人間の体の多くは水分でできてるって本当?水が不足するとどうなる?
公開日: 2024/02/02
私たちは毎日水を飲んでいますが、その水は体の中でどのような役割を担っているのでしょうか?この記事では水の持つ重要な働きについて紹介しながら、健康を保つために気をつけたいポイントについて解説します。
- 目次
- 人間の体の多くは水分でできている?人体はまるで水で満たされた水槽!
- 体の中で水分はどのような働きをしているの?
- 体の水分が不足するとどうなるの?ミイラになる!?
- 1日にどのくらいの水分を摂取すると良い?
- 適度な水分補給で健康的な生活の基盤を守ろう
人間の体の多くは水分でできている?人体はまるで水で満たされた水槽!
私たちの体を構成している物質の中で、最も多くの割合を占めているのは「水」です。平均的な体型の成人男性の場合、体重の60パーセントぐらいが水だと言われています。体重を70キログラムとすると、水はおよそ42キログラム含まれていると推定されます。体の中にある水分は血液の印象が強いですが、実際には水分の多くは細胞や細胞の回りの組織を満たすように存在しています。
水の次に多くの割合を占めるのは、筋肉などを作る成分であるタンパク質ですが、こちらは体の20パーセントを下回る程度です。
年齢によって水が占める体の割合が変化していく
人が年齢を重ねていくにつれて体内の水分の割合は小さくなっていきます。お母さんのお腹の中にいる胎児や生まれた直後の赤ちゃんでは、水が占める割合が80パーセントにも達します。その後、成長するにつれて水の比率は少しずつ小さくなり、乳幼児で70パーセントぐらい、成人男性で60パーセントぐらいになります。さらに年を重ねて老人になると水の割合は50パーセントぐらいまで下がります。
体の中で水分はどのような働きをしているの?
水は体の中でいろいろな役目を担当しています。代表的な働きには、体温調節、栄養などの必要な物質の運搬、老廃物の排出、の3つがあります。
体温を調節する働き
人間の体を構成する機能の多くは、温度が36~37℃ぐらいのときに効果的に働くようにできています。そのため、体温を一定に保つことは健康を保つために重要な仕事です。
夏の暑い時期などには体の表面に汗をかきますよね。汗に含まれる水分は、蒸発するときに周りから熱を奪う性質があります(気化熱と呼びます)。人体は汗の気化熱を利用して、体温が上がりすぎることを防いでいます。
また、水の比熱が大きいことも重要なポイントです。比熱とは、物質の温度を上げる時に必要なエネルギー量のことで、物質によって大きな違いがあります。水は比熱が大きく、温まりにくく冷めにくい性質があるので、急激な体温の変化を防ぐ効果があります。
栄養などの必要な物質を運ぶ
人間の体を構成する細胞が正常に働き続けるためには、エネルギー源となる栄養やミネラルなどの物質が必要です。口から取り入れた食べ物は胃や腸で分解されて体の中に吸収されますが、その過程で水に溶けた運びやすい状態に変わります。水はいろいろな物質を溶かし込むことができ、36℃ぐらいでは液体なので「運び屋」としてうってつけの物質です。
老廃物(体の中のゴミ)を排出する
人間の体の中では常に破壊や修復が繰り返されているので、使わなくなった物質を体の外に排出する仕組みが必要です。体のあらゆる場所でできた老廃物は、体液や血液を通して体の中を運ばれます。血液の中に含まれる老廃物は腎臓に送られ、腎臓にあるフィルターでろ過されます。分離された老廃物を水に溶かした状態で排泄しているのが、いわゆる「おしっこ」です。
体の水分が不足するとどうなるの?ミイラになる!?
ここまで紹介したように、水は人間の体にとって必要不可欠な役割を担っています。もし、体の中の水が不足してしまったらどのような影響が出るのでしょうか?
