電磁石を使った実験例│安全に配慮して子供と楽しくお勉強!

公開日: 2019/03/29

自由研究としてもピッタリな電磁石の実験の方法と注意点、実験例を紹介します。

目次
電磁石の実験で身に付く知識
電磁石の作り方
電磁石を使った実験例
電磁石の釣りざおをつくって、磁力の強さを計ってみよう!
磁石の力で走る!リニアモーターカー
電磁石について知ることで、電気について考えてみよう

電磁石の実験で身に付く知識

「磁石」というと、まず「U」の形をしたU字磁石をイメージするのではないでしょうか。鉄でできたものを近づけると、ピタッとくっついたり、はなれたりする、あの磁石です。このくっついたり、はなれたりする力のことを「磁力」といいます。この磁力がはたらく場(空間)のことを「磁界」とよびます(U字磁石は、磁力がずっとはたらくことから「永久磁石」とも呼ばれます)。磁石には、電気の力で磁力を得るものもあります。電磁石と呼ばれるもので、電流が流れている間だけ磁力が発生する磁石です。では、なぜ磁力によってモノがくっついたり、はなれたりするのでしょうか。この記事では「電磁石」に注目し、そのしくみを探っていきましょう。

電流ってなんだろう

私たちがくらす世界には、目に見えない「電子」という物質があります。いま私たちが着ている洋服にも宿っていますし、体にもふくまれています。電気には「プラス」と「マイナス」があり、マイナスの電気を帯びているほうを「電子」といいます。電子はわたしたちの身の回りのいたるところに存在していて、ひとつの場所にじっと止まっているだけでなく移動をします。簡単にいうと、この電子が移動することを電流といいます。マイナス同士では、お互いに反発しあって移動が起きることはありません。しかし、プラスとマイナス同士であればその間で移動が起きます。中でも、もっとも電気が移動しやすいのが金属です。

電磁石のしくみ

電流が流れているところには磁気が発生するので、導線に電流を流すと導線のまわりに磁気が発生します。この導線を1回転させると、外側から内側に磁気が集められます。2回、3回と回転させる度に集められる磁気が強くなり、たくさん回転させて磁力を強めたものが電磁石と呼ばれます。

電磁石の作り方

前述のとおり、電磁石のしくみは思っているよりずっと簡単です。学校や家で手に入る身近なものを使ってつくることができます。用意するのは、エナメル線、ストロー、鉄くぎです。最初に、ストローの端からエナメル線をていねいに巻いていきます。エナメル線を巻くときに気をつけたいのは、なるべく規則正しく巻いていくこと。ある程度巻いたら、いったん端に寄せ、空いたスペースにさらに巻いていきます。(※エナメル線の外部は電気を通さない絶縁性があるので安全ですが、銅線を使用する場合は注意が必要です。また、巻く回数があまりにも少ないと、ショートする原因になることがあります。お子さんに指導する際は、よくチェックしてあげましょう)このようにして、筒状の物体にエナメル線を巻きつけたものを「コイル」といいます。コイルができあがったら、ストローの中に鉄くぎを入れていきましょう。コイル(ストロー)の中に入れた鉄くぎが、「芯(しん)」になります。この芯に電流を流すと、磁石になります。コイルに電流が流れることによって、コイルの周囲に磁界が発生し、それによって磁力を得ることができるのです。磁力が発生すると、モノを引き寄せたり、反発させたりといったことができるようになります。

電磁石を使った実験例

電磁石になっているかを確かめる実験:クリップを使った実験まずはもっとも簡単ですが、重要な実験からスタートしましょう。鉄くぎが、ちゃんと磁石になっているかをたしかめる実験です。教室や家にあるクリップを使って行います。クリップは、10個以上用意するといいでしょう。1. コイルに電流を流していない状態で、クリップを近づけてみますすると、どうでしょうか。電磁石にクリップがひとつもくっつかないはずです。電流を流していない時は、鉄くぎは磁石にならないということですね。2. コイルを回路につなげ、クリップに近づけてみますクリップが電磁石についたら、成功です。電流が流れることで、鉄くぎが磁石になったということがわかります。

電磁石の釣りざおをつくって、磁力の強さを計ってみよう!

