化石のでき方は?化石から読み解けることと種類について解説!
公開日: 2023/10/04
恐竜やアンモナイトなど、太古の生物の姿を現代に伝える化石は、いくつもの偶然が積み重なった奇跡のような確率をくぐりぬけて形成されています。 この記事では、化石ができる仕組みや化石から読み取ることができるさまざまな情報について解説します。
- 目次
- 化石で発掘されるのは奇跡の確率!恐竜の化石のでき方は?
- 化石が教えてくれることってどんなこと?
- 恐竜やアンモナイトだけじゃない!たくさんある化石の種類
- 化石は過去の情報を現在に伝えるタイムマシーン
化石で発掘されるのは奇跡の確率!恐竜の化石のでき方は?
化石とは、生き物の遺骸(死体)や痕跡が地中に埋没して長期間保存されていたものです。生き物の成分が残っている化石もありますが、生き物の形を残したまま別の成分に置き換わっている化石もあります。
・恐竜が死んで化石になるまでの流れ
化石ができる過程を恐竜の化石を例に解説します。恐竜が死んだ後、条件が良ければ、死体の上に砂や泥が溜まっていくことがあります。例えば、海や湖の底にある死体の上に水中の泥などが落ちてくるようなイメージです。この過程には時間がかかるので、多くの場合、骨以外の柔らかい組織は他の生物に食べられるか、微生物の作用によって分解されます。
死体が地中に埋まると、死体の周囲の土から鉱物(石)の成分が骨に染み込み始め、時間をかけて骨が石に置き換わっていきます。
さらに長い時間がたつと、地中深くの地層が地殻変動によって地表の近くに表れることがあります。これによって人が発見できる位置まで化石が移動します。
・化石ができる条件
化石ができるためには、死体が破壊されずに形をとどめることが必要です。地上では他の生物が死体を食べてしまったり、微生物によって分解されたりする可能性があります。地中に埋もれた後も、地中の圧力や熱によって破壊されてしまう可能性があります。
・化石が発掘されるのが奇跡の確率だという理由
生物が化石になり、その化石が人間の手で発掘されるまでには、長い年月と、いくつかの幸運が重なる必要があります。
〈偶然重なった条件を満たさないと化石にはならない〉
先ほど解説したように、化石化には生物の死体が破壊されずに地中に長い間保存されることが必要です。例えば、生物が死んだ直後に洪水が起きて、死体の上に大量の土砂が流れ込めば、他の生物に破壊されずに地中に埋もれることができます。
〈地殻変動や地球環境の変化で化石が壊れることもある〉
地中の堆積物に含まれる死体全てが化石になるわけではありません。地面は長い時間をかけて少しずつ動いていることが分かっていて、地中の状況は一定ではありません。地震や火山活動などによって化石に強い圧力や高熱が加わると、化石が壊れてしまうことがあります。
〈地表に現れたり、風化したりする前に発見される可能性も低い〉
ここまでの条件を満たして化石が形成されたとしても、人間が発掘できる地表近くまで移動しなければ発見されることは困難です。また、化石が地表に出てきた後は、太陽の光、風、雨といった自然環境にさらされて風化が進みます。人間が知性的な活動を行っているのはたかだかこの数千年ですので、何億年も前の化石が発見されることがいかに奇跡的なことか分かりますね。
化石が教えてくれることってどんなこと?
化石は生物が生きていた時の姿を私たちに見せてくれますが、化石から読み取れる情報は他にもたくさんあります。
・化石を調べることで昔の地球の様子がわかる
化石には、その化石の元になった生物が生きていた時代の地球環境に関する情報が豊富に含まれています。
〈示準化石や示相化石、周辺の地層などを調べてわかること〉
化石には、その化石がいつの時代の生物に由来するのかを示す「示準化石」や、その化石の元になった生物が生きていた環境の情報を含む「示相化石」があります。さらに、化石の周囲の地層も重要な研究対象です。
〈どんな生き物が住んでいたか〉
まず、化石として残された形状からどのような生物が生きていたのかが分かります。生物の大きさや体のパーツの形は、次に紹介するような発展的な情報の解釈にも重要です。
〈どのように進化したか〉
化石から分かる生物の形状を、他の時代の化石や、現在生きている動物のものと比べると生物の進化の歴史が分かります。例えば、もともと海の中で生活していた動物が陸に上がるためには足の発達がポイントですが、どの時代にどのような段階を経て機能的な足を獲得してきたかを化石から推測できます。
〈どんな生活をしていたか〉
化石になるのは生物の体そのものだけではなく、足跡や排泄物、卵といった生活に関連するものも化石になることがあります。このような化石は、その生物の食生活や子育てなどを推測するための重要な手がかりです。
〈昔の地球環境〉
生物はその特性に合致した環境に生息するので、化石には当時の地球環境の情報が含まれます。例えば、サンゴの化石は温暖な海の存在を示しますし、寒冷地に多い植物の化石は、その時代にその場所が低温な環境だったことを示します。
・示準化石とは
化石の中でも特に、時間の情報を含むものを「示準化石」と呼びます。この示準化石を基準とすると、その化石に含まれる情報と、その時代の情報が結びつきます。
示準化石は、その化石がある地層が堆積した時代を示します。化石ができた時代を特定するためには、次のような条件に合致する化石が役に立ちます。
〈生物が生きていた時代が限られているもの〉
特定の時代にだけ生きていたことが分かっている生物は、その化石ができた時代を特定する手掛かりになります。
〈生物の特徴が時代とともに変化したもの〉
生物の進化の過程で体のパーツの形状などが変化した場合、その形から時代を逆算できる場合があります。
〈その生物が地理的に広く分布しているもの〉
示準化石は、年代推定の基準となる情報を提供してくれます。さまざまな地域で見つかった
地層を比較するためには、いろいろな場所で見つかる生物の化石が有利です。
・示相化石とは
示相化石は、その化石がある地層が堆積した時の環境を示す化石です。示準化石と示相化石の情報を組み合わせると、その時代の環境を理解する手掛かりが得られます。
示相化石となるのは、生息環境が限られている生物や、他の生物との類似性などから生息環境が推測しやすい生物です。
恐竜やアンモナイトだけじゃない!たくさんある化石の種類
化石というと、博物館に展示されている恐竜の全体骨格やアンモナイトを想像しますが、実際には他にもいろいろな種類があります。
・体化石
体化石は、生物の死体が化石として残ったもので、恐竜の骨やアンモナイトの化石はこのタイプに含まれます。
・生痕化石
生痕化石は、生物の生活の痕が化石になったもので、足跡や微生物が形成したコロニーの形などが含まれます。
・化学化石
他の化石とは少し違って、肉眼では確認できない化学成分が保存されているものは化学化石と呼ばれます。有名な恐竜映画で、琥珀に包まれた蚊に恐竜のDNAが含まれていた、という設定が使われていますが、このDNAは化学化石の一例です。実際には遺伝情報となるDNAの配列が長い年月でバラバラになってしまうため、DNAが存在したことは推測できるとしても、恐竜の遺伝情報を読み取ることは難しいようです。
化石は過去の情報を現在に伝えるタイムマシーン
化石には、何億年も昔の生き物や地球の環境に関する情報がたくさん詰まっています。化石ができて、人間に発見されるまでには奇跡のようなプロセスが必要ですが、幸運にも地球にはまだまだたくさんの化石が残されています。今後も化石からたくさんの情報が読み取られ、私たちに太古の地球の様子を伝えてくれるでしょう。
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