プラスチックの作り方│家庭でプラスチック作りに挑戦してみよう!
公開日: 2022/11/30
私たちの生活に欠かすことのできないプラスチック。みなさんは、プラスチックにどのような特徴があり、どうやって作られるかを詳しく知っているでしょうか。 今回の記事では、プラスチックの特徴や種類、プラスチックの作り方や自分でも作れる実験の方法についてわかりやすく紹介します。
- 目次
- プラスチックの特徴
- プラスチックの原料
- プラスチックの種類
- 天然資源を使ったプラスチックの作り方
- リサイクル原料を使ったプラスチックの作り方
- 【自由研究】プラスチックを手作りしてみよう
- 牛乳を使ってカゼインプラスチックを作ってみよう
- プラスチックは奥が深い素材
プラスチックの特徴
プラスチックは人工的に作られ、わたしたちの生活のあらゆるところで使われている素材です。「合成樹脂」または「樹脂」と呼ばれることもあります。「樹脂」は本来「天然樹脂」を指していましたが、現在は人工的に作り出す合成樹脂が主流になったことから、ほとんどの場合、「樹脂」は「合成樹脂」を指します。なお、「天然樹脂」とは、植物の樹皮から分泌された樹液が固体となってできた成分のことで、松脂(まつやに)などが代表的です。
一般的に、プラスチックには以下のような特徴があります。
・金属やガラス、陶器と比べると軽い
・加工しやすい
・安く大量に生産できる
・金属と比べると水や薬品に強い
・腐食(ふしょく)しにくい
これらの特徴から、さまざまな形に加工されたプラスチック製品が身の回りで使われています。青果や肉、魚、たまごを包装するトレイのほか、袋やラップ、ネットやチューブなどもプラスチック製品です。また、医療機器や工業製品にプラスチックが使われることもあります。
一方、プラスチックには以下のようなデメリット(弱点)もあります。
・熱に弱く、燃えやすい
・金属と比べて割れやすい
・紫外線に弱く、屋外では劣化しやすい
耐熱性や難燃性を備えるなど、これらのデメリットを克服したプラスチックもありますが、一般的なプラスチックには弱点があります。
プラスチックの原料
はじめに、プラスチックの原料について説明します。プラスチックを作るための原料は大きく2種類あります。
1つ目は「天然資源」です。具体的には石油製品から作り出すことができます。原油を石油精製プラントで蒸留・分離して得られる石油製品の「ナフサ」が原料となります。石油の埋蔵量には限りがあることから、無駄なく利用すべき貴重なエネルギー資源だといえます。
2つ目は「リサイクル原料」です。ペットボトルやポリ袋といった使用済みのプラスチック製品を集めた廃プラスチックが原料となります。石油の採掘量には限界があり、他の用途でも幅広く用いられるため、原料すべてを石油に頼るわけにはいきません。そのため、使わなくなったプラスチック製品を原料にしているわけです。ごみを出すときにプラスチック製品を他のごみと分別することがしばしばありますが、それはプラスチックをリサイクルして新たなプラスチック製品を作ることが目的でもあります。
プラスチックの種類
プラスチックにはたくさんの種類がありますが、たとえば「ポリエチレン」や「ポリプロピレン」など、「ポリ」という言葉が頭についているものが多いことが特徴です。「ポリ」はギリシャ語で「たくさんの」という意味があります。ポリ袋の材料になる「ポリエチレン」は、「エチレン」という分子が数千個もつながってできていることからこのように名づけられました。また、ペットボトルのペット(PET)は、「(Poly Ethylene Terephthalate)の頭文字をとってできた言葉です。
プラスチックには以下のような種類があります。種類によって性質が異なるため、用途もそれぞれ異なります。
天然資源を使ったプラスチックの作り方
天然資源でプラスチックを作るには、原油を石油精製プラントで蒸留・分離して得られた「ナフサ」を使います。ナフサにさらに熱を加えると、「エチレン」と「プロピレン」という気体、そして「ベンゼン」という液体などができます。これらは水素と炭素が結びついてできた分子であり、この分子をたくさんつなぎあわせることでプラスチックの原料ができます。
さらに、これらのプラスチック原料をやわらかくしたり、添加剤によって着色したり、こわれにくくしたりと手を加えて、プラスチックの小さな粒である「ペレット」が完成します。このペレットを材料として成形することで、みなさんがふだん目にするさまざまなプラスチック製品となるのです。
