プロレスは、観客に見せることを前提とした、格闘技でもあり、エンターテイメントショーでもあります。ほかの多くのスポーツのように厳格なルールはなく、プロレス団体によって違いがあることが特徴です。 そのため、「ルールがよくわからない」「ルールはあってないようなもの」と思っている方もいるのではないでしょうか。しかし、ベースとなる共通ルールさえ覚えれば、プロレス観戦は十分に楽しめます。 この記事ではプロレスの基本ルールや試合形式、勝敗の決め方などを解説します。ぜひ参考にしてください。
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プロレスの基本ルールは?
まずはリングの大きさや階級、試合時間についてご説明します。
・リング
選手(レスラー)たちは、3本のロープで囲まれた、6メートル四方ほどのリングの中で戦います。厳密なリングの大きさや高さ、マットの固さ、ロープの張りの強さなどは、各団体によって異なります。
・階級
日本では主にヘビー級(無差別級)とジュニアヘビー級の2階級に分かれています。リングと同様にこちらも各団体によって違いがあり、体重の区分や呼び方は統一されていません。
しかしヘビー級はどの団体でもおおむね体重100キログラム以上となっています。女子プロレスの場合は、体重制限のない無差別級が多く採用されています。体重の線引きをする場合は60キログラム前後が多いようです。
・試合時間
試合時間も厳密には決められていませんが、一本勝負がほとんどです。15分、20分、30分、45分、60分、時間無制限の一本勝負があります。団体や大会によっては60分、時間無制限の3本勝負などのラウンド制も採用されています。
実際にプロレスの会場に足を運んだときは、観戦時間はだいたい2~3時間程です。試合時間や試合の数によっては4~5時間かかる場合もあります。
プロレスの試合形式についてのルール
1対1の試合もあれば、2対2や一度に複数人の選手が戦う試合までさまざまで、次の6つの試合形式があります。
・シングルマッチ
・タッグマッチ
・ハンディキャップマッチ
・デスマッチ
・トリプルスレッドマッチ
・バトルロイヤル
それぞれの形式について詳しく紹介します。
・シングルマッチ
2人の選手が1対1で戦います。最も一般的な試合形式です。
・タッグマッチ
2人以上の選手がチームを組んで、相手チームと戦います。リング内で戦える選手はそれぞれ1人ずつで、その他の選手は自陣で待機しています。手と手でタッチをすると戦う権利を交換できます。
・ハンディキャップマッチ
1対2や、2対3など、人数に差をつけて戦う形式です。対戦相手と力の差があるときに用いることで、試合を盛り上げる効果があります。
・デスマッチ
一般的なルールを変更して、より危険にした試合形式です。有刺鉄線や五寸釘などをリングに取り付け、リングの外に逃げられなくしたり、蛍光灯などの凶器を用いたりするものまであります。各プロレス団体によって独創性溢れるデスマッチが開催されています。
・トリプルスレッドマッチ
3WAYマッチ、3WAYダンスとも呼ばれる試合形式で、3人の個人、またはタッグチームが同時に戦います。誰か1名が勝利した時点で、その選手またはチームの勝利が決まります。
・バトルロイヤル
3名以上の個人またはチームが同時に戦い、最後まで残った1名、またはチームが勝利となります。試合開始時に全員リング上にいるものと、時間差で入場するものとがあります。
プロレスの勝敗はどうやって決めるの?
プロレスの勝敗の決め方には、次の8つのパターンがあります。
フォール(ピンフォール)
ノックアウト
TKO(テクニカルノックアウト)
リングアウト
ギブアップ
タップアウト
レフェリーストップ
反則
それぞれの勝敗が決まる基準をご紹介します。
・フォール(ピンフォール)
相手選手の両肩をマットに押し付けた状態で、レフェリーが3カウントを数えると勝ちが決まります。
・ノックアウト
ダウンしてレフェリーが10カウントをしている間に立ち上がれないと、ノックアウト負けになります。カウントのスピードはレフェリーによって異なるため、注意が必要です。
・TKO(テクニカルノックアウト)
セコンド(選手に作戦を与えたり傷の手当てを行ったりする、付き添い役)からタオルが投げ込まれて棄権の意志が表明されたときはTKO負けとなります。
・リングアウト
外に投げ出されたときや、場外乱闘のときなど、選手がリング外に出たらレフェリーがカウントを始めます。決められたカウント内(10カウントや20カウントが一般的)にリングに戻ってこなかった場合は負けとなります。
・ギブアップ、タップアウト
自ら降参の意思表示をすることです。敗北の意志を口頭で伝えることをギブアップ、相手の体もしくはマットを叩くジェスチャーで伝えることはタップアウトと呼びます。
・レフェリーストップ
関節技を受けている選手がこれ以上技を受け続けると危険だとレフェリーが判断したときに、レフェリーが試合を止め、強制的に試合を終わらせることです。選手が失神をして試合続行不可能になったときもこれにあたります。
絞め技のときには、レフェリーが絞められている選手の腕を上げてから離します。その腕が3回落ちたらレフェリーストップの負けとなるのが一般的です。
・反則
レフェリーに暴行したり、凶器を使用したりすると(使用が認められているデスマッチは除く)、反則負けになります。
・引き分け
両者が同時にリングアウトやノックアウトになった場合や、時間切れなどの場合は、引き分けとなります。
プロレスの反則についてのルール
プロレスのルールはとても自由ですが、それでも禁止行為は存在します。どのようなものがあるかご紹介します。
・5秒以上の反則
反則技を5秒以上行うと反則となります。プロレスでは、いくつかの反則行為が決められているものの、5秒以内であれば反則を取られないことがほとんどです。そのため、5秒が反則になるか否かの分かれ目です。
レフェリーが気付いていなければ、5秒以上犯してもOKという暗黙の了解があるため、選手たちはレフェリーの目を上手く欺きながら戦っています。
・急所に対する攻撃
目や喉などの急所への攻撃を行うと反則になります。実際の試合では目潰し攻撃なども見られます。ルール上は反則であるため、ヒールレスラー(悪役)が多く用いる戦法です。多くの格闘技で禁止されている後頭部への攻撃は、プロレスでは認められています。
・凶器の使用
チェーンやパイプ椅子、ゴングなどの凶器を使った攻撃も反則です。しかし、レフェリーに見つからなければOKという暗黙のルールの元、パイプ椅子を使った攻撃は日常的に行われています。
・ロープブレイクに従わない
相手選手がリングロープを掴んだときはロープブレイクとなるため、技をかけている選手は技を解かないといけません。しかしそれを行わないと反則となります。
・選手以外の乱入
試合中の選手以外がリングに入ると反則になります。タッグマッチの戦う権利がない選手や、マネージャーなどが乱入することもあるため、観客も気を抜けません。
ルールの違いは、各プロレス団体の個性や魅力!
プロレスのルールについて解説しました。ルール自体はそれほど難しくありませんし、エンタメ性が高いため、初心者でも楽しく観戦できるのがプロレスの魅力です。
また、各団体によって細かいルールに違いがあるため、それぞれのカラーや個性などが出やすくなっています。その工夫を凝らした「魅せるプロレス」に、虜になるファンが少なくありません。
中には、ブックと呼ばれる台本が定められた試合もあるため、「プロレスはやらせだ」と思う方もいるかもしれません。
しかし選手たちは常に命を張って戦っていますし、レスラー同士がぶつかり合う音は本物です。土日、平日問わずさまざまな場所で試合が開催されているので、ぜひ間近でその迫力を感じてみてください。