3人制バスケ(3×3)とは?競技の特徴やルール、試合の面白さ
公開日: 2019/11/12
2021年には、東京で4年に一度のスポーツの祭典が開催されます。今回、新しく正式種目になる競技がいくつかありますが、その中のひとつに3人制バスケットボール(以下3人制バスケ)があります。3人制バスケと聞くと、「3on3(スリー・オン・スリー)」を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、今回正式種目として加わったのは「3×3(スリー・バイ・スリー)」というもの。今回は、3人制バスケがどういう競技なのか、5人制バスケとの違いや試合の面白さについて解説したいと思います。
3人制バスケ(3×3)とは
良く知られるバスケットボールは1チーム5人制ですが、名前の通り1チーム3人制で行うのが3人制バスケです。バスケットボールの経験者であれば、人数が足りない時に少人数でゲームをした経験はありませんか?そうした遊び感覚で楽しまれてきたのが3人制バスケの起源です。3人制バスケは、体育館などの施設がなくてもできるため、手軽に楽しまれてきました。アメリカでは屋外にバスケットゴールが設置されていることが多く、街中でプレーすることを「ストリートボール」とも呼んでいます。何人か集まればプレーできるので、3人制の「3on3(スリー・オン・スリー)」、や1対1の「1on1(ワン・オン・ワン)」が行われることもあります。ストリートボールは、概ねバスケットボールのルールに沿ってプレーされます。ただし、共通のルールはなく世界各地で自由に楽しまれてきたのですが、2007年にFIBA(国際バスケットボール連盟)が世界共通のルールを統一し、正式競技種目としました。それが、「3×3(スリー・バイ・スリー)」です。3×3を世界に普及させたいFIBAの活動の成果があってか、3×3は、現在世界で約43万6千人、約180ヵ国で楽しまれていると言われています。日本でも、1990年代に若者を中心に3on3が流行し、2014年には世界に先駆けて3×3のプロリーグ「3x3.EXE PREMIER」が発足しています。これは5人制のプロバスケットボールリーグ発足よりも2年も早いそうです。5人制バスケにおいて日本は後進国と言われているものの、3×3ではプロリーグができるほど普及が進んでおり、日本チームは世界でも高いレベルにあるんですよ。
3人制バスケのルール
「ボールを持って3歩以上歩いてはいけない」といった大まかなルールは5人制バスケと同じですが、3×3の独自ルールもあります。ここでは、独自ルールについて説明します。
コートサイズと名称
エンドラインの長さは5人制のコートと同じ15メートルで、サイドラインの長さは5人制コートの半分(14メートル)よりやや小さい11メートルになります。また、5人制の「3ポイントライン」は「アーク」と呼ばれます。
チーム編成と交代
4人以下で構成し、3人がコートでプレーをして1人は交代要員となります。選手交代する時は、審判がタイムをとるのではなく、得点が決まった後にプレー再開をする際に行われる「チェックボール※」の前に選手同士がタッチをして交代します。この様に、試合の流れの中で選手交代が行われるの、交代のためにプレーが中断することはありません。※チェックボールとは、ディフェンス(防御側)になったチームから、アークの内側からアークの外側の頂点付近にいるオフェンス(攻撃側)の選手にボールをパスすることで、プレー開始に際にも行われます。
ボールサイズ
5人制は7号サイズでしたが、3×3では6号サイズ(中学生以上の女子が使うサイズ)で重さは7号と同じ重さ(約600g)になります。
ノックアウト制
「1試合10分、21点先取した方が勝利」という「ノックアウト制」になります。5人制の場合は1クォーター10分を4回行った得点結果によって勝敗を決めますが、ノックアウト制の場合には10分未満に試合が終わってしまうこともあります。
12秒ショットクロック
攻める側のチームはボールを保持してから12秒以内にシュートをうたなければバイオレーション(ファウル以外の禁止された行為でボールの所有権が相手チームに移ってしまう)となってしまいます。
得点の種類
5人制の場合には、3ポイントラインの外側からのゴールは3点、内側からは2点となりますが、3×3の場合にはアークの外側からのゴールが2点、内側からは1点となります。フリースローはどちらも同じ1点ですが、アークの内側で得た場合は1回、外側で得た場合は2回となります。アークの外側と内側のどちらでゴールをしたかで得点が大きく変わることと、ノックアウト制で早く得点した方が有利であることから、アークの外側からのゴールをどれだけ成功させることができるのかが勝敗の分かれ目になりやすいです。
