チーターはどうして速く走れるの?生態と走るのが速い理由

公開日: 2024/02/02

チーターは、時速100キロメートルを超えるスピードで駆け回る、陸上動物の中で最速の存在です。では、チーターはどのようなメカニズムで他の動物を凌駕するスピードを実現しているのでしょうか?この記事では、チーターの体や走法の特徴を解説するとともに、チーター以外の高速で移動できる動物についても紹介しています。

目次
チーターはどのような動物?
チーターが走る速度はどのくらい?
チーターはどうして速く走れるの?
チーターよりも速く移動できる動物はいる?
動物たちの驚異的なスピードは進化の証

チーターはどのような動物?

チーターは、ライオンや猫と同じネコ科に分類される大型の肉食哺乳類で、最も走るのが速い哺乳類です。ネコ科の中にはライオンやトラのようにがっしりした体つきをしている動物もいますが、チーターはむしろ家庭で飼われている猫のようなスリムな体型をしています。

チーターの生態

チーターは暖かい草原地帯や砂漠などに生息しています。チーターは基本的に地面で生活していますが、まれに見晴らしの良い木の上に登ることもあります。体長は110センチメートルから140センチメートル程度で、体重は30キログラムから65キログラムぐらいと言われています。チーターの最大の特徴はそのダッシュ力で、速く走ることに特化した体を活かして獲物に襲い掛かる狩りの様子はとてもダイナミックで迫力があります。

しかし、優れた走力を持つチーターも近年では生息数が減少していて、絶滅危惧種に指定されています。

チーターの種類

チーターは、大まかにはアフリカに生息する「アフリカチーター」とアジアに生息する「アジアチーター」の2種類に分類できます。このうちアジアチーターは、現在ではイランの中部でのみ生息が確認されていて、2022年にはたった12頭まで数が減ってしまったと報告されています。

チーターが走る速度はどのくらい?

最速の哺乳類であるチーターの能力は多くの研究者の興味を引いていて、その最高速度がどれぐらいなのかについて多くの研究結果が報告されています。自然環境での走行速度には地面の状態などさまざまな条件が関係しますが、走りやすい条件が揃えば最高で時速110キロメートルぐらいに到達できると考えられています。

人間が走る速さはどれぐらい?

現在、100メートル走で世界記録をもつウサイン・ボルトさんでもその瞬間最高速度は時速45キロメートルぐらいです。スポーツ庁の調査によると、中学2年生男子の50メートル走の平均タイムは約8秒です。これを平均速度に直すと時速22.5キロメートルぐらいです。

チーターの弱点は持久力

ただ、チーターといえど、この最高速度を維持するのは大変なようで、全速力で走れるのは300メートルぐらいとの研究結果も報告されています。そのため、必然的にチーターの狩りは短期決戦となり、獲物の抵抗にあって狩りが失敗してしまうことも多いようです。

チーターはどうして速く走れるの?

チーターはネコ科の他の動物と比べて、比較的細く長い胴体や足を持っています。チーターは、この体全体をダイナミックに使って前に進む推進力を生み出しています。

チーターの足の使い方に特徴がある

チーターは足のかかとを浮かせた状態で走ります。この走り方であれば、爪を使って地面に力を伝えて急な加速や方向転換も可能です。この動きは人間のスポーツ選手とも共通しています。例えば、時速150キロメートルで打ち返されるボールを捕らなければならない野球選手は、バッターがボールを打つ瞬間にスパイクのつま先側に体重をかけて素早い反応を実現しています。

最高速度に比べるとイメージするのは難しいですが、チーターの走りの凄さは数秒でトップスピードに達する加速力と高速で方向転換する能力にあるとの意見もあります。

チーターの速さの秘密は「飛翔期」にあり

チーターの走り方の特徴は「飛翔期」に現れています。飛翔期とは、足が全て地面から離れている状態のことで、人間や馬が走る場合にも現れる現象です。チーターが走る時も飛翔期が現れますが、馬とは違って「体が曲がった状態の飛翔期」と「体が伸びた状態の飛翔期」の2種類が存在する特徴があります。馬の場合、全ての足が浮いている時は基本的に体を屈曲させています。

近年の研究では、チーターは体を曲げている時と伸ばしている時の2種類の飛翔期を持つ走り方によって、地面を蹴る→飛翔する→地面を蹴る……という運動のサイクルを高速化しているとの研究結果も報告されています。

チーターよりも速く移動できる動物はいる?

チーターは最速の哺乳類と言われますが、動物の中には水の中や空中の移動に特化したものも存在します。ここでは、チーターと同じぐらいか、もっと速く移動できる動物について紹介します。

陸上動物編

陸上を移動する動物の中には、チーターに匹敵する速さで移動できるものはほとんどいません。速く走れる動物のイメージがある馬の場合、競馬用の訓練を受けたサラブレッドでも時速70キロメートルぐらいです。短距離走に特化したクォーターホースという種類の馬でも時速90キロメートル程度が限界のようです。

プロングホーンという北アメリカに生息する動物は、肉食動物から逃げるために高速で走る能力を獲得したのではないかと考えられています。プロングホーンは最大で時速90キロメートル近い速度を出すことができるうえに、長い距離を走る持久力も持ち合わせています。北アメリカにチーターは生息していませんが、チーターに近いピューマなどの足の速い捕食者との闘いの歴史があったのかもしれません。

水中動物編

さまざまな世界一を記録しているギネスワールドレコーズによると、水中を最も早く泳ぐことができるのはバショウカジキで、その最高速度は時速100キロメートルを超えるとされています。水中を移動する動物の移動速度の限界を正確に測定するのは難しいので、今後の研究によって、もっと早く移動できる水中生物が見つかる可能性もあります。

空を飛ぶ動物編

空を飛ぶ動物の中には、チーターよりも速く移動できる生物が多く存在します。鳥類のワシやハヤブサは、平行に飛行している時でも時速100キロメートル以上の速度で飛ぶことができます。高い位置で飛んでいる状態から重力の力で加速しながら急降下すると、最高で時速300キロメートルを超える速度に達することもあるそうです。ワシやハヤブサは空の高い位置から獲物を吟味し、上空からターゲットに高速で飛びかかります。加速しながら急降下しても獲物を見失わない目の良さと、高速で移動しながら飛行コースをコントロールできる強い翼があってこそできる離れ業と言えるでしょう。

動物たちの驚異的なスピードは進化の証

チーターは、速く走ることに特化した体を目一杯に使って陸上動物最速の走りを実現しています。そのダイナミックな狩りは自然界で観察される光景の中でも特に興味深いシーンの一つです。動物たちはそれぞれの場所で生き残るために、移動方法を進化させてきました。なぜそのスピードが必要だったのか、その速度を実現するにはどのような体の機能が必要なのかなど、おもしろい疑問が次々に湧いてきますね。

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