梅雨はなぜ毎年やってくるの?梅雨が起こる天気の仕組みと名前の由来

公開日: 2024/03/28

日本では季節によって特徴が異なるいろいろな天気が観察できます。その中でも、今回は長い期間雨が続く「梅雨」(つゆ)に注目します。梅雨の時期に雨が多くなる理由や、その名前の由来について学んでみましょう。

目次
梅雨はなぜ雨が降る日が多いの?
梅雨と呼ばれるのはなぜ?
梅雨になると活発になる動物たち
梅雨の時季に気を付けること
梅雨ならではの天気を楽しんでみよう

梅雨はなぜ雨が降る日が多いの?

毎年5月頃になると、天気予報で「梅雨入り」という言葉が使われ始めます。梅雨の間は雨の日が多く、外での遊びやスポーツの機会が少なくなってしまいがちです。皆さんは、なぜ梅雨に雨が多くなるのか考えてみたことはありますか?

雨が降るメカニズム

梅雨について考える前に、まずは雨が降るメカニズムの一部を簡単に解説します。雨が降るメカニズムは複雑で、現在でも研究が進められています。ここで紹介しきれない部分も多いので、興味があれば調べてみるのもおすすめです。

雨の正体は、空気中の水蒸気が液体の水となって落ちてきたものです。つまり、空気中に水蒸気がたくさんあって、その水蒸気が液体に変化しやすい条件が整うと雨が多くなります。

水蒸気が液体の水に変化するきっかけの一つは、温度の低下です。空気の温度が低下すると、空気中に存在できる水蒸気の量が減少します。水蒸気の量が限界を超えると、水蒸気から液体への変化が起こり、雨の元となる水滴が作られます。

水滴が極めて小さいうちは、地面から吹き上げる空気の流れ(上昇気流)に支えられて、ある程度空に浮かび続けることができます。皆さんが普段見ている雲の正体は、この極めて小さな水滴です。この水滴が大きくなると重力に逆らいきれなくなり、雨粒として落下します。

梅雨の原因は2種類の空気の押し合い

それでは、梅雨の空では何が起きているのでしょうか?実は、梅雨の時期は、日本の北と南にある2種類の空気の塊(気団、きだん)が押し合いをするタイミングなのです。北にあるのは「オホーツク海高気圧」で、冷たい空気が集まっています。南にあるのは「太平洋高気圧」で暖かく湿った空気が集まっています。

高気圧とは、周囲の空気よりも気圧が高い部分のことで、高気圧の中心から外側に向かって空気を押し出す働きがあります。

梅雨の時期には、日本の北と南にある高気圧から空気が押し出されます。それらの空気はちょうど日本の上空でぶつかり合います。2種類の空気がぶつかるエリアは「梅雨前線」と呼ばれ、豊富な水蒸気を含みます。また、冷たい空気と暖かい空気が衝突するので温度も変化しやすく、雨が降る条件がそろっています。

梅雨になるタイミングは毎年同じ?

梅雨の原因である梅雨前線の位置は、オホーツク海高気圧と太平洋高気圧の力のバランスで決まります。この2つの高気圧の状態は毎年少しずつ違うので、年によっては梅雨のタイミングが早まったり、長く続いたりすることがあります。

基本的に、夏に近づくにつれて太平洋高気圧が梅雨前線の位置を南から北に押し込んでいきます。そのため、梅雨の時期は南の地方で早く、北の地方ほど遅くなります。沖縄の梅雨入りは5月上旬で、梅雨明けは6月中旬ごろですが、東北地方では6月中旬から7月下旬まで梅雨が続きます。

北海道には梅雨がない?

梅雨前線が北海道の辺りまで押し上げられる頃には、雨を降らせる働きが弱くなって、消滅してしまいます。そのため、北海道には他の地域のような梅雨がありません。しかし、この季節の北海道でも、オホーツク海高気圧の影響で雨が降ることがあります。

梅雨と呼ばれるのはなぜ?

漢字で梅の雨と書いて「つゆ」と読むのは、どこか不思議な名前ですよね。実は、梅雨の名前の由来にはいくつかの説があり、明確な答えは見つかっていません。

一つは、中国で梅の実が熟す季節なので「梅雨」と呼んでいたという説です。他には、ジメジメした気候でカビ(黴)が発生しやすく、黴の雨で「ばいう」と呼んでいたという説もあります。同じく、ジメジメした気候で食べ物が腐りやすいことから、腐るという意味の「潰える」(ついえる)という言葉が元になっているという説もあります。

梅雨になると活発になる動物たち

雨が長く続く梅雨の間は、野外での活動が制限されてしまいがちですが、他の季節とは違った動物たちを観察できるチャンスでもあります。

例えば、カエルやカタツムリ、ナメクジ、ミミズなどの湿気を好む動物たちは、普段私たちが活動する場所にはあまり出てきませんが、梅雨の長雨で湿った状態が続くと、これらの動物も公園や道にひょっこり現れてくれることがあります。

植物にとっても梅雨は重要な意味があります。梅雨の雨は土に水分を供給して、植物が成長する環境を整えます。また、雨雲は気温の変化を緩やかにするので、高温に弱い植物にとって適した環境でもあります。アジサイは、梅雨の雨からたっぷりと水分を得て美しく咲く花の代表格です。

梅雨の時季に気を付けること

たくさんの雨が降る梅雨には、他の時期とは違う危険があります。普段から安全のための準備をしておくようにしましょう。

集中豪雨から身を守る

梅雨の時期には、短期間に大量の雨が降る集中豪雨が発生する危険性が高まります。私たちが住んでいる都市には、雨水を安全な場所に流す仕組みが準備されていますが、いっぺんに多くの雨が降ると十分な対応ができずに、水があふれ出してしまうことがあります。あふれたマンホールのふたが外れて転落する危険性もあります。水が溜まった道路では足元の確認が難しいので近づかないことが重要です。

Googleなどで「ハザードマップ」と検索すると、集中豪雨の時に起こる可能性のある災害を、国や自治体(県や市など)がまとめた地図が見られます。災害が起こる前に大人の人と確認しておくと、いざという時に冷静に対応できます。近くの避難場所や安全なルートも調べておきましょう。

大雨で川や池の水位が上昇し、普段は安全に遊べる場所が危険な場所に変わることもあります。水位の変化は私たちが想像するよりも短い時間で起こるので、突然、水に取り囲まれてしまう事故がたくさん報告されています。雨が降った後は水場に近づかないようにしましょう。

注意報や警報をチェックする

天気予報では特に注意が必要な情報を、「注意報」や「警報」という言葉で伝えています。これらは、気象庁が発表するもので、注意報は「災害が起こるおそれのあるとき」、警報は「重大な災害が起こるおそれのあるとき」という基準が設定されています。もちろん、注意報や警報が出ていないから絶対に安全というわけではありませんし、時間がたてば予報が変わることもあります。こまめに最新の情報を確認するようにしましょう。

梅雨ならではの天気を楽しんでみよう

梅雨は、2つの高気圧が日本を南北から挟むように存在することで発生する現象です。長く、たくさんの雨を降らせますが、この時期ならではの生き物たちを見る楽しみもあります。安全に気を付けて、梅雨の時期を楽しんでください。

日本人は昔から梅雨の長雨と共に生活してきたので、梅雨をテーマにした和歌や詩、小説がたくさんあります。外で遊べない時は、ゆっくりと腰を据えて昔の人の心情を想像してみるのも面白いかもしれませんね。


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