お正月にお餅を食べるのはなぜ?日本以外の国でもお餅を食べるの?
公開日: 2023/10/04
お正月には、おせち料理とともにお餅を食べる家庭が多いのではないでしょうか?三が日ずっとお餅を食べているなかで、「なぜお正月はお餅を食べるのだろう」と疑問を持ったことのある人もいるかもしれません。 そこで、お餅をお正月に食べたり飾ったりする理由や、日本以外にもお餅を食べる国があるのかどうかについて解説します。
- 目次
- お正月にお餅を食べるのはなぜ?年末にお餅つきをする理由
- お餅なのに「鏡」?鏡餅には沢山の意味がある!
- お正月のお餅に関する豆知識
- 日本だけじゃない?世界でお正月にお餅を食べる地域
- 縁起のいいお餅は、お正月に欠かせない食べ物!
お正月にお餅を食べるのはなぜ?年末にお餅つきをする理由
日本では、お正月にお餅を食べる習慣があります。現在ではお正月用のお餅をスーパーなどで購入する家庭が多いかもしれませんが、かつて日本では年末に家族や近所の人たちとお餅つきするのが一般的でした。お餅つきをしたりお正月にお餅を食べたりする理由を解説します。
・お餅つきには子孫繁栄の意味がある?お祝い事に欠かせないイベントだった?
年末にさまざまなところで行われるお餅つきの行事。お餅つきには「子孫繁栄」の意味合いがあるといわれています。このため、かつては年末だけでなく結婚式や新築祝いでもお餅つきをやりました。お餅つきは数人で協力しなければできません。参加者全員の連帯感を高めたり喜びを分かち合ったりできるイベントともいえます。
・お祝いといえばもち米だった!お正月にお餅を食べるわけ
お正月にお餅を食べる習慣は、平安時代に始まった「歯固めの儀式」が由来と考えられています。歯固めの儀式とは、お正月に長寿を願って、お餅や大根、昆布などといった固いものを食べるのです。固いものを食べることで、歯が丈夫になって健康に過ごせると考えられています。お正月に食べるお雑煮にお餅や大根が入っていることが多いのは、歯固めの意味合いもあるからでしょう。お餅はもち米から作られます。日本では昔からお米は神聖な食べ物として大事にされてきました。このため、お米から作られるお餅やお酒は神様に捧げるお供え物として重宝されてきた習慣があります。昔から日本では新年に「年神様」が各家庭にやってくると考えられてきました。年神様のお供え物としてお餅が適していたのです。また、縁起がいいお餅はお祝い事のときに食べる「ハレの日」の食べ物です。新しい年に幸せが舞い込むように、お餅を食べる習慣が根付いたのでしょう。
お餅なのに「鏡」?鏡餅には沢山の意味がある!
お正月に飾る鏡餅。お餅なのになぜ「鏡」という言葉が付いているのだろうと、疑問を持ったことがある人もいるでしょう。そこで、鏡餅の名前の由来や飾り方の意味、鏡餅にまつわる風習についてご紹介します。
・どうして鏡餅っていうの?
鏡餅は大きなお餅を2つ重ねた、雪だるまのような形をしています。鏡には似ていませんが、なぜ鏡餅なのでしょうか?鏡餅は、お正月にやってくる年神様へのお供え物であり、年神様が宿る場所とされています。鏡餅の鏡とは、弥生時代などに使われた丸い形をした鏡です。三種の神器の1つで、古くから鏡には神様が宿ると考えられてきました。鏡餅は古い鏡に似せて、丸い形になっています。
・お餅にみかんを乗せるのはなぜ?鏡餅の飾りは縁起のいいものばっかり!