パーソナルファウルとチームファウル
5人制の場合には、選手1人が5回のファウルをすると退場となってしまうため、ファウル回数が増えてきた選手はプレーが消極的になったり選手交代させられたりすることがあります。3×3の場合には、個人のファウルに制限がなく、選手個人はアグレッシブなプレーを続けることができます。ただし、ファウル7回以上でチームファウルとなってしまうので、チームとしては注意が必要です。ファウル7回から9回までは相手にフリースロー2回、10回以上はフリースロー2回に加えてフリースロー後の攻撃権というペナルティがあります。
プレー開始と攻守交替
プレー開始の際には、コイン・トスで勝った方が攻守を選び、チェックボールでプレーが開始されます。ゴールが決まった後や、ディフェンスがリバウンドを奪った時、スティール(ディフェンスがオフェンスからボールを奪うこと)が成功した時は、攻守が交代します。この時、3×3ではゴールポストが一つしかないので、次のオフェンスになる方がアークの外側にボールを運んでプレーを再開します。ボールの運び方は、自分でドリブルして運んでも、味方にボールをパスしても、どちらでも可能です。
3人制バスケの面白さ
プレーをするのも、観戦するのも面白いと言われている3人制バスケ3×3。どのようなところが面白いのか、ご紹介します。
スピード感のある試合展開
1試合10分ノックアウト制をとっており、12秒以内にシュートを決めなければいけないため、非常にスピード感のある試合展開が楽しめます。
トリッキーなプレー
3×3のボールは5人制のボールよりも小さめで溝が深いことから片手でも握りやすく、相手の股を抜いてドリブルをしたり、驚くほどトリッキーなパスプレーを楽しむことができます。
体格差に関係なく活躍する選手が多い
3×3はアークの外からの得点の方が高いので、アーク外からのシュートを成功させようとして、必然的にゴールポストから離れたプレーが増えます。アークから離れれば離れるほど、ゴール下でプレーする時よりも身長差によるハンデは薄くなっていきます。そのため、比較的身長が低い日本人選手でも大いに活躍することが可能です。実際に、バスケットボール選手としては低めの身長170センチほどでありながら、ストリートボールで観客を沸かせ、3×3プロリーグに転向した岡本 飛竜選手は有名です。
世界トッププレーヤーのプレーを間近で観戦できる
世界に先駆けて日本で発足した3×3プロリーグでは、外国人選手の制限枠もないため、世界のトッププレーヤーが日本にプレーしに来ることが多く、日本のリーグは世界トップレベルとも言われています。しかも5人制と違ってコートが小さめなので、コートを設置しただけのイベント会場で観戦できる試合もあります。世界トッププレーヤー勢ぞろいの大迫力プレーを間近で観戦できるのは、日本ならではです。
メダルが狙えるかも!?2021年東京で3×3を応援しよう
2019年9月の3×3世界ランキングによると、日本は男女ともに10位以内に入っています。2021年東京大会でも十分にメダルを狙えるとの評判もあり、期待も高まっています。また、体格差があっても十分に世界で通用するプレーヤーになれる競技でもあるので、将来スポーツ選手になる夢を持つ小学生や中学生のお子さんには、ぜひ見ていただきたい競技でもあります。ぜひご家族そろって観戦してみてくださいね。
公益財団法人日本バスケットボール協会(JBA)『3x3とは』http://3x3.japanbasketball.jp/what-isSEKAIE.EXE『ABOUT 3X3 -3人制バスケ「3x3」(スリーエックススリー)とは-』http://sekaie3x3.com/about/日刊スポーツ『3人制バスケは日本がリードする球技って知ってる?』https://www.nikkansports.com/olympic/column/edition/news/201712280000595.htmlTOKYO DIME『3×3バスケットボール 2020年東京オリンピック日本代表への道』https://dime-3x3.com/columns/tokyo2020/大学スポーツ総合サイトCSPark『岡本飛竜〜誰よりも、強く〜(拓殖大学バスケットボール部)』http://cs-park.jp/column/detail/id/585