磁石でできる2つの自由研究│おもちゃを作ってみよう
公開日: 2022/05/31
マグネットとして冷蔵庫にくっついていたり、コンパスとして方向を示したり、磁石はスマホや電子レンジなど多くの身近な製品に使用されています。 今回は、磁石のくっついたり離れたりする力を利用した2つのおもちゃ作りを紹介します。夏休みの自由研究として、磁石で理科実験をしてみましょう。
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磁石の仕組み
磁石の仕組み、磁石にくっつくものとくっつかないもの、磁性体と磁気誘導について説明します。
●磁石にS極とN極がある理由
磁石には磁力が働いており、磁石同士を近づけるとくっついたり離れたりします。この磁力が出るところと入ってくるところがS極とN極です。磁石に砂鉄を振りかけると、磁力の範囲を確認できます。棒磁石を紙の上に乗せ、上から砂鉄を振りかけると、砂鉄が磁石の周りに弧を描くように配置されます。この円弧が磁力が働いている範囲で、磁力の働く範囲を磁界といいます。円弧は「磁力線」と呼ばれ、磁力の働く方向を示しているのです。磁力線はS極から始まりN極から出ていきます。磁力線の向きに力が働くため、同じ極では磁力線の向きが出る方向同士であり、入る方向同士のため反発します。また、違う極では磁力線の向きが反対のため、くっつくのです。
●磁石にくっつく金属は磁性体
磁性体とは磁性を帯びる金属のことです。磁性体は、磁石に近づけるとくっつきます。磁性体は物質の中に、たくさんの小さい磁石(分子磁石)を持っていますが、向きがバラバラのため単体ではくっつきません。鉄やコバルトなどは強磁性体と呼ばれ、磁性体の一種です。銅やアルミは磁性体ではないため、磁石を近づけてもくっつきません。
●磁気誘導によってくっつく磁性体
磁性体は単体ではくっつきませんが、磁石を近づけると磁石にくっつきます。これは、磁石を近づけることで磁石が磁力を発生させ、分子磁石が同じ極を向くためS極・N極が発生し、磁性体が磁石になるためです。これを磁気誘導といいます。鉄のクリップに磁石を近づけ、磁気誘導させて磁石にすると、ほかのクリップも引きつけます。ただし、磁石を遠ざけるとクリップは磁石ではなくなり、クリップは離れます。
磁石の種類と、磁石で動く身近なもの
磁石にはさまざまな種類があります。磁石の種類と、磁石を利用した身近なものとしてリニアモーターカーの仕組みを説明します。
●磁石の種類
磁石には、永久磁石と電磁石があります。自ら磁気を発し、磁石として機能するものを永久磁石といいます。永久磁石はフェライト磁石・ネオジム磁石・サマリウムコバルト磁石・アルニコ磁石の4種類に分かれます。一方、電流が流れているときだけ磁石として働くものを電磁石といいます。
・フェライト磁石磁石の力はあまり強くありませんが、安価で製造しやすく、ゴム磁石やマグネットシートなどに使用されています。フェライトにはハードフェライトとソフトフェライトがあります。ハードフェライトは強い磁界が加わると永久磁石となるフェライトで、スピーカーやヘッドホンに使用されています。ソフトフェライトは磁石が近づいて磁界が加わると磁石になり、磁石を離すと磁気がなくなるフェライトです。テレビやパソコン、電子レンジなどに使用されています。・ネオジム磁石高い磁力を持ち、磁石の中で特に強力な磁石です。安価で強度も高いですが、熱に弱く錆びやすい特徴を持ちます。ハイブリッドカーやハードディスクなどの電子部品、医療機器などの精密機器に使用されています。・サマリウムコバルト磁石ネオジム磁石に次ぐ高い磁力を持ち、熱に強いことが特徴です。ただし、ネオジム磁石より欠けやすいため、取り扱いに注意が必要です。