流れ星とは?光って見える理由や見られる時期、観察する方法

公開日: 2023/06/30

夜空に一瞬だけ輝く流れ星は、人間の想像力を刺激する不思議な現象です。夜空に輝き続けるほかの星と流れ星にはどのような違いがあるのでしょうか?この記事では、流れ星やその光の正体について解説し、流れ星を観察するときに注意すべきポイントも紹介しています。

目次
流れ星とは
流れ星は1年の決まった時期に多く見られる!
日本で見られる流星群
流れ星の観察に適した場所と必要なもの
流れ星を観察して、地球や宇宙について考えてみよう

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流れ星とは

・彗星が残したチリ

流れ星の正体は、宇宙から地球の大気圏に突入したチリです。このチリの多くは「彗星」という宇宙空間を移動する小さな天体がまき散らしたものです。彗星とは、数キロメートルから数十キロメートルの小さな天体のことで、主な成分は水(宇宙空間では氷の状態)です。彗星が通った場所(軌道と呼びます)には、彗星からはがれ落ちた小さなチリがたくさん残されています。

流れ星になるチリのことを「流星物質」と呼びます。流星物質に地球が近づいたとき、宇宙空間から大気圏に突入すると流れ星になります。

・流れ星が光る理由

では、なぜチリが地球の大気圏に突入すると光が発生するのでしょうか?ポイントは、チリと大気の衝突です。真空に近い宇宙空間から大気圏に突入したとき、チリは大気中の物質と激しく衝突してエネルギーを発生させます。このエネルギーの一部がチリとその周囲の粒子の状態を変化させた結果、発光が起こります。

大気圏に突入したときに摩擦によって加熱されたチリが燃えると説明されることがありますが、実際は少し違うメカニズムで光が発生しています。流れ星になるチリの大きさは1ミリメートルから数センチメートルぐらいなので、一般的な意味で「燃えた」だけでは100キロメートル以上離れた地表から観察するのは難しそうですよね。

ちなみに、大気圏に突入したときの強烈なエネルギーに耐えて、地表に届いたものが「隕石」です。チリは小さすぎるので、大気圏突入時にバラバラになってしまいます。

流れ星は1年の決まった時期に多く見られる!

流れ星の正体であるチリは、彗星の軌道上に密集しています。そのため、彗星の軌道と地球の軌道が交差するタイミングで、たくさんの流れ星の観察ができます。

たくさんの流星が観察される現象のことを「流星群」と呼びます。流星群の中には毎年観測できるものや、数十年に1回しか観測できないものがあります。

日本で見られる流星群

日本で流れ星を観察できる流星群のうち、特に多くの流れ星に期待できる3つの流星群について解説します。この3つの流星群を指して3大流星群と呼ぶこともあります。国立天文台のWebページでは、他の流星群の情報や、流れ星が良く見えるタイミングなどの情報も公開されています。興味のある方は一度調べてみてはいかがでしょうか。

・夏のペルセウス座流星群

3大流星群のうち、夏に観察できる流星群がペルセウス座流星群です。7月~8月頃に現れるので、夏休みを利用して観察しやすい流星群です。観察に適した条件であれば、1時間に80個程度の流れ星を見ることも可能です。

ペルセウス座流星群の元になっている彗星(母天体と呼びます)は、スイフト・タットル彗星です。この彗星は太陽の周りを133年周期で回っています。

・冬のしぶんぎ座流星群

しぶんぎ座流星群は12月末から1月にかけて観察できる流星群です。観察できる流れ星の数は年によってムラがありますが、多くの場合は1時間に数十個程度です。この流星群の名前は「壁面四分儀座(へきめんしぶんぎ座)」という現在では存在していない星座名に由来します。しぶんぎ座の他に「りゅう座ι(イオタ)流星群」とも呼ばれることがあります。

この流星群の母天体はまだ確定されておらず、いくつかの候補が挙げられています。しぶんぎ座流星群で観察できる流れ星の数にムラがあるのは、母天体に何か秘密があるのかもしれません。

・冬のふたご座流星群

3大流星群の中でも特にたくさんの流れ星を期待できるのが、ふたご座流星群です。12月に現れる流星群で、ピーク時には1時間に100個ぐらいの流れ星が見えることもあります。

ふたご座流星群の母天体と考えられているのは、フェートン(ファエトンと呼ばれることもあります)という小惑星です。フェートンはかつて彗星として軌道上にたくさんのチリを放出していましたが、現在ではその放出量が少なくなっています。フェートンは、彗星から小惑星に変化していく過程の中間的な天体として研究が進められています。

流れ星の観察に適した場所と必要なもの

流星群以外でも流れ星が現れることはありますが、その数はとても少ないので観察には適していません。まずは流星群が現れるタイミングで観察するのがおすすめです。

・観察する場所

流れ星を観察するとき、特に重要なポイントは周囲の明るさと視界の広さです。人間の目は周囲の明るさに合わせて感度を変化させる性質があるので、流れ星の小さな光を見逃さないためには暗い環境で目を慣らせておくことが重要です。空の広い範囲をカバーできるように、広い視界が確保できる場所を選びましょう。

また、安全面への注意も重要です。自然の中では思いがけないトラブルが起きることがあるので、いつでも安全に退避できる範囲で行動しましょう。長い時間観察する場合には、トイレが近くにあるかどうかも大きなポイントです。

人間の生活範囲に近いと暗い場所が見つけにくく、安全面や利便性とのバランスが大切です。場所によっては立ち入りが許可されていないこともあるので、周りの大人と相談しながら観察場所を選ぶようにしましょう。 

・観察する方向

流星群の流れ星は「放射点」というポイントから放射状に流れてくるように観察されます。しかし、放射点の周囲でたくさん流れ星が見えるわけではないので、放射点を中心に幅広い範囲に注意しておくと流れ星を見つけやすくなります。

流星群の名前の多くは、流星群の放射点の近くにある星座に由来しています。夜空の星座の位置を確認するためには、星座早見盤という道具が便利です。いろいろなタイプの星座早見盤が販売されているほか、スマートフォンのアプリとしても提供されています。

・あると便利な道具

流れ星の観察を楽しむためには、しっかりとした準備が大切です。便利な道具を活用して流れ星の観察を楽しみましょう。

1. レジャーシート
流れ星を探して長い間夜空を見上げていると、首が疲れてしまいます。そんなときは、レジャーシートを敷いて、寝転がりながらのんびりと観察しましょう。同じように、リクライニング機能があるイスやハンモックなどを使うこともできます。

2. 防寒着
流れ星が良く見える夜間は、日中と比べて大きく気温が低下します。特に、レジャーシートの上で座ったり、寝転んだりしていると、地面の冷たさが直接体に伝わります。流れ星を見るためには暗い環境を保つことが重要なので、光を出す火や暖房器具の使用を抑えることになります。風邪などを引かないように、しっかりとした防寒対策を心がけましょう。

流れ星を観察して、地球や宇宙について考えてみよう

流れ星の正体は、地球の大気と衝突して発光した宇宙のチリです。流れ星の光を見ながら、宇宙空間に漂っている物質や、広大な宇宙を移動し続けている地球の運動について考えてみるのも良いかもしれません。

流れ星の観察には、事前の情報収集と準備が大切です。正しい知識を持ち、気長に取り組むことで、楽しい流れ星の観察になると思います。

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