炭酸水にラムネを入れると何が起こる?実験の手順と注意点
公開日: 2019/06/26
子供でも大人でも、サイダーやコーラなどの炭酸飲料が大好き!という人は少なくないと思います。最近では、甘く味付けされた炭酸飲料だけではなく、無糖の炭酸水やフレーバー付き、強炭酸水など、種類も増えてきています。それだけ私たちの日常で飲まれることが多くなった炭酸水ですが、この炭酸水を使って立派な科学実験を行うことができます。ご家庭にある炭酸飲料と材料を使って簡単に実験をすることができる上に、遊びのような感覚で実験をすることができるので、楽しみながら取り組むことができます。夏休みの自由研究テーマに、ぜひ検討してみてください。
- 目次
- 炭酸水にラムネを入れるとどうなる?
- 炭酸水にラムネを入れる実験に必要な道具と手順
- 炭酸水にラムネを入れる実験を子供と一緒に行うときの注意点
- 炭酸水にラムネを入れる実験の参考動画
- 【応用編】炭酸水×〇〇の実験アイデア
- ラムネ以外にもいろいろなものを炭酸水に入れて科学実験をしてみよう!
炭酸水にラムネを入れるとどうなる?
炭酸水にラムネを入れるとどうなる?
炭酸水にラムネを入れると、「シュワ~」っと泡が吹き出してきてあふれ出します。炭酸飲料を振ってから蓋を開けると吹き出してしまいますよね、あれと同じような状態です。
この反応を利用したパーティメニューもあります。お好みのフルーツを入れた容器の真ん中に炭酸飲料のペットボトルをたてて置き、炭酸飲料にラムネを入れて噴水のように吹き出させ、フルーツポンチを作るのです。初めて見た人にはインパクトのある光景なので、大人でも子供でも盛り上がるそうです。
そもそも炭酸水とは何か
炭酸水には、もとから炭酸が含まれている天然炭酸水や人工的に二酸化酸素を水に溶かして作った人工炭酸水があります。サイダーやコーラは、人工炭酸水と甘味料などを混ぜて作ったものです。人工炭酸水は、どうやって作られているかというと、水に圧力をかけて二酸化炭素を溶かし込んでいるのです。
炭酸水の作り方をイメージしやすいように説明すると、まず密閉容器に水と二酸化炭素を入れます。そのままの状態でも二酸化炭素は水に溶けていきますが、炭酸水にするにはもっと溶け込んでもらわないといけません。そこで、どんどん圧力を加えていきます。すると、行き場を失くした二酸化炭素が水の中に溶け込んでいくのです。こうして炭酸水が作られています。
ちなみに、どれくらいの量の二酸化炭素が水に溶けるのかというと、気温20℃で二酸化炭素の圧力が1気圧の場合、水1Lに対して二酸化炭素は0.87Lも溶けるのだそうです。
水の中に無理やり溶かされてしまった二酸化炭素は、いわばぎゅうぎゅう状態。いつでも解放されたくて仕方がありません。そのため、何かのきっかけがあれば水から逃げ出して泡となり、出ていこうとするのです。ペットボトル入りの炭酸飲料を振ったりしていないのに、そっと蓋を開けても「プシュッ」といいますが、あれは蓋を開けたことでペットボトル内の圧力が下がり、二酸化炭素が逃げ出しているのです。
・ラムネを入れると炭酸水が噴き出す理由
では、ラムネを入れると炭酸水が噴き出すのはなぜでしょうか?その理由は主に二つあります。
まず一つ目は、ラムネが炭酸水に入るときの衝撃です。蓋をしたままの炭酸水を振ると、ペットボトルの中で泡が立ちます。この現象と同じで、ラムネが炭酸水に入った衝撃をきっかけに二酸化炭素が逃げ出すのです。
二つ目は、ラムネの成分が炭酸水と反応したからです。ラムネの主成分は重曹ですが、重曹のことを理科らしく科学名でいうと、「炭酸水素ナトリウム」といいます。炭酸水素ナトリウムは、熱を加えたり、酸性物質と反応したりすることによって分解され、二酸化炭素を発生させます。一般的に炭酸水は弱酸性なので(風味付けのためになどで添加される成分によっては酸性度が変わります)、炭酸水にラムネを入れた場合、重曹の成分が反応して二酸化炭素をさらに発生させるというわけなのです。
こうした重曹が二酸化炭素を発生させる力は、ケーキやパンをふっくらと膨らませるのにも利用されています。ケーキのスポンジに入っているベーキングパウダーには、重曹が入っているのですよ。
炭酸水にラムネを入れる実験に必要な道具と手順
・必要な道具
炭酸飲料水(1.5L)
ラムネ菓子
プラスチック容器
・実験の手順
1.炭酸飲料水を室温に戻しておく
2.炭酸飲料水をプラスチック容器の中にそっと置く
3.ラムネ菓子を用意する
4.炭酸飲料水の蓋をそっと開けラムネ菓子を入れる
炭酸水にラムネを入れる実験を子供と一緒に行うときの注意点
・かならず大人がいるときに実験をするようにしましょう
・汚れても良い場所で実験しましょう
・炭酸水の蓋を開けるときは人に向けて開けないようにしましょう
・実験をする前に手順をきちんと確認して準備をしておきましょう
・正しい手順で行うようにしましょう
・炭酸水や食品が無駄にならないように実験しましょう
・実験が終わったらきちんと後片付けをしましょう
炭酸水にラムネを入れる実験の参考動画
・科学マジック!炭酸水にラムネを入れると!?
