人間はなぜ尻尾がないの?尻尾がテーマの自由研究をしてみよう!

公開日: 2023/02/28

イヌやネコ、トカゲ、オタマジャクシなど、尻尾(しっぽ)を持つ動物は身近なところにたくさんいます。でも、わたしたち人間には尻尾がありませんね。どうして人間には尻尾がないのでしょうか?
この記事では、人間に尻尾がない理由について、さまざまな動物を取り上げながら検証します。尻尾をテーマにした調べ学習も紹介しますので、自由研究としてぜひ取り組んでみてください。

目次
なぜ人間は尻尾を持たなくなったの?
動物にとっての尻尾の役割とは?
尻尾をテーマにした自由研究に挑戦しよう!
人間以外にも尻尾のない動物はいるのか調べてみよう
動物の尻尾の動きと感情の変化の関係を調べてみよう
動物の尻尾は、進化しながら形や役割が変化した

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なぜ人間は尻尾を持たなくなったの?

人間に尻尾がないのは、尻尾を使う必要がなくなって退化したからだと考えられています。

実は、人間にはもともと尻尾があった、という証拠が、体の中に残っています。それは尾骨(びこつ)という尻尾の名残(なごり)の骨で、尾てい骨とも呼ばれています。背骨からおしりの方にのびた先端にあり、おしりの割れ目のあたりをさわって固く感じる部分です。

では、どうして人間の尻尾は退化してしまったのでしょうか?

動物の体には、よく使われて役立つ部分が大きくなり、使われていない部分が小さくなる、という性質があります。このため、生きるために役立つ性質を持つものが生き残り、その子どもが同じ性質を受け継いで、その子どもが……と長い年月をかけて、生き物の姿や性質が変化してきました。この変化を「進化」といいます。

尻尾の起源をたどると、魚の尻尾-尾びれにたどり着きます。
魚は、泳ぐときに尾びれを使って、水中で前に進む力を生み出しています。つまり、水中を泳ぐ役割を果たしているのが魚の尻尾です。

尻尾の役割は魚以外の水中で暮らす動物にとっても同じで、ほとんどが泳ぐことに使われます。このため、泳ぐときに尻尾を使うかどうかで尻尾の大きさが変わります。海で暮らす哺乳類の仲間のうち、泳ぐときに尻尾を使うイルカやクジラは大きな尻尾を持っています。一方、手足のひれで泳ぐトドやオットセイ、アザラシなどは、短くて小さい尻尾しかありません。

水の中では泳ぐための役割を果たしていた尻尾が、進化によって陸上で生活するようになると、歩いたり走ったりするとき体のバランスをとるために使われるようになります。さらに進化すると、尻尾はさまざまな役割(くわしくは後で説明します)を果たすようになります。

人間は、進化の過程でチンパンジーなどの類人猿と共通の祖先から枝分かれしたときに、尻尾の役割がなくなったと考えられています。それとともに尻尾は短くなり、最後にはなくなった、と考えられています。

実は、人間も尻尾を持っている時期があります。それは赤ちゃんがまだお母さんのおなかの中にいる胎児のころ。でも、それも2ヵ月ほどで消えてしまい、生まれてくるときには完全になくなっています。

どうして胎児のころに持っていた尻尾がなくなってしまうのか、その理由はまだはっきりとはわかっていません。そして、人間になぜ尻尾がないのか、ということについても、いまのところ明確にはわかっていないのです。

ところで、人間の尾骨は尻尾の名残といいましたが、尻尾とは、おしりから出っぱった部位のことを指します。骨でいうと、背骨のうち頭とは反対側の端の、おしりより先の部分です。

ヘビやウナギなど、細長くてくねくねと動く動物は全身が尻尾のようですが、実際はおしりの穴より後ろ側が尻尾です。一方、トンボやミミズは細長い体を持っていますが、おしりの穴は体の先っぽについています。そもそも虫には背骨がありませんので、尻尾があるとはいえません。

動物にとっての尻尾の役割とは?

尻尾を持つ動物はたくさんいます。ここでは、陸上の動物たちの尻尾がどのような役割を果たしているのか説明します。

・バランスをとる

陸上の動物たちは、おもに体のバランスをとるために尻尾を使っています。

カンガルーは跳びはねるときに尻尾でバランスをとっています。また、立っているときには後ろ足2本と尻尾で体を支えます。

地上で一番足が速いといわれているチーターは、走るときに太くて長い尻尾でバランスをとっています。この尻尾のおかげで、スピードを落とさずに曲がることができます。

鳥は、空を飛ぶときには翼を使いますが、方向を替えたり、ブレーキをかけたりするときには尻尾に生えた尾羽(おばね)を広げてコントロールします。

・つかまる、ぶら下がる

カメレオンは尻尾をぐるぐると巻きつけて枝につかまります。獲物をねらって長い舌を伸ばすときにも、尻尾のおかげでバランスをくずさずにいられます。

クモザルは木の上で生活するサルで、尻尾がとても長いのが特徴です。
枝に尻尾を巻き付けてぶら下がったり、尻尾の先でえさをつかんだり、まるで手のように尻尾を使います。

