ネットリテラシー教育はなぜ必要?子供の安全なネット利用のために

公開日: 2022/03/30

ネットリテラシーとはインターネット・リテラシーの略で、ICT(情報通信技術)を正しく安全に活用するための知識や能力を指します。インターネットは今や生活に欠かせませんが、利用の仕方によってはトラブルにつながる場合も少なくありません。

今回はネットリテラシーの必要性や、ネットリテラシーを学ぶ方法をご紹介します。

目次
ネットリテラシーとはどのような能力?
ネットリテラシー教育が重要な理由
ネットリテラシーが低いことで起こり得る問題
ネットリテラシー教育はいつから始める?
子供のネットリテラシーを高める方法
親子で納得できる安全なルール作りを

ネットリテラシーとはどのような能力?

インターネットは便利な反面、使い方を間違えれば人間関係のトラブルや犯罪行為に巻き込まれる危険性もはらんでいます。ネットリテラシーを身につけると、こうしたリスクを回避しやすくなります。

ここではネットリテラシーについて、情報モラル、情報セキュリティの2つの視点から具体的に解説します。

情報モラル

情報モラルとは、インターネットを適切に活用するための能力の1つです。自分自身や周囲の人だけではなく、インターネットでつながるあらゆる人の人権、知的財産権などの権利を守るために情報モラルが不可欠と言えます。

インターネット上に発信された情報は、基本的には瞬時に全世界に公開されます。個人情報を含む文章や写真が多くの人の目にさらされてしまう可能性もあり、インターネット上に出した情報は完全には消し去ることができません。そのため、対面のコミュニケーションではあり得ないようなトラブルに見舞われることもあります。

インターネットならではの特性を正しく理解し、トラブルを事前に回避できる能力が情報モラル教育で身につきます。

情報セキュリティ

インターネットを利用する際、情報セキュリティを意識する必要があります。インターネット上には有益な情報が無数にありますが、一方で、クレジットカード情報など大切な個人情報を奪う悪質なサイトやコンピューターウイルスなどもあります。安易に差出人が不明なメールを開いたり、あやしいファイルをダウンロードしたり、悪質なサイトに行かないように
しましょう。

また、中学生や高校生を狙うサイトもあり、個人が特定されて付きまといや性被害に見舞われることもあります。子供が安心してインターネットを利用できるルール作りを保護者が行う必要があります。

ネットリテラシー教育が重要な理由

子供のインターネット利用に関して、「危険な人物と出会うきっかけにならないか」「発言の投稿や写真の公開でトラブルにならないか」「アプリへの課金のし過ぎにはどのように対策すべきか」と不安や悩みを抱える保護者の方は多いでしょう。

インターネットを排除するのは不可能なため、家庭でネットリテラシーを学ぶ機会を設ける必要があります。

9割以上の子供がインターネットを利用

小学校でもタブレット端末が1人1台配布され、小学生も毎日のようにインターネットを利用しています。内閣府が実施した「令和2年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、小学生のインターネット利用率は90.5%でした。中学生は97.4%、高校生は98.9%で、インターネットを使用していない子供の方が稀という状況です。

ほとんどの子供たちが毎日のようにインターネットを使う中、リスクを正しく認識して、ルール作りを行い、安全な使い方を学ぶ必要があります。

年齢が上がるほどルールを設けていない家庭が増加

気軽にインターネットを介してコミュニケーションやゲームなどを楽しめるスマートフォンですが、自分専用のものを使っている人の割合は年齢が上がるごとに高くなります。高校生の場合スマホの所持率は99.1%です。

対して、インターネットの使い方についてルールを設けている家庭は、子供の年齢が上がるにつれ少なくなっています。子供が高校生の家庭でこのルールがあるのは、42.9%と半数以下です。

高校生の学習への悪影響に加え、性被害や付きまといなどのリスクを考えると、ネットリテラシーを確認する必要があるでしょう。

ネットリテラシーが低いことで起こり得る問題

特に子供が高校生だと、小学生のように保護者からの制限はしにくいのが現状です。しかし、ネットリテラシーを意識せずに自由に使用させた場合、人間関係や金銭的なトラブルが生じる可能性があります。