鏡餅を飾るとき、お餅の上にみかんを乗せます。実はお餅の上に乗っているのは、みかんではなく橙(だいだい)という柑橘です。橙を鏡餅の上に飾るのは、「代々家が続くように」と願いが込められています。他にも、鏡餅の飾りには、それぞれ縁起を担ぐ意味があります。 干し柿:串に刺した干し柿は三種の神器の1つである「剣」を模している。「嘉来」の字を当てて、「幸せが訪れる」縁起物だといういわれも。 譲り葉:新しい葉が出てから古い葉が落ちる植物なので、家系が途絶えず続く意味合いがある。 昆布:「よろこぶ」との語呂合わせで縁起を担いでいる。昆布は昔「広布(ひろめ)」と呼ばれていて、喜びが広がっていく縁起物とされている。 裏白:表が緑色、裏が白色のシダ植物。裏面が白いことから、隠し事をしない潔白な心の象徴とされている。夫婦仲睦まじく過ごせるという意味合いがある。 紙垂:しめ縄などに付けられる白い紙のこと。独特な形は、神様が降臨したときの雷を表現している。
・鏡餅を切ったら縁起が悪い?鏡餅に伝わる風習
お正月が終わったあと、松の内が明けた1月11日が鏡開きの日です。地域によっては、1月15日もしくは20日に行われる場合もあります。鏡開きは、年末年始に飾っていた鏡餅をおしるこや焼き餅にして家族でいただく行事です。鏡餅は大きいので、食べるときは木槌などを使って細かくします。包丁などの刃物は、武士の時代の切腹(せっぷく)を連想させるので禁物です。鏡餅を細かくすることも「開く」といい、縁起の悪い「割る」という言葉を使いません。
お正月のお餅に関する豆知識
お正月のお餅には、他にもタブーやマナーがあります。知っていると自慢できる豆知識をご紹介します。
・鏡餅を飾るのに避けたほうがいい日がある
鏡餅は大掃除が終わってきれいになった部屋に飾ります。このため、多くの家庭では12月の下旬に鏡餅を飾るようです。しかし、鏡餅を飾るのにふさわしくないと考えられている日があります。それは、12月29日と31日です。29日は「苦餅」や「二重苦」に通じるので、縁起が悪い日と考えられています。31日は「一夜飾り」といって、葬儀の準備を連想させるため避けるようになりました。反対に、鏡餅を飾るのにおすすめの日は12月28日です。漢数字の「八」は、末広がりで縁起がいいと考えられているからです。
・お正月用のお餅は地域によって形が違う
お正月に食べるお餅の形は、地域によって異なります。東日本では、お餅を四角く切った角餅が主流です。西日本の多くの地域では、丸餅を食べます。角餅地域と丸餅地域を分けているのは、岐阜県の関ヶ原周辺だといわれています。もともと日本で食べられていたお餅は丸い形をしていましたが、江戸時代頃についたお餅を平たく伸ばして切り分ける方法が誕生しました。角餅は運びやすいため、江戸から周辺に広まっていったと考えられています。
・お雑煮に使うお餅は焼き餅?それとも煮た餅?
お正月に食べるお餅料理といえば、代表的なのはお雑煮です。使うお餅の形だけでなく、調理の方法も地域によって異なります。例外もありますが、東日本では焼いたお餅でお雑煮を作るのが一般的です。関東では焼いた切り餅をお雑煮に使います。一方、西日本では、別の鍋で煮たお餅を入れてお雑煮を作ります。
日本だけじゃない?世界でお正月にお餅を食べる地域
お餅は日本独自の食べ物だと思うかもしれませんが、実は世界にはお正月にお餅を食べる国が他にもあります。日本のお餅とは少し違う食べ方をする国もあるので、ご紹介しましょう。
・中国(ミャオ族)
中国の山岳地域に住む少数民族・ミャオ族は、旧正月に家族でお餅つきをする習慣があります。日本のお餅つきのように臼と杵を使いますが、臼は船のような箱状です。もともとは年末にお餅つきをするのが一般的でした。しかし、最近では家族みんなでお餅つきができるように、故郷に帰ってくる家族を待って、旧正月当日にお餅つきをする家庭が増えています。賑やかにお餅つきをしたあと、みんなで熱々のお餅を食べるのが習慣になっているそうです。
・韓国
韓国ではお餅の種類が多く、普段からおやつやおかずとして食べられています。お正月には日本のお雑煮のように、韓国のお餅「トック」を入れたスープを食べるのが一般的です。トックは日本のお餅と違い、煮込んでも溶けたり伸びたりしません。また、トックの代わりに、韓国式の餃子「マンドゥ」がスープに入ることもあります。
・ラオス(モン族)
ラオスでは普段から主食として「カオニャオ」という蒸したもち米を食べるのが一般的です。ラオス北部のルアンパバーンに住むモン族は、お正月に「バインザイ」と呼ばれるお餅を作ります。バインザイはお正月の定番料理で、醤油や卵を入れて焼き上げるお餅です。亡くなった人に捧げるお供え物の意味もあります。
・タイ北部
タイ北部に住む少数民族・リス族やラフ族も旧正月についたお餅をお供えします。お餅をつくといっても、日本のように滑らかになるまでつきません。米粒が少し残る程度になったお餅を丸めて、潰したゴマをまぶします。各家庭でついたお餅と一緒に、たばこやお茶の葉、ポップコーン、ローソクなどを村の祠(ほこら)にお供えします。
縁起のいいお餅は、お正月に欠かせない食べ物!
日本では、お正月に鏡餅を飾り、お餅の入ったお雑煮を食べる習慣があります。お正月に欠かせない理由は、お餅が縁起のいい食べ物だからです。神聖な稲から作られたお餅は神様のお供え物にもふさわしく、三種の神器と同じ鏡に似せた鏡餅は、年神様が宿る場所と考えられています。お餅は日本だけではなく海外でもお正月に食べられています。いつもお餅の食べ方が同じで、飽きてしまった人は、日本の他の地域のお雑煮や海外のお餅などレシピもあるので作ってみて、旅行気分を味わってみてください。