体の水分の2パーセントが失われただけで不快な症状が出る
体内の水分のたった2パーセントほどが失われただけで、喉の渇きなどの不快感が出始めます。これ以上水分が減らないように、体が注意を発している状態です。
ちなみに、「体の水分の2パーセント」がどれぐらいの量か、体重50キログラムの中学生を例に考えてみましょう。体重に占める水分の割合は成人より少し多い65パーセントとして計算すると、50×0.65=32.5となり全身で32.5キログラムの水を含んでいることになります。すると「体の水分の2パーセント」はたった650グラムで、500ミリリットルのペットボトル1本分より少し多いぐらいです。おしっこなどで排出される水分量を考えると、こまめな水分補給の必要性がわかりますね。
5パーセントの水分を失うと脱水症状や熱中症の症状が現れる
体の水分の5パーセントが失われると、体の機能に異常が生じ始めます。いわゆる脱水症状と言われる状態で、軽度な症状ではめまいやふらつきがあり、さらに進むと頭痛や脱力感が現れます。
夏の暑い時期などに水分が不足すると、汗をかけなくなり体温の調節ができなくなってしまいます。体に熱がこもってしまうと熱中症になるリスクが高まるので、暑い季節は特に十分な水分補給を心がけるようにしましょう。
10パーセントの水分を失うと筋肉の痙攣(けいれん)、循環不全(じゅんかんふぜん)が起こる
体の水分の10パーセントが失われる頃には、さらに深刻な症状が現れてきます。特に問題となるのは体内のめぐる血液の循環の乱れです。
体に指令を送る神経や筋肉は細胞の中と外の物質のバランスを利用して情報伝達や収縮を行っています。水分不足で必要な物質の供給と老廃物の除去が行われなくなると、神経や筋肉の働きに乱れが生じます。この時、意識していないのに筋肉が収縮する「痙攣」が起こることがあります。
また、水分が不足すると血液中の成分が濃縮されて「どろどろ」な状態になります。このどろどろ血液は、血管の詰まりを引き起こす可能性が指摘されています。血管の詰まりが心臓で起きると「心筋梗塞」、脳で起こると「脳梗塞」と、命に関わる重大な病気になることがあります。
体内の水分の20パーセントを失うと死んでしまうおそれがある
体内の水分の20パーセントを失うと、血液の循環が乱れて臓器や神経の活動に必要な物質を送れず、体中の機能が正常に働かなくなります。このような状態では、生命維持が難しくなり、最悪の場合、命を落とす危険性もあります。
ミイラを作るには水を取り除く必要がある?
水にはいろいろな化学反応を進みやすくする働きがあります。通常、生き物が死んだ後は体が腐って崩れていきますが、水分を除去すると腐敗の進行をストップできます。古代から、ミイラを作る時にはご遺体を塩漬けにして水分を取り除いていたと考えられています。
1日にどのくらいの水分を摂取すると良い?
体の働きを保つために体内の水分量を維持するには、1日にどれぐらいの水を摂取する必要様があるのでしょうか。
体重70キログラムの成人で1日2.5リットル必要
平均的な体形で体重が70キログラムの大人が、激しい運動などをせずに穏やかな生活をしている場合は、1日に2.5リットル程度の水を取り入れる必要があります。これは、おしっこや汗、吐き出す息に含まれる水分として体から出ていく水とバランスをとるため必要な水分量です。激しい運動をして汗をたくさんかいた場合は、それに見合う水分などを追加で摂取する必要があります。
年齢や体重が必要な水分摂取量に影響する
年齢や体重によって1日に必要な水分の量は増減します。体が大きい人ほど体の中にたくさんの水が存在しますし、大人に比べて活発な子どもは必要な水分の割合も高くなります。中学生ぐらいの子供の場合、体重当たりの必要水分量は大人よりも多くなりますが、一般的に大人よりも体重が軽いので、1日に摂取する必要がある水分の量はあまり変わらないと言われています。
飲み物以外からも水が摂取できる
1日あたり2.5リットルも水を飲んでいないな、と感じた人もいるかもしれませんが心配はいりません。2.5リットルとは必要な水の合計量であって、実際に飲み物として取り入れるのはそのうち1.2リットルぐらいです。野菜や果物には水分が豊富に含まれているので、通常、食べ物から1日あたり1リットルぐらいの水分を摂取しています。また、食べ物に含まれる栄養(炭水化物、タンパク質、脂質)を体の中で分解するときにも水が作り出されます。この水は代謝水と呼ばれ、1日あたり0.3リットルぐらいの量に達します。
適度な水分補給で健康的な生活の基盤を守ろう
水は私たちの体を健康に保つために必要不可欠な物質です。成人の体の60パーセントを占める水は、体温調整や栄養の運搬、老廃物の排出など、さまざまな重要な役割を果たしています。年齢や体重、活動に合わせて適切な量の水分を摂取して、健康な生活を送りましょう。
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