・アルニコ磁石強度が高く、熱に強い特徴を持つ磁石です。反面、保管しておいても時間と共に減磁(磁力が弱くなること)します。また同じ極で反発し合うだけでも減磁します。メーターや計器類などに使用されています。・電磁石電磁石とは、電流が流れている間だけ磁石になるもののことです。電流が流れるところには、磁力が働いています。たとえば、導線を巻いて作ったコイルに電流を流すと磁界が発生して、コイルが棒磁石のようにふるまいます。電磁石は電流の向きによってS極・N極が変化し、電流の強さやコイルの巻き数・導線の太さによって磁力が強くなったり弱くなったりします。
●磁石で動く身近なもの〜リニアモーターカーの仕組み〜
磁石で動いている身近なものに、リニアモーターカーがあります。リニアモーターカーは、磁石同士がくっついたり反発したりする力を利用して動きます。リニアモーターカーの下面には、超伝導磁石というとても強力な磁石が並んでいます。レールの側面の壁には浮上・案内コイルと推進コイルが並んでおり、電磁石の役割をしています。超伝導磁石が並ぶ車体が高速で通過すると、浮上・案内コイルに電流が流れてコイルの上部が超伝導磁石と引き合い、コイル下部が超伝導磁石と反発してリニアモーターカーが浮き上がります。前に進むときは、壁の推進コイルと車体の引き合ったり反発したりする力を利用しています。超伝導磁石には、S極・N極が交互に配置されているため、推進コイルに流れる電流を定期的に切り替えることで、引きあって前に進む力・反発して車体を押し出す力を交互に繰り返して前に進んでいるのです。
磁石でおもちゃを作ってみよう①
磁石で簡単な魚釣りゲームを作ってみましょう。磁石を近づけると、鉄製などの金属クリップが磁石になる現象を学びましょう。
●【魚釣りゲーム】用意するもの
・色画用紙(魚の数量枚)・針金製のクリップ(魚の数量個)・磁石(1個)・ひも・わりばし・はさみ・セロハンテープ・油性マーカーペン
●【魚釣りゲーム】作り方
・釣りざお1.わりばしにひもを結びます。2.ひもの先端にセロハンテープで磁石をくっつけます。・魚1.色画用紙に魚の絵を描きます。
磁石でおもちゃを作ってみよう②
磁石で工作できるおもちゃをもう1つ紹介します。紙コップで、磁石で動くマグネットカーを作りましょう。紙コップだけでなく、牛乳パックやお菓子の空箱でも作れます。
●【マグネットカー】用意するもの
・紙コップ(1個)・ペットボトルのキャップ(4個)・竹串(2本)・ストロー(2本)・磁石(2個)・リモコン用のお菓子の小箱(1個)・キリ・セロハンテープ・ハサミ・装飾用のフェルトや折り紙
●【マグネットカー】作り方
・車1.ストローを紙コップの直径と同じくらいの長さに切ります。2.紙コップに並行にストローをつけます。・タイヤ1.ペットボトルのキャップの中央に、キリで穴を開けます。2.竹串をストローより少し長い長さに切ります。3.竹串の尖ったほうにペットボトルのキャップを取りつけます。4.竹串をストローに通します。5.竹串の反対側にペットボトルのキャップを取りつけます。・リモコン1.小箱の内側にマグネットを取りつけます。2.紙コップにマグネットを取りつけます。3.小箱を折り紙やフェルトなどで自由に装飾します。以上で完成です。磁力で反発し合ってマグネットカーが動く様子を観察しましょう。
磁石のおもちゃで磁力を感じてみよう!
磁石にはS極とN極があり、磁力が働いています。磁力は目に見えませんが、おもちゃの制作や理科実験を通してくっつく力や離れる力を観察できるでしょう。磁石は冷蔵庫や電子レンジなど日常の身近なものに利用されています。どのように利用されているのか調べてみましょう。