用意するもの:電磁石(コイル100回巻き、200回巻き)、乾電池2個、電流計、クリップ、重りになるもの(クリップに取り付けやすいもの)、プラスチックなどでできた棒(とがっていない、危険性のないもの)、プラスチックの皿電磁石は、コイルに巻くエナメル線の巻き数によって、強くなっていく性質があります。このことを、実験によって確かめてみましょう。1. 100回巻いたコイルと、200回巻いたコイルを用意します。※両方とも、エナメル線のバラツキやかたよりのないコイルとします※電池の設置個数、パワーも同じ(新品の同じ商品)ものを用意しましょう2. 100回巻きのコイルを、プラスチックなどでできた棒の先にしっかりとくくりつけます3. 少し重りをつけたクリップをひとつ以上用意し、通常のクリップとともに皿の中に置きます4. コイルをくくりつけた棒を、釣りざおで魚を釣り上げるイメージで、クリップの中にゆっくりと入れていきますすると、どうなるでしょう。100回巻きのコイルの場合は、重りつきのクリップが持ち上がらなかったのではないでしょうか。パワー不足であることが確認できます。5. 200回巻きのコイルを取り付けた棒に持ち替えて、クリップの中にゆっくりと入れていきます今度は、どうでしょう。100回巻きの棒では持ち上がらなかった重りつきのクリップが、持ち上がれば成功です。自分たちで重りの重さを変えたりして、どのような条件なら重りつきクリップが持ち上がるのか、試行錯誤しながら実験すると楽しく学ぶことができると思います。

磁石の力で走る!リニアモーターカー

用意するもの:磁石(20個程度)、電池(6個以上)、軽いスポンジ(新幹線の形にするとおもしろいよ!)1. 15〜20個程度の磁石を一直線に置きます。その両側に金属のレールをしきます2. レールに電流を流して、軽いスポンジでつくった新幹線を置くと勢いよく滑り出します果たして、どのようなしくみで新幹線は動いたのでしょうか。これは、少し難しい言葉ですが「ローレンツ力」とよばれるはたらきによるものです。磁力が生まれる「磁界」のなかで電流を流すと、ある一定の方向に力がはたらくことを指します。とても簡単な実験ですが、今後開業を予定しているリニア中央新幹線などの基本は、まぎれもなくこのはたらきを利用したものなのです。近未来の技術の根本には何があるのか?ということを考えるきっかけにもなりますね。

安全に電磁石実験を楽しもう!

どのような実験でもいえることですが、安全性の確保も大切です。なるべく危険性のない実験をするために、安全な導線を使いましょう。導線本体のまわりをエナメルと呼ばれる絶縁体(電気を通さない物質)でコーティングした「エナメル線」がおすすめです。感電の危険性をおさえて実験をすることができますよ。

エナメル線に触れさせないように気を付ける

エナメル線は、電気を通さないエナメルで覆われていますので、感電の心配はありません。しかし、このことだけにとらわれると、やけどをしてしまう危険があります。今回の実験では、電池の数を変えたりすることで、コイルが想像以上に熱を持ってしまうことが考えられます。このことにも注意して、実験を見守りましょう。

使用する乾電池の数に制限を設ける

通常は直列つなぎにした乾電池を2本使って実験を行います。その数を増やすと、パワーが増えるということを学校の授業では教えます。ここで気をつけたいのが、どんどんエスカレートして乾電池をつなげすぎてしまう、ということです。好奇心旺盛な児童ほど「どんどんつなげて、強い電磁石をつくろう!」と思いがちです。しかし、5個、6個…といった調子で、あまりにも多くの電池をつなげていくと、そのぶん加熱の危険性も高まるのです。短時間であれば危険性は少ないですが、一定時間以上つなげすぎてしまうと、コイルはどんどん加熱されてしまいますので、乾電池の管理には注意しましょう。

近くに磁気を発する物がない場所で実験させる

電磁石の仕組みを教える際は、まわりに磁気を発するものがないかにも注意してください。思わぬ方向にモノが飛んで行ったり、逆に吸い寄せられたりといった危険性があります。実験時には、必ず周囲の環境に注意しましょう。

電磁石について知ることで、電気について考えてみよう

私たちの生活に欠かせない電気。当たり前のように使っているものの、どのように作られているかを知る機会は、日常生活では少ないのではないでしょうか。エネルギーに関する議論が活発になり、電力の自由化も進む現代社会。さまざまな発電方法が生まれていますが、電気のしくみ自体は変わりません。電磁石の実験をとおして、電気の性質について学ぶことができます。小中学生の早い段階で電気の働きを学ばせることは、科学的な分野への興味にとどまらず、環境などについても深く考えるきっかけになるかもしれません。楽しい実験をとおして、ぜひ、お子さんの好奇心を刺激してあげてください。

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