読書感想文のコツ│子供に教えたい!スラスラ書くための方法と本選び

公開日: 2019/03/29

夏休みや冬休みなどの宿題や課題として、読書感想文の作成を課されることがあるでしょう。しかし、多くの子供にとって読書感想文を書く機会がほとんどなく、しかも書き方をじっくり教えてもらえる機会もないために、何を書けばいいのか途方に暮れてしまいます。本を読むのは好きだけれど、読書感想文を書くのは苦手という子供も少なくありません。 そこで今回は、悩めるお子さんや親御さんに向けて、読書感想文のコツについてご説明します。書くべき内容や準備、本を選ぶ方法などについて理解すれば、読書感想文が飛躍的に書きやすくなるはずです。

目次
読書感想文には何を書けばよい?
子供に教えたい!読書感想文の書き方のコツ
読書感想文が書きやすい本選びのポイント
読書感想文で子供とコミュニケーションをとろう

読書感想文には何を書けばよい?

「読書感想文を書きなさい」と言われると、いきなり原稿用紙に作文しようとする子供が大半です。しかし、書くことを決めずに書き始めてもすぐに行き詰まってしまうのがオチです。何とか早く読書感想文の作成を終わらせたいのに、かえって時間がかかってしまうことになります。

そこで準備作業をしておきます。具体的には、文章を書き始める前(できれば本を読み始める前)に書くべきことをピックアップしておくのです。書くべきこととしては、主に「本を選んだ理由」、「あらすじ」、「全体的な感想」、「特に気に入った(心を動かされた)部分」、「本をおすすめしたい理由」などが挙げられます。多めに項目をピックアップしておき、万が一規定の文字数を超えるようであれば後から削除すればOKです。

本を選んだ理由

感想文の最初に書くべきは、あらすじではありません。本を選んだ理由を書くのが、原稿用紙を埋めるポイントです。書き出しとしてどんな期待を抱いてその本を選んだのか、どんな内容の本だと予想したのかを書いておくことで、読み終わった後の感想との違いについて書くこともできます。
それほど感動しなかった、どの場面について書けばいいのか分からないという時ほど、事前の期待と読了後の感想との違いを書く重要性が高まります。

あらすじ

選んだ理由の後は、あらすじや全体的な感想です。あらすじや感想は、読書感想文の王道であり必須事項と言えるでしょう。文章を書き始めるときにあらすじや感想を思い出そうとしても、なかなか鮮やかには思い出せません。読んでいるときに印象深い場面のページに付箋(何度も貼ったり剝がしたりできるポストイットがベストです)を貼りつけ、メモ程度の感想を書き込んでおくと思い出すときに役立ちます。

読んだ感想

あらすじもそうですが、感想を書く場合は、自分が読んでいて気に入った部分についての記述を多く盛り込むことで、感想文全体に「メリハリ」をつけられるようになります。最初の場面から最後の場面まで、満遍なくまとめようとすると、読んでいる人を引きつけるような文章にはなりません。
どこか平たんで、読む側の印象に残りにくいです。丁寧に要約するよりも、面白いと感じた場面、面白いと感じた理由を全体のあらすじ・感想の後に書くことで、自分の個性が反映された読書感想文になります。

本をおすすめしたいひと

最後に、読んだ本をおすすめしたいタイプのひととその理由を書くようにしましょう。次の見出しでもお伝えしますが、文章を書く際には「ターゲット(ペルソナ)」を頭に思い浮かべるのが重要です。どんな人に内容を紹介したいかを意識して本を読み、読書感想文を書くことで、より書き手の熱意のこもった文章になりやすいのです。

以上の内容を読書感想文に盛り込むようにすれば、文字数が足りなくなったり何を書けばいいのか分からず悩んだりする可能性はほとんどなくなります。最初から全ての計画を自分一人で立てるのは大変ですから、できれば親御さんが隣についてやり方を教えてあげるとよいでしょう。

多くのお子さんは、共感や反感、感動などの自分の気持ちをうまく言葉にできないものです。「読んでどう感じた?」に対して「面白かった」だけで終わってしまうと読書感想文がうまく書けませんから、さらに「どこが面白かった?」、「なぜ面白いと感じた?」、「どの登場人物が一番好き?」、「主人公と似たような体験をしたことある?」など、質問を重ねて感想を深掘りする手助けをしてあげてください。

一点注意したいのは、詰問しないことです。なかなかお子さんが具体的な感想を言葉にできず、親としてはいらだちを感じるかもしれません。そのいらだちが伝わると、お子さんも「本当の感想ではないけれど、大人に怒られなくても済みそうな無難な感想」を文字にしてその場を切り抜けようとしてしまうものです。

読書や文章を書くことの面白さを知ってほしい、本を通じて子供の想像力を育みたいなどと考えるのであれば、子供と辛抱強く向き合う親御さんの寛容さが求められると言えます。その意味で、読書感想文は親にとってもある種の「宿題」なのかもしれません。

子供に教えたい!読書感想文の書き方のコツ

読書感想文の作成は多くの学校で宿題とされているのにもかかわらず、その書き方を授業で体系的に学ぶ機会はほとんどありません。親御さんが自分の子供の頃の記憶をたどってみても、「いきなり書くように言われた」というケースが多いのではないでしょうか。

