重力とは?リンゴが落ちる理由から宇宙のナゾまでを分かりやすく説明

身近な疑問

ワンダー 7

公開日2025.10.13

「ジャンプすれば地面にもどってくる」「投げたボールが、やがて下に落ちる」という当たり前に思えるこれら現象は、すべて「重力(じゅうりょく)」が関係しています。重力は私たちが地球で暮らすために欠かせない大切な力です。 この記事では重力とは何か、発見のきっかけや宇宙との不思議な関係までを分かりやすく解説します。一緒に重力の世界を探っていきましょう。

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重力とは

「重力」という言葉はよく耳にしますが、その正体は何なのでしょうか。

重力の正体は「物体が引き合う力」

「重力」とは、すべての物体(もの)がたがいに引き合う力のことです。「重力」といえば「地球の重力」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。地球の重力は中心に向かって私たち人間や建物、海や空気までも引きつけています。

そのため、ジャンプしても必ず地面にもどってきたり、木からリンゴが落ちたりするのです。重力があるおかげで、私たちは宇宙に飛び出すことなく、しっかりと地面に立って生活できます。

重力と質量の関係

重力の強さは、質量が大きいほど強く、距離が遠いほど弱くなります。たとえば、机とあなたの体にもわずかに引き合う力がありますが、どちらも質量が小さいため、その力はとても弱くて感じません。地球のように質量が大きい天体の重力は強く、私たちはいつもその影響を受けています。

「重さ」と「質量」の違いとは?

よく似た言葉ですが、「重さ」と「質量」は違う意味を持っています。

・質量:物そのものの「中身の量」。宇宙のどこでも変わらない。
・重さ:その場所の重力の強さによって変わる。

たとえば、月では重力が地球の約6分の1なので、重さも6分の1になりますが質量は同じです。体重計は「重さ」を測っています。

(中学生向けメモ:理科では重さ=重力の大きさ(N)、質量=物の量(kg)と区別します。)

重力は誰が発見したの?

今では当たり前になった重力の考え方ですが、昔の人々にとって、物が落ちる理由は大きなナゾでした。この問題に対し、多くの観察や研究をもとにニュートンが一つの法則としてまとめました。

天才科学者「アイザック・ニュートン」

重力の法則をまとめたのは今から300年以上も昔で17世紀に活躍したイギリスの科学者、アイザック・ニュートンです。ニュートンは数学や科学のさまざまな分野で、歴史に残る大きな功績をあげました。

きっかけは「リンゴ」と「月」

有名なのが「木からリンゴが落ちるのを見て、重力をひらめいた」というエピソードです。

この話はニュートン自身が語ったことが元になっていますが、実際にはリンゴが落ちた瞬間にすべての法則を思いついたというわけではありません。

ニュートンは、この日常の出来事をきっかけに思考を深めていきました。
「なぜリンゴは、まっすぐ地面に向かって落ちるのだろう?」
「この力は、いったいどこまで届くのだろう?もしかして、空に浮かぶ月のところまで届いているのではないか?」

彼は、「地上でリンゴを引きよせる力」と「月を地球の周りから離れていかないようにしている力」は同じ種類の力なのではないかと考えました。

宇宙をつなぐ「万有引力の法則」

研究を重ねたニュートンは、ついに一つの法則にたどり着きます。
それが「万有引力(ばんゆういんりょく)の法則」です。

これは「宇宙に存在するすべてのものは、その質量に応じておたがいに引きあっている」という考え方です。そして、その力は「質量が大きいほど強く」「距離が遠くなるほど弱くなる」ことも突き止めました。

この法則によって、惑星や彗星(すいせい)といった天体の動きを正確に計算できるようになったのです。

宇宙の不思議と重力の関係

目を宇宙に向けてみましょう。万有引力の法則が示すように、重力は宇宙のあらゆる場所に存在し、星々の世界をつくっています。

宇宙飛行士が浮かぶのはなぜ?

国際宇宙ステーション(ISS)の映像で、宇宙飛行士がふわふわ浮いていますね。
ISSの高さでも重力は地上の約9割も残っています。では、なぜ浮いて見えるのでしょう?

浮いて見える理由は、ISSも宇宙飛行士も地球に向かって落ち続けているからです。同時に、ものすごい速さで地球の周りを回っているため、地面にぶつからないでずっと「落ち続ける」状態になります。
この状態は「無重力」と言われますが、正しくは「微小重力(びしょうじゅうりょく)」といいます。

究極の重力「ブラックホール」とは?

とてつもなく強い重力をもつ天体がブラックホールです。
大きな星が一生の最後に大爆発(超新星爆発)を起こしたあとに生まれることがあると考えられています。また、星の物質がきわめて小さな領域に押し込められていると考えられていますが、中心がどうなっているかなどは今の物理ではまだよくわかっていません。

ブラックホールの周りには「事象の地平面(じしょうのちへいめん)」という境目があり、この内側では光でさえ外へ出られません。そのため、外から見ると真っ黒な「穴」のように見えるのです。

アインシュタインの新しい見方「時空のゆがみ」

ニュートンの万有引力の法則は多くのことを説明できる法則です。しかし、ブラックホールのように極端に重力が強い場所の現象は、うまく説明しきれない部分がありました。

この難問にまったく新しい視点で答えを示したのが、20世紀に活躍した天才科学者のアルベルト・アインシュタインです。
彼は重力とは「引きあう力」ではなく、「時空(じくう)のゆがみ」そのものであると考えました。これが有名な「一般相対性理論(いっぱんそうたいせいりろん)」です。
イメージとしては、ピンと張った大きなトランポリン(時空)の真ん中に重いボーリングの球(太陽など)を置くとへこみ(ゆがみ)ができます。周りにビー玉(地球など)を置くと、そのへこみに沿って転がり、まっすぐ進めずカーブします。この動きを私たちは重力として感じているというわけです。

もしも地球の重力がなくなったらどうなる?

ここからはあくまで仮想の話ですが、もし地球の重力が突然消えたら、私たちを地面につなぎとめる力がなくなり、人や物、海や空気までも宇宙空間へ飛び出してしまいます。
また、地球は太陽の重力に引かれて公転していますが、その重力がなければ軌道を外れ、宇宙空間をさまよってしまうでしょう。実際に地球の重力が完全に消えることはありませんが、この想像からも、重力がどれほど大切か分かります。

重力とは世界を支える大切な力!

この記事では「重力」という身近でありながら、奥深い力について見てきました。

・重力はすべてのものが引きあう力で、質量が大きいほど強く距離が遠いほど弱い。
・ニュートンは万有引力の法則をまとめ、天体の動きを説明した。
・アインシュタインは重力を時空のゆがみとしてとらえ、より深く説明した。
・宇宙飛行士が浮くのは、地球の周りを回りながら落ち続けているから。
・ブラックホールでは、光も外へ出られないほど重力が強い。

普段は意識しない重力ですが、私たちを地球につなぎとめ、月や地球、そして宇宙全体の秩序を保つなくてはならない力です。

ニュートンがリンゴから宇宙に思いをはせたように、科学の大きな発見は日常のささいな「なぜ?」また「どうして?」から始まります。あなたの身の回りにも、まだ誰も気づいていない「不思議」が隠れているかもしれませんね。

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