寒い冬、真っ白な雪が降り積もると、外で遊びたくなりますね。雪だるま作りや雪合戦も楽しいですが、雪がたくさんあるからこそできる遊びが「かまくら」作りです。 「大きなかまくらを作ってみたい!」「中に入ってみたい!」と思っても、どうやって作るのか、そもそも「かまくら」って何なのか疑問に思うかもしれません。 この記事では、かまくらの歴史や名前の由来、作り方と長持ちさせるコツまでを紹介します。
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かまくらとは?
かまくらは、雪をドーム型に固めて中を掘って部屋のようにした日本の雪国の伝統文化です。元々は水神様を祀(まつ)る行事でしたが、現在は子どもたちの雪遊びや地域の人々が交流する場にもなっています。名前の由来は「神座(かみくら)」説や「竈(かまど)」の形から来たという説があります。
かまくらの歴史
かまくらの始まりは、昔の人が「水神(みずがみ)さま」という神様に、その年のお米がたくさんとれることや家族の健康を願ってお祈りした行事だといわれています。雪で小さな「祠(ほこら)」という神様の家を作り、そこに供え物をしていました。
もともとは、このような信仰のための行事でしたが、時代とともに、子どもたちの遊びや地域の人々が交流する場へと変化していきました。
「かまくら」と呼ばれる由来
なぜ「かまくら」という名前なのでしょうか。これにはいくつかの説があります。
・神様の場所「神座(かみくら)」説
神様をまつる場所という意味の「神座」や「神倉(かみくら)」という言葉が変化したという説です。
・「かまど」に似ている説
昔の台所にあった、火をおこす「竈(かまど)」に入口の形が似ているから、という説もあります。
かまくらのお祭り「横手の雪まつり」
かまくらの伝統を今に伝えるお祭りとして、秋田県横手市で毎年2月に行われる「横手の雪まつり」が有名です。
市内にかまくらが作られ、子どもたちが「入ってたんせ(入ってください)」と迎えてくれます。日が暮れると、かまくらに明かりが灯り、雪景色の中に白く浮かび上がる様子はとても幻想的です。
雪で上手にかまくらを作るには?
雪でかまくらを作るには、まず安全な場所に雪を集めて踏み固め、大きな雪山を作ります。雪が固まるのを待ってから入口を掘り、壁や天井の厚さを十分に残して中を慎重に掘り進めます。長持ちさせるコツは日陰を選び、気温が低い日に作ることです。崩れる危険があるため、必ず大人と一緒に作業をしましょう。
場所の選び方と準備するもの
・場所の選び方
「屋根の下(雪が落ちてくるため)」「道路のそば(車が危ない)」「川の近く」は危険なため、広くて平らな場所を選びましょう。
・道具
スコップ、ソリ(雪を運ぶため)、バケツなどを準備します。
・服装
暖かい服装に着替えましょう。防水の手袋や帽子、長靴も必要です。
かまくらの作り方
大きなかまくらを作るには、たくさんの雪と時間、そして根気が必要です。
1. 雪山を作る
かまくらを作る場所を決めます。そこにスコップで雪を集め、大きな山を作ります。このとき、山に登って足でしっかり踏み固めるのがコツです。
2. 雪を固める
雪山ができても、すぐに掘り始めません。雪がしまって固まるまで、数時間から一晩ほど待つと崩れにくくなります。
3. 入口をほる
雪が固まったら、入口になる場所を決めます。大人の人に確認してもらいながら、スコップで中に向かってほり進めます。
4. 中をほり出す
ここが一番のポイントです。壁や天井の厚さに注意しながら、中の雪を外にかき出します。天井は特に崩れやすいので、70センチメートル程度の厚さを残すようにしましょう。壁も50センチメートルは必要になります。
5. 仕上げ
中の雪をすべて出したら、壁や入口の形をスコップでなめらかに整えて完成です。
かまくらを長持ちさせるコツ
せっかく作ったかまくらをできるだけ長く楽しみたいですよね。ちょっとした工夫で長持ちさせることができます。
・日陰を選ぶ
日が当たりにくい日陰(ひかげ)を選ぶと、かまくらが長持ちします。
・外気温が低い日を選ぶ
暖かい日に作ると、雪が溶けてすぐに崩れてしまいます。気温が0℃以下の寒い日を選ぶのがおすすめです。
・シートをかぶせる
遊ばない時間はビニールシートなどをかぶせておくと、直射日光や雨から守ることができます。
安全に作るための注意点
かまくら作りと、かまくらの中で過ごす時間で、一番大切なのは安全です。