・身を守る

身を守るために尻尾を役立てている動物はたくさんいます。そしてその方法もさまざまです。

ウシやウマは細くて長い尻尾を持っていて、ハエやアブを追い払うために使います。
ゾウやカバ、サイの尻尾は、おしりの真ん中にぴったりと収まります。ふたのような尻尾でおしりの穴のやわらかい粘膜を守り、寄生虫が入らないよう防いでいるのです。

ワニは、太くて長い尻尾を敵にたたきつけて攻撃します。
一方、尻尾を「身代わり」にして逃げるのはトカゲの仲間です。敵におそわれると尻尾を切り、敵が尻尾に気を取られているうちに逃げます。尻尾はそのうち生えてくるので切っても大丈夫なのです。

リスやキツネなど、大きくてふさふさした尻尾を持つ動物は、尻尾をふとん代わりにしてくるまり、寒さから身を守っています。

・コミュニケーションをとる

気持ちを表したり、あいさつしたりするときに尻尾を使う動物もいます。
イヌやネコが尻尾で感情を表現することを知っている人も多いでしょう。

このように、尻尾は動物によって多種多様な役割を果たしています。
動物は、暮らす環境によって体の動きが異なり、それぞれの動き方に合った体の形をしています。尻尾にも同じことがいえるのです。

尻尾をテーマにした自由研究に挑戦しよう!

尻尾をテーマにした自由研究に取り組んでみましょう。
ここでは、尻尾のない動物、ある動物それぞれに着目したテーマを1つずつ紹介します。テーマはほんの一例なので、あなたが尻尾について不思議に思うことがあれば、ここで紹介している調べ方を参考にして、自分で調べてみましょう。

わからないことを調べるのは時間がかかります。大変に思うかもしれませんが、少しでも面白いと感じることがあったら、ぜひチャレンジしてください。

人間以外にも尻尾のない動物はいるのか調べてみよう

1.尻尾のない動物や、尻尾がない理由について予想を立てる。
まず、人間以外に尻尾のない動物がいるかどうか、自分なりに考えてみましょう。尻尾のない動物や、尻尾がなさそうな動物はいますか?または、尻尾がとても短い動物・小さい動物は思いつきますか?

いなければ、まずは人間に近い仲間から考えてみましょう。人間に近い類人猿には、ゴリラやチンパンジー、オランウータン、テナガザルがいます。尻尾がない動物はどれか、なぜ尻尾がないのか、自分なりに考えてみましょう。

2.必要な情報を集める。
尻尾のない動物がいないか調べます。図書館などで本や図鑑を見たり、動物にくわしい人に話を聞いたりして情報を集めましょう。

動物園に行く機会があれば、実物を見て、動物園の人に話を聞くのもおすすめです。集めた情報はメモしてまとめておきましょう。

3.情報を整理してまとめる
尻尾のない動物を見つけたら、それを書き出します。種類や特徴もいっしょに書きましょう。住んでいる場所や食べ物、体の使い方などから、尻尾がない理由が思いつくかもしれません。

まとめるときに注意するのは、調べてわかったことと、自分の考えたことを分けて書くことです。情報を集めるときに使った本の名前や、話を聞いた人のこともわかるように書いておくと、よりしっかりした内容になります。

動物の尻尾の動きと感情の変化の関係を調べてみよう

1.尻尾の動きと感情の変化の関係について予想を立てる
尻尾で感情を表す身近な動物に、イヌやネコがいます。まずは尻尾の動きがどのような感情を表しているのか予想してみましょう。
例えばイヌは、うれしいときに尻尾をふることがあります。ほかに、尻尾の動きで気持ちがわかるときがありますか?または「こんな動きをするときは〇〇な気持ちかな?」と予想してみてください。

2.予想が当たっているかどうかを調べるために必要な情報を集める
予想が当たっているかどうかを調べるために、本や図鑑で情報を集めましょう。動物園に行って話を聞いてもいいですし、自分が飼っている動物のことなら、動物病院の獣医さんが知っているかもしれません。
また、よく耳にする話でも、間違っていたり、古い情報だったりすることがあります。本当に正しいかどうか必ず確認しましょう。

3.集めた情報を整理してまとめる
尻尾の動きと感情の変化の関係について、わかったことを書き出します。
予想と違ったときは、どのように違ったのかを書き、どうして違ったのかも考えて書きましょう。調べてわかったことと、自分の考えは分けて書くことが大事です。

動物の尻尾は、進化しながら形や役割が変化した

尻尾の起源は魚にあって、進化していく中でさまざまな形になったこと、そして、人間のしっぽは役割がなくなって退化した、ということがわかったでしょうか。

動物の体の部位の中で、これほど多様な役割を持つものは他にないかもしれません。尻尾にはまだまだたくさんの謎があるので、機会があれば動物のおしりをじっくり観察してください。新しい発見ができるかもしれませんよ。

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