルサイズの2つのパーツを作る
2. ①のパーツを真ん中から2つに折る
3. ②のパーツは縦、横に折って、7.5センチメートル×2センチメートルの長方形にする
4. 3.で作ったパーツに、はさみで2センチメートルほど切り込みを入れる
5. 4.の切れ目に2.の折り目側を差し込み、アルミホイルをねじって2つのパーツをくっつける
6. 発泡スチロールを2セントメートル10センチメートルに切り、5.のアルミホイルのねじり部分に巻き付ける
7. リボン状のアルミホイルがビンの中に入り、大きめのアルミホイルが上から出るように固定する
8. しっかり固定できるように、必要に応じて発泡スチロールを切りながら調整する

ビンの外に出ているアルミホイルが静電気を感知すると、ビンの中のリボン状のアルミホイルが開きます。下敷きを布でこすって静電気を起こし、リボンが開くか実験してみましょう。

・静電気の力で空き缶を動かそう

静電気は目には見えないものですが、探知機を使えば探し当てることができます。静電気探知機の作り方は次の通りです。

【材料】
 アルミホイル
 長さ15セントメートルほどのガラスビン(ごま油やドレッシングの空きビンなど)
 発砲スチロール(食品トレイを切り抜いたもの)

【作り方】
1. アルミホイルを切って①15セントメートル×1センチメートル②15センチメートル×4センチメートルサイズの2つのパーツを作る
2. ①のパーツを真ん中から2つに折る
3. ②のパーツは縦、横に折って、7.5センチメートル×2センチメートルの長方形にする
4. 3.で作ったパーツに、はさみで2センチメートルほど切り込みを入れる
5. 4.の切れ目に2.の折り目側を差し込み、アルミホイルをねじって2つのパーツをくっつける
6. 発泡スチロールを2セントメートル10センチメートルに切り、5.のアルミホイルのねじり部分に巻き付ける
7. リボン状のアルミホイルがビンの中に入り、大きめのアルミホイルが上から出るように固定する
8. しっかり固定できるように、必要に応じて発泡スチロールを切りながら調整する

ビンの外に出ているアルミホイルが静電気を感知すると、ビンの中のリボン状のアルミホイルが開きます。下敷きを布でこすって静電気を起こし、リボンが開くか実験してみましょう。

・静電気で電気クラゲを浮かせてみよう

静電気を使うと、軽いものを浮かせることもできます。今回は100均で売っている材料でできる、電気クラゲの実験をご紹介します。

【材料】
 荷造り用のビニールテープ
 太めのプラスチックストロー4本
 セロハンテープ

【実験方法】
1. 荷造り用のビニールテープを15cmほどに切り、開いて4分の1ずつに裂く
2. 裂いたビニールテープを束ねて、上から4分の1のところで結び目を作る
3. 結び目の先の短いほうをはさみで短く切ると、クラゲの触手のような形になる
4. ストローは4本まとめたあと、セロハンテープを巻いて固定する
5. ストローをティッシュペーパーやハンカチでこする
6. ビニールテープで作ったクラゲを空中に投げ、ストローを近づける

空中のクラゲにストローを近づけると、静電気の力によって浮き続けます。ストローを近付けたり離したりしながら、遊んでみましょう。

・魔法の下敷き使ってみよう

静電気を使うと、ものを動かすことも可能です。下敷きを利用して描いた絵を踊らせる実験をご紹介します。

【材料】
 ビニール袋(買い物の際に使うようなもの)
 セロハンテープ
 油性ペン
 下敷き

【実験方法】
1. ビニール袋に油性ペンで好きな絵を描く
2. 描いた絵を切り取る
3. セロハンテープを使って、絵の下の部分だけ机やテーブルに貼る
4. 下敷きをウールのマフラーなどでこする
5. 下敷きを絵にゆっくり近付ける

静電気を帯びた下敷きを絵に近づけると、ビニールが引き寄せられます。下敷きを動かすとそれに合わせてビニールに描いた絵も踊ります。踊らせてみたいものの絵を描いて遊んでみるとよいでしょう。

静電気は身近な存在!性質を理解しておもしろい自由研究に挑戦してみよう!

私たちの身の回りのものはすべて電気を持っていて、何らかの拍子にバランスが崩れることで静電気が起こります。そして、偏ったバランスを正そうとする性質によって通電が起き、私たちは痛みを感じます。このため、静電気に対して不快な印象を持っている人が多いかもしれません。しかし、静電気を上手に使うと、おもしろい遊びができます。ホコリを吸い寄せることから、掃除に使われることもあります。性質を理解して、静電気とうまく付き合っていけるとよいですね。

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