以下の点を必ず守ってください。
・大人と一緒に作る
子どもたちだけで作るのは絶対にやめましょう。危険な場所ではないか、雪の状態は安全かなどを、必ず大人が確認しながら一緒に作業してください。
・道具の扱いに注意する
スコップやソリなどが人にあたらないよう、周りをよく見て使いましょう。
・無理に大きくしない
中を広くしようとして壁や天井を薄くしすぎると、崩れる危険が大きくなります。
・中に入るときは人数に気をつける
完成したかまくらの中に、一度に大勢で入るのは止めましょう。
・火気は使用しない
ろうそくやストーブなどの火気は使わずに、照明はLEDライトを利用しましょう。
完成後の楽しみ方
かまくらが完成したら、楽しみ方はさまざまです。かまくらの中でLEDライトを灯せば、幻想的な雰囲気に包まれます。伝統にならって、お餅やみかんを供えるのも良い体験です。おやつを持ち寄って、秘密基地のようにして過ごすのも楽しいですね。
かまくらについての豆知識
かまくらの中が暖かい理由は、雪に含まれる空気が外の冷気を遮断し、中の熱を逃がさない「断熱効果」を持つためです。かまくら作りには、サラサラした雪より、少し水分を含んで固まりやすい雪が向いています。雪が少ない地域でも、バケツで「ミニかまくら」を作って楽しむ方法があります。
かまくらの中はどうして暖かいの?
外は凍るように寒くても、かまくらの中は意外と暖かいものです。これは、雪に「断熱(だんねつ)効果」があるからです。
雪は、たくさんの雪の結晶と空気でできています。この雪の中の空気が、ダウンジャケットのように、外の冷たい空気をシャットアウトし、中の熱を外に逃がさない「壁」の役割をしてくれるのです。
かまくら作りに向いている雪は?
かまくら作りに向いているのは、少し水分をふくんでいて、手で握ると固まりやすい雪です。スキー場のサラサラした「パウダースノー」は、空気をたくさん含んでいますが固まりにくいため、かまくら作りにはあまり向いていません。
雪が少ない地域でかまくらを作る方法はある?
雪があまり積もらない地域では、「ミニかまくら」がおすすめです。バケツに雪をぎゅっと詰めてひっくり返し、スプーンなどで中をくりぬけば完成です。中に防水LEDライトを入れて並べると、素敵なイルミネーションになりますよ。
海外にも氷や雪で作った家はある?
雪や氷で家を作る文化は、日本だけではありません。たとえば、カナダやグリーンランドの先住民イヌイットの間では、「イグルー」と呼ばれる、雪のブロックをドーム状に積み上げて作る家が、住居や緊急避難用として用いられてきました。
北欧の国スウェーデンには、すべてが氷と雪で作られた「アイスホテル」があり、冬限定で泊まることができる観光スポットとして人気です。氷のベッドで眠る体験ができ、氷のグラスで飲み物が楽しめるカフェやレストランのメニューも用意されています。
冬の思い出に雪でかまくらを作ってみよう!
今回は日本の冬の風物詩、かまくらについて紹介しました。
かまくらは、雪国の厳しい自然の中で、神様への感謝と、冬を楽しむ人々の知恵が生み出した大切な文化です。
雪がたくさん降ったら、ぜひ大人の人と一緒に、安全に十分気をつけてかまくら作りに挑戦してみてください。自分たちで作ったかまくらの中で過ごす時間は、きっと忘れられない冬だけの特別な思い出になるはずです。
雪とかまくらに関するQ&A
Q. かまくらって何のために作るの?
A. かまくらは、もともと水神様という神様に、お米がたくさんとれることや家族の健康を願うための行事として始まりました。雪で神様の家(祠)を作り、お供え物をしていたのです。時代とともに、子どもたちの雪遊びや地域の人々が交流する場としても楽しまれるようになりました。
Q. かまくらを作る時に一番気をつけることは?
A. かまくら作りで一番大切なのは安全です。雪は非常に重いため、崩れると大きな事故につながる危険があります。必ず大人の人と一緒に作り、屋根の下など危険な場所を避け、壁や天井を薄くしすぎないよう注意しましょう。
Q. かまくらの中って寒くないの?
A. 外は寒くても、かまくらの中は意外と暖かいです。これは、雪がたくさんの空気を含んでおり、その空気がダウンジャケットのように「断熱材」の役割を果たすためです。雪の壁が外の冷たい空気を遮断し、中の熱を外に逃がしにくくしてくれます。



































