足が痺れる理由はなに?原因と痺れないようにする方法
公開日: 2023/11/02
正座のような窮屈な姿勢を長時間続けた後、急に立ち上がろうとすると足が痺れてうまく動かせないことがありますよね。多くの場合、時間が経つと手足の痺れは自然に改善します。しかし、治りにくい痺れの背景には体からの危険なSOSが隠れていることもあるので注意が必要です。この記事では、足が痺れるメカニズムを分かりやすく解説しながら、足が痺れてしまわないようにするテクニックも紹介します。
どうして足が痺れるの?
まずは、足が痺れる理由を人体の仕組みを踏まえて解説します。痺れには「神経」と「血管」が大きく関わっています。
・足が痺れる理由
① 神経の機能が乱れるため神経は体内の情報伝達を担当しています。神経には、手や足などの体の末端(末梢「まっしょう」)から、脳に感覚を伝える「感覚神経」と、脳から手や足を動かす指令を伝える「運動神経」があります。足が痺れている時は、この神経が押しつぶされてしまったために、本来の情報伝達が上手にできない状態になっています。足が痺れている時に足の感触が鈍くなっているのは感覚神経の働きが乱れているためですし、足が動かしにくくなるのは運動神経の機能が低下しているからです。② 血管が圧迫されて血液の循環が悪くなっているためもう一つの重要なポイントは血の流れ(血行)です。人間の体はさまざまな「細胞」で構成されています。この細胞が働くためのエネルギーを作るには血液によって運ばれてくる酸素が必要不可欠です。酸素がなければ十分なエネルギーを生産できず、体の機能は十分発揮されません。神経もたくさんの酸素を使って仕事をする細胞でできています。そのため、血行が悪くなると神経の働きが低下してしまいます。
・足が痺れやすい体勢とその原因
それでは、足が痺れやすい体の姿勢にはどのようなものがあるでしょうか?先に紹介したように、神経や血管を圧迫してしまう体勢は足が痺れやすいようです。① 正座足が痺れやすい姿勢の代表格とも言えるのが「正座」です。両足を小さく折りたたむ必要があり、全身の体重が両足に集中してしまいがちです。太ももやふくらはぎが圧迫されてしまうと足先に十分な血液を送ることができなくなります。同様に足先の感覚を伝える神経や足を動かす指令を送る神経も圧迫されて適切な情報が伝わらなくなってしまいます。② あぐらあぐらは両足を交差させて座る姿勢で、正座ほどの圧迫を感じることは少ないかもしれません。それでも同じ姿勢を長時間続けた場合には、神経や血管にとって負担となってしまうため、痺れを引き起こすこともあります。足に体重がかかっていなくても、足を曲げた姿勢は一部の神経や血管にとって窮屈な状態です。③ 足組み片足をもう一方の足の上に置く場合や、足を交差させながら座るケースで、イスに座っている時にこのような体勢をとることがあります。一見するとそこまで負担は無さそうな姿勢ですが、やはり足の曲げ伸ばしによって神経や血管に負荷がかかる可能性があります。また、足を組むと体重のバランスが崩れやすく、お尻の周辺の特定の場所に体重が集中してしまい、血管や神経が圧迫されてしまう原因となることがあります。
足が痺れやすいのはどんな人?
同じような生活をしていても、足が痺れる程度は人によって異なります。足が痺れやすい人と痺れにくい人の間には何か違いがあるのでしょうか?
・血流が悪い人
足が痺れやすい人の特徴の一つに、血流が悪いことが挙げられます。血流とは血管内の血の流れのことで、血のサラサラ度合いや血管の状態によって個人差があります。もともと血が流れにくくなっている人は、血管が圧迫されたときに血流が大きく妨げられてしまいます。結果として、足が痺れやすくなると考えられます。
・姿勢が悪い人
普段の姿勢も重要なポイントです。背骨や腰が不自然に曲がった状態が続くと、神経や神経を守る骨に負担がかかります。長期間にわたって神経に負担がかかると、その神経に障害が生じて、情報伝達を正しく行えなくなります。正座やあぐらによって、そのような神経に新たに一時的な負荷がかかると感覚や運動の指令が正しく伝わらず、足が痺れているように感じることもあります。
・太り気味の人
太り気味の人は、姿勢による圧迫の影響を受けやすいので注意が必要です。正座のように足をコンパクトにまとめるとき、太り気味の場合は周囲の筋肉や脂肪がより強く神経や血管を押しつぶします。特に大人の場合ですが、太り気味の状態が続くと血管の病気などにかかりやすいことが指摘されています。健康的な体形を維持するには、神経や血管の状態を健康に保つためにも効果的です。
足が痺れないようにするにはどうすれば良い?
ここまでは足が痺れる原因について解説してきました。それでは、足が痺れないようにするにはどうしたら良いのでしょうか?次に、足を痺れにくくする方法と足の痺れから素早く回復するおすすめの対処法を紹介します。
・足が痺れないようにする方法
足が痺れるのは神経や血管の圧迫が原因です。逆に考えると、この圧迫を和らげれば足が痺れないと考えられます。圧迫を避ける一つのテクニックは、体重を足全体に分散させて、特定の場所に負担が集中しないようにすることです。正座の場合だと、かかとや足首のあたりにお尻が乗ってしまい、足先への血流が妨害されます。そこで、お尻の位置をずらし、足の上に直接お尻が乗せないことが有効です。また、全く同じ姿勢が長時間続かないようにすることが重要です、例えば、正座中に足の指などを少しずつ動かすようにすると、血流が促されて足の痺れ防止になります。あまり大きく動かすと見栄えが悪くなりますが、座布団の後ろ端あたりでちょっとずつ左右の足を動かすぐらいであれば、場の雰囲気を崩すことなく対策できそうです。
・足の痺れを早く治す方法
それでも足が痺れてしまった場合は、素早く痺れが治るように努めましょう。そのときは、無理をせず、慌てずに取り組むように心がけましょう。① 足を伸ばしたり体勢を変えたりして自然に治まるのを待つと良い足が痺れていることは、神経や血管が圧迫されていたということです。そこからの回復を早めるためには、足に十分な血液が流れるような姿勢をとることが大切です。可能であれば、ゆっくりと足を曲げ伸ばして足の筋肉をほぐしましょう。足の筋肉がポンプのように働いて血液が足先までいきわたる効果が期待できます。② 無理に動かすと痺れが悪化する可能性がある足が痺れている時は、神経や血液が異常な状態から復帰しようとしている状態です。この時は本来の体の機能が乱れてしまっているため、無理な動作は禁物です。無理に立ち上がろうとしたりすると、転倒の危険もあるのでやめましょう。
足の痺れは神経と血管のSOS
この記事では、正座のように足が圧迫されることによっておこる足の痺れのメカニズムと対策について解説しました。短時間の圧迫で起きた痺れは、大抵の場合すぐに回復しますが、もし回復が遅いと感じたら他の原因があるのかもしれません。病気やケガが原因となって神経や血管の働きが乱れている場合も、足の痺れが症状として現れることがあります。例えば、脳や末梢神経の状態が乱れるような病気や、脊髄などの神経を守る骨が変性、変形してしまっている場合など、さまざまな原因が考えられます。その他にも、強いストレスを受けて心の状態が悪いと痺れを感じることもあるようです。正座のような無理な姿勢をしていないのに手足が痺れる、または痺れが治りにくい場合には、単なる短期的な圧迫による痺れではない可能性があります。背景に大きな病気やケガがある場合には早期の治療が大切なので、まずは病院で受診しましょう。