人間関係のトラブル

ソーシャルメディアでのやり取りは顔が見えないからこそ、普段は言わないひどい言葉を発してしまいがちです。お互いに罵り合いになり、時には炎上してしまい、ネットいじめや誹謗中傷で他人を傷つけてしまう可能性もあります。

目の前にいなくても、インターネットに出せば誰かがどこかでそれを読む可能性があることを忘れてはいけません。

金銭的なトラブル

中学生や高校生が課金制ゲームにのめり込んでしまい、いつの間に大金を使ってしまったという事例は数多くあります。子供は、意識してお金を使わないようにしていてもつい夢中になってしまう可能性があります。そのため、保護者は犯罪サイトやアダルトサイトへのアクセスを予防し、アプリのダウンロードを制限できるフィルタリングや、クレジットカード使用の制限を事前に行いましょう。

詐欺メールやサイトへの対処の仕方、悪質なサイトの存在を知らせておく必要もあります。

ネットリテラシー教育はいつから始める?

インターネットを使いはじめるタイミングは、家庭ごとで異なります。そのため、ネットリテラシーを意識する時期は人それぞれ異なるでしょう。ネットリテラシーを理解させるのが難しい年齢の場合は、トラブルを避けるために、保護者が年齢にふさわしい内容かを確認して与える必要があります。

また、スマホを個人使用させる場合は、改めてルール作りを行うと良いでしょう。

ネットリテラシー教育は小学校低学年から

文部科学省では情報モラル啓発リーフレットを作成して、情報モラルの向上に努めています。年齢別に「高校生用」「小学校高学年・中学生用」「小学校低学年用」を用意しています。

小学生にもインターネットの使い過ぎや課金の問題、人間関係のトラブルなど、高校生と変わらずリスクがあるのです。保護者は注意事項を言い含めながら、安全な使い方を教えていく必要があります。

小学校にて入学時点で1人1台モバイル端末が配布されるため、低学年からネットリテラシーを行うと良いでしょう。

スマホを渡すならルールの構築を

高校生のスマホの所持率は99.1%ですから、保護者は子供が高校生になる頃にはスマホを持たせないわけにはいかなくなるでしょう。

スマホは他のデバイスとは異なり、肌身離さず持ち歩くことができます。スマホならではの危険性を踏まえ、SNSによる不特定多数の人とのコミュニケーションの制限や、ゲームアプリの課金の制限など子供を守るためのルール作りを行うと良いでしょう。

子供のネットリテラシーを高める方法

ネットリテラシーの基本は、実際のトラブルの内容を知り、それを避けるためのルール作りを行うことです。大人でも把握していないネット上のトラブルもあるので、国で行っている啓発活動や事例集を利用すると良いでしょう。

啓発活動への参加やリーフレットの共有を行う

総務省では、子供や保護者、教職員を対象とした情報モラル教育、e-ネットキャラバンを行っています。講座では、インターネットの危険性を解説するとともに、親子の対話による家庭でのルール作成を推奨しています。文部科学省でも年齢別の情報モラル啓発リーフレットをインターネット上に公開しています。

その他、ネットリテラシーを学べる本を親子で読んで話し合うなど、正しい知識を得るようにすると良いでしょう。

トラブルの事例を事前に把握しておく

ンターネットトラブルは多様化しているため、いざとなったとき、どのように対処すればよいか分からない事態も起こり得ます。また、深く考えずに感情のままに行動して思いがけず加害者になってしまう場合もあるでしょう。どのようなトラブルがあり得るのか事前に学び、対処の仕方を知っておくことが大切です。

総務省では、「インターネットトラブル事例集」 を公開しています。トラブルの内容だけではなく、その結果や、アドバイスも掲載されています。

親子で納得できる安全なルール作りを

子供が安全にネットを使用するためにネットリテラシーは必要です。親も子供のために幅広く学び、いつ何が起きても問題がないように備えておきましょう。

せっかく家庭でルールを作っても、守っていけないのでは意味がありません。子供に安全な使用方法について説明して対話しながら、一緒にルールを作り、守っていきましょう。

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