リサイクル原料を使ったプラスチックの作り方
プラスチックのリサイクル方法は3つあります。
・マテリアルリサイクル
マテリアルリサイクルとは、廃プラスチックを原材料にして、もう一度プラスチック製品として利用することです。分別してごみに出したプラスチックはまとめて一ヶ所に集められ、粉々に砕いて混ぜ、溶かして再度成型することで、新たなプラスチック製品に生まれ変わります。この過程で異物が混じっていると廃プラスチックを再利用できないため、ごみに出すときにはきれいな状態にしておくことを心がけましょう。
・ケミカルリサイクル
ケミカルリサイクルとは、廃プラスチックに化学的な処理をほどこして、分解してから再利用することです。ケミカルリサイクルではすべての廃プラスチックが再度プラスチック製品になるわけではありません。元の素材に戻してからふたたびプラスチック製品になるほか、石油などの燃料にしたり、水素やアンモニアなどの化学原料にしたりと、使いみちはさまざまです。
・サーマルリサイクル
サーマルリサイクルとは、廃プラスチックを油やガスのような固形燃料にしたり、廃プラスチックを焼却したときに生じた熱を発電などにリサイクルしたりすることです。プラスチックは燃やしたときの発熱量が高いことから、ごみ発電のような新しい用途にも注目が集まっており、今後の活用が大いに期待できるリサイクル方法だといえるでしょう。
【自由研究】プラスチックを手作りしてみよう
プラスチックは家庭で手作りすることができます。実は、石油や廃プラスチック以外の原料でもプラスチックを作ることができるのです。身近で手に入りやすいもので作れるので、ぜひ実験してみましょう。夏休みの自由研究にもおすすめです。
牛乳を使ってカゼインプラスチックを作ってみよう
次の手順に沿って、カゼインプラスチックを作ってみましょう。
《必要なもの》
・牛乳200ミリリットル
・お酢(一滴ずつ入れられるボトルがあると実験しやすくなります)
・お菓子の金型(クッキーなどを作るときに使うものです)
・ガーゼ(目の細かいもの)
・スプーン
・鍋
・電子レンジ
・耐熱皿
・耐熱容器2個(牛乳が入る大きさ)
・ボウル1個(コップでも代用できます)
・キッチンペーパー
《作り方》
1.牛乳を鍋に入れて火にかけ、沸とうさせます。沸とうした牛乳は耐熱容器に入れて、お酢を一滴ずつ入れながらスプーンでかきまぜます。牛乳が白いチーズのような固体と透明な液体にわかれます。この白いチーズのような個体は、たんぱく質のかたまりである「カゼイン」です。このカゼインがプラスチックの原料となります。
2.もう一つの耐熱容器にガーゼをしきつめて、1を注ぎ入れます。カゼインをガーゼにつつんで取り出し、ボウルやコップなどに入れた水の中ですすいでください。水は4回ほど取りかえましょう。
3.ガーゼを広げてカゼインをスプーンですくい、キッチンペーパーでつつんで水気を切ったら、お菓子の型に入れて形をととのえます。ゆっくりと注意しながら型をはずします。
4.カゼインがくずれないように耐熱皿に並べたら、電子レンジに入れて500Wで1分ずつ7回、合計7分加熱します。3回目~4回目で少しずつかたくなることを確認しましょう。7回加熱し、水が抜けて完全にかたまったら完成です。
《注意点》
カゼインを洗う際は、水を4回ほど取りかえるようにしてください。カゼインを加熱する前はとてもくずれやすいため、型をはずすときには注意しましょう。また、水気はキッチンペーパーを使ってしっかりと取ると実験が成功しやすくなります。
《応用例》
カゼインプラスチックは生分解性プラスチックとも呼ばれますが、生分解性プラスチックは牛乳だけでなく豆乳から作ることもできます。同じ分量と手順で作れますので、牛乳から作ったプラスチックとどのような違いがあるのかを調べてみると面白いでしょう。
プラスチックは奥が深い素材
ふだんはプラスチック製品をひとまとめにしてプラスチックと呼んでいる人がほとんどなのではないでしょうか。プラスチックと一言で言っても、実際にはさまざまな種類が存在するほか、特徴や作り方もさまざまです。
いつもは何気なく捨ててしまっているプラスチックが、再利用されて新たなプラスチック製品や燃料などに生まれ変わる仕組みを知っておくと、これからはより興味関心を持つこともできます。わたしたちの生活と切っても切り離せないプラスチック。この記事をきっかけに、より学習を深めていってくださいね。
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