https://thewonder.it/bukatsu/event2017/class/895
【応用編】炭酸水×〇〇の実験アイデア
・実験その1:炭酸水×食塩
結果:泡がたくさん出る
炭酸水に溶け込んでいる二酸化炭素は刺激を与えただけでも逃げ出します。塩を加えることによって炭酸水に刺激を与えたことになり、二酸化炭素が気化して逃げ出してしまうのです。
・実験その2:炭酸水×砂糖
結果:泡がたくさん出る
(実験その1)の炭酸水×食塩と同じ理由で、砂糖を入れても炭酸水への刺激となり二酸化炭素が逃げ出します。
・実験その3:炭酸水×塩水
結果:少し時間がたってから泡が出る
(実験その1)では、炭酸水に食塩を入れると、すぐにたくさんの泡が出ましたが、食塩水の場合には泡が出るまでに少し時間がかかります。炭酸水と食塩水はどちらも液体ですが、成分が違うためにすぐには混ざりあわずに境目ができます。その境目では炭酸水は塩水の刺激によって動き、かき混ぜたような状態になっているのですが、目で見える程度に泡が出てくるまでには少し時間がかかります。これは、砂糖水でやっても同様の結果になります。
・実験その4:炭酸水×氷
結果:泡がたくさん出る
氷の表面には目に見えない大きさのでこぼこがあり、それが炭酸水の刺激となって泡が出ます。また二酸化炭素が逃げ出す刺激には、温度差もあります。例えば室温に戻しておいた炭酸水に氷を入れると、温度差が刺激となって泡が出ます。反対に、温かいものを入れても同じ反応が起きます。夏場の暑いときに、ペットボトル入りの炭酸飲料を放置しておくと、破裂してしまうことがあります。これは、熱による刺激によって二酸化炭素が逃げ出す力が強くなったためなのです。
・実験その5:炭酸水×重曹
結果:泡がたくさん出る
炭酸水にラムネを入れたときに泡がたくさん出たのと同じ理由で、重曹が炭酸水と反応して二酸化炭素をさらに発生させるため、たくさんの泡が出ます。
・実験その6:炭酸水×メントス
結果:泡がたくさん出る
ラムネを入れたときと似たような結果ですが、その理由は少しだけ違います。まず、メントスが炭酸水に入るときに刺激となって泡が出ます。ここまではラムネのときと同じです。次に、メントスが炭酸水に溶け出していくと、今度はその成分のために泡がどんどんできやすくなります。メントスに含まれる成分にはゼラチンなどがあり、これらは炭酸水に溶け出すと「界面活性剤」の役割をします。界面活性剤には、水の分子同士が引き合う力である「表面張力」を弱める働きがあります。表面張力が強いときには、二酸化炭素が泡になるのを押さえていたことができたのですが、弱くなってくると泡を押さえきれずになってどんどん泡になってしまうのです。
・実験その7:炭酸水×石鹸
結果:泡がたくさん出る
石鹸は、界面活性剤の役割を果たします。そのため、炭酸水に入れると(実験その6)と同じように、泡がたくさん出るのです。
ラムネ以外にもいろいろなものを炭酸水に入れて科学実験をしてみよう!
炭酸水にラムネなど、いろいろなものを入れて二酸化炭素が泡になる実験をご紹介してきました。炭酸水に含まれる二酸化炭素が泡になるきっかけはさまざまです。ご家庭にあるいろいろなものを混ぜて泡が出るのか、泡が出るまでにどれくらいの時間がかかったか、どれくらいの勢いで泡が出たかなどを観察してみましょう。
<参考>
内田洋行教育総合研究所『泡のひみつ』
https://www.manabinoba.com/shokuiku/17500.html
公益社団法人日本化学会近畿支部
http://kinki.chemistry.or.jp/pre/a-69.html
http://kinki.chemistry.or.jp/pre/esa-34.html
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