学校の授業で書き方を学んでいないのであれば、親が教師となって子供に書き方を教えるしかありません。書き方のコツは数多くありますが、子供に教えすぎても混乱してしまいます。まずは、以下の4点だけ意識させてあげてください。

感想文の読み手を設定する

第一に、誰か具体的な読み手(ターゲット)を定めることです。こうした具体的なターゲットのことを、マーケティング用語で「ペルソナ」と言います。ターゲットをぎりぎりまで絞り込むことで、かえって多くの読み手を引きつけるような文章が書きやすくなります。感想文の場合は子供の友達を具体的に思い浮かべ、その人に読んでもらうつもりで書かせるとよいでしょう。

誰に自分の感想文を最も読んでほしいのか、読み手を思い浮かべられると熱のこもった感想文になりやすいです。逆に読み手を想定しないで感想文を書き始めると、熱意も感じられなければ伝えたいこともぼんやりしてしまいます。ぜひターゲットを思い浮かべさせてあげてください。

本の内容や感じたことをメモさせておく

第二に、本を読みながらメモを取ることです。前述の通り、本の内容やそれに対する印象はすぐに忘れてしまうものです。何日かたってから、いざ感想文を書き始めようにも印象が薄れていては書けません。結局、感想文を書きながら本を読み返し、本を読み返しながら感想文を書き進める形になってしまいます。
それであれば、最初から感想文を書く前提で本を読み進め、感想文の材料になる箇所や印象をメモに残してためていくようにしましょう。

面白いと思うところをメモに逐一書いていくと、本を読み終わるのが遅くなると思います。しかし、感想文を書くタイミングになってから何度も読み返すことになるよりは、最初にメモを残しながら読み進めた方がまだ早く読めるはずです。
またメモに残すことで、漫然と読むよりも記憶への残りやすさが格段に違ってきます。中には「面倒くさい」と言い出す子供がいるかもしれませんが、上記のようなことを伝えてあげてください。

原稿の構成の組み立て方を教えて、実行させる

第三に、感想文の構成を考えさせることです。メモに残した内容をただ書き並べても、読み手を引きつける感想文にはなりません。まず自分が最も伝えたい核となるメッセージを1つだけ定めて、その根拠や事例となるメモを後に並べていくようにするとよいでしょう。
もしかしたら大半のメモは感想文に盛り込めなくなるかもしれませんが、それでも構いません。感想文では、自分が書きたいことを書き連ねるより、読み手が読みたいと思うであろう内容を書くことが重要だからです。

5W1Hを意識させる

最後に、「5W1H」を意識させるとよいでしょう。つまり、どこで(場面)・何を(出来事)・なぜ(感想の理由)・いつ(時期)・誰に(主人公などキャラクター)・どのように(感想)ということです。どうしても印象に残った箇所を自分で思い浮かべられないようであれば、5W1Hのフレームワークにのっとった形で質問してあげます。こうすると、少しずつ感想文に書けるような感想やあらすじを思い浮かべられるでしょう。

読書感想文が書きやすい本選びのポイント

読書感想文を上手に書くには、本選びも大切です。極端な話ですが、大人向けの哲学書やビジネス本の感想文を書かせようとしてもうまくいかないでしょう。子供の性格や発達段階、好みに応じて感想文を書きやすい本というのが存在します。ポイントは、大人目線でなく子供目線で本を選ぶということに尽きます。

子供が好きなジャンルの本にする

まず、子供が好きなジャンルの本にしましょう。鉄道が好きなら鉄道の説明文や、鉄道の深く絡む物語などを選ぶことをおすすめします。親目線だと、「小学校○年生なのだからこの程度の本を読んでほしい」などと考えて年齢相応の「名作」を買い与えたくなりますが、親御さんの思うように関心を持ってくれないのが子供というものです。
ここは興味を持ってもらうことを最優先に、お子さんの好きなジャンルを選んでください。書店やインターネットなどで子供自身に本を選ばせるのもおすすめです。

子供の年齢に適した本にする

ジャンルだけではなく、子供の年齢に合った本を選んでください。これは親御さんも当然意識するものだと思いますが、つい実際の子供の年齢よりやや上(難しめ)の本を選びがちです。
例えば、文章を読めるようになってほしいと思うあまり、小学校低学年の子供に高学年向けの本を読ませたり、高学年の子供に中学生向けの本を与えたりしてしまいます。学校や書店、出版社などが推薦する本の内容を参考に、子供の年齢に適した本を探しましょう。

物語性がある本にする

できれば物語性のある本の方がよいでしょう。いくら鉄道が好きだからと言っても、鉄道のカタログや写真集を見て感想文を書くのは難しいものです。例えば、あらすじが存在しません。したがって、ストーリー展開があってキャラクターが存在する物語を選ぶと、感想文の書きやすさという点からおすすめできます。

以上の3点を踏まえて本を選べば、あとは前述の通り読書メモと構成の組み立てで読書感想文を簡単に書くことができるでしょう。

読書感想文で子供とコミュニケーションをとろう

読書感想文を実際に書いてもらうと、「そんなことを感じていたのか」と感心させられることも少なくありません。お子さんの感受性の強さやユニークさを目の当たりにするはずです。普段見られない内面に触れることで、お子さんのことをより深く知ることができるでしょう。感想文を元に本の内容について話をすることで、子供だけでなく親御さんにとっても実りの多い宿題にしてください。

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