子供の教育に効果的なマインクラフトとは?遊び方と小学校での活用

公開日: 2019/03/01

近年、日本の教育現場では「Minecraft(マインクラフト)」の活用が広まっており、小中学生の子供がいる家庭であれば一度は聞いたことがあるかもしれません。 マインクラフトは、全世界で1億円以上の売り上げを突破する大ヒットゲームですが、ただ面白いだけではなく「子どもの才能を引き出すゲーム」として注目されているのです。 今回は、マインクラフトで遊ぶメリットや、小学校での活用事例についてご紹介します。

目次
子供の教育に役立つマインクラフトとは
子供がマインクラフトで遊ぶメリット
マインクラフトの遊び方
教育現場でのマインクラフト活用事例
マインクラフトを使って自分の発想を表現してみよう

子供の教育に役立つマインクラフトとは

マインクラフトはスェーデンのマルクス・ぺルソン氏によって開発されたサンドボックス型のゲームで、通称「マイクラ」といわれています。
サンドボックスは「砂場」を意味しており、決まったルールやストーリーがなくプレイヤーが自分で目的や目標を立てて遊ぶゲームのことをいいます。マインクラフトは自分だけの広大な世界をつくることができる、非常に自由度の高いゲームです。

ブロックを置いて冒険を続けるシンプルなゲーム

マインクラフトでは、さまざまなブロックを組み合わせて村や町をつくっていきます。
ブロックには木や石、金などの属性があり、木造の家をつくる場合は木のブロック、石造りの建物であれば石のブロックと、ブロックを使い分けて自分だけの世界をつくりあげていくシステムです。

時々、ゾンビやモンスターなどが登場するため敵を倒すシーンもありますが、本来の目的は自分の世界をつくること。そのため、子供たちの発想力を育むことができると注目を浴びています。

基本はパソコン版となりますが、スマホやタブレットで遊べるPE版やSwitchなどの家庭用ゲーム版、Minecraft: Education Editionといった教育版などもリリースされています。幅広いシーンで遊ぶことができるのもマインクラフトの魅力のひとつといえるでしょう。

搭載されていない要素を追加することができる

マインクラフトのパソコンにはMODという拡張データがあり、コードを打ち込めば本来搭載されていない要素を追加することができます。

また、スマホ版などではレッドストーン回路という仕掛けが作れるようになっていて、レッドストーンと呼ばれるブロックを並べることで電子回路が再現され、さまざまなブロックが自動で動くようになるのです。

つまり、従来のサンドボックス型ゲームにはない、自分の思い描くもの全てを実現できます。これがほかのゲームではあまり見ない、マインクラフトの大きな特徴です。

子供がマインクラフトで遊ぶメリット

子供たちに人気なだけでなく、世界中の教育業界でも注目されているマインクラフト。そこにはさまざまなメリットが存在しています。
もちろんゲームとしての面白さもありますが、ゲームを進めていくうえでさまざまな能力が身につくといわれているのです。

問題解決能力が鍛えられる

マインクラフトではさまざまなブロックを組み合わせて自分好みの世界をつくっていきますが、何もない空間からつくり始めるわけではありません。
はじめは土台となる自然環境が存在し、そこに建物を建てたり、ストーリーをつくったりして自由にゲームの世界をつくりあげていきます。
MODやレッドストーン回路を組み合わせれば、より複雑な仕掛けをつくることも可能です。

しかし、子供たちがいきなりこういった作業を実践しても、はじめはうまくいかないことが多いでしょう。
そのため、ゲームの中で「どうすれば上手くいくか」試行錯誤する必要があり、おのずと問題解決能力が身についていくのです。

クリエイティブな感覚が育てられる

実際に目にしたものや想像したものを形にすることは、子供たちのクリエイティブな感性を大きく育てることに繋がります。

マインクラフトユーザーの中には、自分がつくった建造物や世界を作品として公開している人もいるなど、アート作品の展示場のような感覚でも活用できます。
実際、英国の芸術団体で知られる「Tale」では、マインクラフトを使って絵画と同じ世界を表現したり、世界遺産を再現したりと、ゲーム以外のさまざまな活用方法が考案されているのです。

テクノロジーの基礎が学べる

マインクラフトでは、MODやレッドストーン回路を使用したやや上級者向けの要素も備わっています。
これらをうまく利用すれば、スイッチを用いたON/OFF機能付きの照明やエレベーターのような昇降装置、巨大ロボットといったさまざまな装置をつくることができます。これらをつくる工程の中では、現代的なテクノロジーや電子回路を学ぶことが可能です。

また、コーディングによってMODを追加するという行為は、まさにプログラミングそのもの。2020年から小学校で必修化となるプログラミング教育にも最適なゲームといえます。

協調性が豊かになる

マインクラフトでは、1つの画面に複数人が入り一緒に冒険することも可能です。
仲間と一緒に巨大な建物をつくったり、自分たちがつくった作品を披露しあったりと、1人ではなかなか味わえない感動も味わうことができます。

作業の役割分担を決めて生活を豊かにすることもできるので、他人を思いやることや、力を合わせて協力するといった協調性を身につけることができるでしょう。

マインクラフトの遊び方

マインクラフトには「サバイバルモード」と「クリエイティブモード」の2つのモードがあり、それぞれで違った遊び方ができます。
特に人気があるのはサバイバルモードですが、その日の気分や何を学びたいかによってモードを切り換えても良いでしょう。

サバイバルモード

サバイバルモードでは体力ゲージが設定されており、ゲームの主人公は時間が経つとお腹がすいてきて、そのまま放置すれば死んでしまいます。
さらに、夜になればモンスターが攻撃をしてきて、戦わなければ殺されてしまいます。
いろいろな危険が存在する世界でいかに生き延びるかということがサバイバルモードの醍醐味です。

プレイヤーはモンスターに襲われないよう家を建て、無事に一夜を乗り越えられた時には、何ともいえない大きな達成感を感じられることでしょう。
また、いろいろな試行錯誤を繰り返すうちに倒せなかったモンスターを倒せるようになったり、安定して食料が手に入るようになったりします。

こうした達成感は子供たちのモチベーションを向上させるほか、意欲的に物事に取り組む姿勢にも繋がるでしょう。

クリエイティブモード

クリエイティブモードは、純粋にゲームの世界をつくっていくことがメインです。体力ゲージの設定もなければ、モンスターに襲われることもありません。
その建設資源は無限にあり、自分の思い描く世界を構築することがクリエイティブモードの醍醐味です。

中には、江戸時代の風景を構築したり、ディズニーランドを実寸で再現したりするマインクラフターも。マインクラフトでさまざまな才能を発揮している人は少なくありません。

「ブロックでものをつくるだけ」と思う人もいますが、実際にやってみると意外に難しく、建設対象が大きくなるほどスケールがわからなくなったり、かたちがいびつになったりしてしまうものです。
そのためクリエイティブモードでは、自分の思考を表現する力や、物事の全体を把握しながら細かい作業を進める技術を学ぶことができるでしょう。

マルチプレイ

マインクラフトでは、サバイバルモード・クリエイティブモードという2つのモードのほか、複数人でプレイができるマルチプレイを楽しむことも可能です。
自分の友達や家族と遊ぶのはもちろん、専用のサーバーやLANに接続すれば大人数で楽しむことができます。

マルチプレイでは、自分では思いつかなかったアイデアを知ることができたり、1人では不可能なこともみんなで協力することで可能になったりするので、協調性を体感しながら学習することが可能です。

教育現場でのマインクラフト活用事例

現在教育現場で注目されているのは、このマインクラフトの教育版。総務省でも教育版マインクラフトを活用したプログラミング的思考学習を積極的に推進しています。

マインクラフトで行う学習活動では、通常の学習よりも子供の取り組み意欲が強いという傾向が見られます。こういった学習姿勢はマインクラフトの自由さによるものだと考えられています。このような学習活動は、プロジェクト型学習や問題解決型学習に適しているといえます。
一方、日本の学校教育で重視されている知識伝達型の学習ではあまり用いられていないのが現状です。

そんな中、日本マイクロソフトを中心に、あえて知的伝達を始点としたマインクラフトによる取り組み意欲の検証が行われました。以下に総務省公式サイトに掲載されているレポートからご紹介します。

ワークショップの様子

実証講座は2017年9月2日・10月27日の2回に分けて開催され、学校教員・支援員・中学生のメンターと、小学校3~6年生の児童が参加しました。

9月2日の講座では、Minecraft:Education Editionに登場する「エージェント」というキャラクターを、座標で示された目的地までプログラミングをして動かすとい課題に取り組みました。これは小学4年生の算数で学ぶ「位置の表し方」と親和性が高いです。
初めてのプログラミングでも苦手意識を持つことなく、積極的に参加する子供たちの姿が見られました。

ワークショップ後の意見交換

実証講座の後は参加者全員での意見交換が行われました。講師を務めた教論によれば、子供たちはマインクラフトをよく知っていたため、後半は子供たちに任せる形になったとのことです。

また、メンターの声としては「マインクラフトの活用は子供たちのモチベーションを高めることを実感した」「トライ&エラーを楽しむ子供が多かった」といった内容が多く、知識伝達型の学習でも、マインクラフトを活用することで子供たちは意欲的に学習に取り組むということがわかりました。

マインクラフトを使って自分の発想を表現してみよう

マインクラフトはただブロックを積み上げて遊ぶゲームではなく、自分の発想を形にすることができる自由度の高いゲームです。
マインクラフトには2つのモードがあり、それぞれ独自のアイデアや試行錯誤が必要とされます。そのため、子供の教育に最適として世界中の教育現場でも注目されているのです。

このゲームでは、今後のIT社会に必要不可欠となるプログラミング的思考力を身につけることができるほか、論理的思考力や問題解決能力といったさまざまな考え方を育むことができます。また、電子回路やプログラミングに触れることも可能。マインクラフトはもはやゲームというより、「学びのプラットフォーム」といっても過言ではないでしょう。

今後のプログラミング教育の備としてぜひマインクラフトを活用してみてください。

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