PK戦のルールって?精神力が大事なキッカーとキーパーの1対1勝負!

公開日: 2023/10/04

PKとはどのようなものか、多くの人がイメージできると思います。しかし細かい決まり事があるのは知っていますか? この記事では、PKでのポジション反則、進め方など、PKに関するルールを解説します。 PKで使えるテクニックや、PK最長記録などの豆知識もご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

目次
1対1でゴールキーパー(GK)と対決!サッカーのPKって?
11メートル先のゴールに向かってボールをシュート!PKの基本ルール
決めるか外すかプレッシャーとの戦い!!PK戦のルールって?
勝敗を左右する大事な局面!

1対1でゴールキーパー(GK)と対決!サッカーのPKって?

まずはPKの基礎知識からご紹介します。

・PKは何の略語か

PKとはペナルティキック(penalty kick)の略語のこと。ボールを蹴るキッカーとゴールキーパーの1対1の対決です。

・「フリーキック」と「ペナルティーキック」の違い

PKはフリーキックの中の一種です。フリーキックは、大きく分けると直接フリーキック間接フリーキックの2つがあります。直接フリーキックは、ボールが直接ゴールに入っても得点ですが、間接フリーキックはキッカー以外の選手がボールに触ってからでないと得点になりません。

直接フリーキックになる反則には、ゴールキーパー以外の選手が手や腕でボールを扱う「ハンド」や、相手選手を押す・飛びかかる・蹴る・つまずかせるなどの危険なプレーが当てはまります。これらを守備側の選手が後述の特定の位置で犯した場合はPK、それ以外の場合は直接フリーキックとなります。

・試合最中は、どのような場合にPKになるか

PKは、守備側のペナルティーエリア内(下図のピンク色部分)またはエリア外の特定の位置(下図の黄色部分)で、守備側の選手が直接フリーキックになる反則を犯したときに、攻撃側の選手に与えられます。

反則で決定的な得点のチャンスを奪った場合は、PKに加え、レッドカードが出て退場になる場合もあります。

PKになるか否か、カードが出るか否かは、その後の試合展開を大きく左右します。そのため、VAR(ビデオアシスタントレフェリー)が使われる対象にもなっています。

11メートル先のゴールに向かってボールをシュート!PKの基本ルール

ここではポジションや反則事項などの基本的なルールについて解説します。

・キッカーは事前に特定する

誰がPKを蹴るのか、あらかじめ周りにわかるようにしなくてはいけません。

ただし、申告の必要はありません。一般的には、キッカーは自分がボールを蹴りやすい位置に立ち、それ以外の選手はペナルティーエリアとペナルティーアーク外の指定のエリアに移動します。

・キッカーがボールを蹴るまでの選手のポジション

キッカー以外の選手は、ポジションをとれる位置がそれぞれ決められています。

〈GKの位置〉
PKを受けるゴールキーパーは、キッカーがボールを蹴るまでは、ゴールポストの間のゴールライン上にいなければいけません。片足でもゴールライン上にあればよく、足は地面についていても空中でもどちらでも問題ありません。

2022-2023の競技規則で、「キックの瞬間は、ゴールライン上または後方に位置させておけばよい」と変わり、キックの瞬間に足が後方にあることも認められるようになりました。

〈キッカー以外の選手の位置〉
キッカー以外の選手は、攻守どちらに関わらず、ペナルティーエリアとペナルティアークの外側かつ、ペナルティーマークよりも後方のピッチ内(下図の水色部分)にいなければいけません。
ボールがゴールに入らず弾き返された場合は、そのままプレーが続けられます。そのため、各選手は次のプレーに備えてポジションをとっています。

・PKの進め方

PKがどのように進んでいくのか見ていきましょう。

1.ペナルティーマークの上にボールを置き、キッカーを特定します。ボールを置く選手と、キッカーは別の選手でも問題ありません。

2.キッカー以外の選手は、それぞれ指定の場所に移動します。

3.主審の笛の合図でキッカーがボールを蹴ります。

4.キック後は、通常の試合中の流れと同様の方法で続けます。

  ゴールが決まった場合はセンターサークルからのキックオフ、ボールが外に出た場合  は、ゴールキックやコーナーキックを行います。

5.反則があった場合は、定められた方法で試合を再開します。
  (後述の「PKの反則事項」で詳しくご説明します。)

  PKが終わるまで試合時間は延長します。途中で時間切れになることはありません。

・PKの反則事項

PKで反則があった場合は、反則を犯したチームがどちらか、ゴールが決まったかどうかによってその後の対応が変わります。

どのようなプレーが反則になるのか、4つのケースに分けてそれぞれご説明します。

〈キッカー〉
ボールはペナルティーマークより前方に蹴らなければいけません。また、助走を終えた(ボールの傍に立ち足を置いた)あとに不正なキックフェイントをしてはいけません。例えば、ボールをまたぐ、キックの動作を途中で止める、などがこれにあたります。これらの反則を犯した場合、ボールがゴールに入っても得点にはなりません。相手チームの間接フリーキックから試合を再開します。

一度ボールに触れたあとは、敵味方問わず他の選手が触れるまで、もう一度ボールに触れることはできません。GKが触れずにゴールポストやクロスバーに当たって跳ね返ってきたボールを、キッカーが再び蹴るのは反則です。この場合は、相手チームの間接フリーキック(ハンドの場合は直接フリーキック)から試合を再開します。

〈ゴールキーパー〉
キッカーがボールを蹴る前に飛び出したり、ゴールポストやクロスバー、ゴールネットに触れたりしてはいけません。ゴールが決まった場合は得点、決まらなかった場合はPKをやり直します。

〈守備側選手〉
キッカーがボールを蹴る前に、ペナルティーエリアやペナルティーアーク内、ペナルティーマークより前方に行ってはいけません。ゴールが決まった場合は得点が認められ、決まらなかった場合はPKをやり直します。

〈攻撃側選手〉
キッカーがボールを蹴る前に、ペナルティーエリアやペナルティーアーク内、ペナルティマークより前方に行ってはいけません。ゴールが決まった場合はPKをやり直し、決まらなかった場合はそのまま試合を続けます。

・PKのテクニック

PKの場面では、さまざまなテクニックが使われています。ここではキッカーのテクニックに焦点を当てて解説します。

〈助走中のフェイント〉
助走中にテンポを変えたり止まったりして、フェイントを入れる方法です。歩くような速さで助走をする、時間をかける、スキップをするなども認められています。GKがタイミングを取りにくく動き出しが遅れる可能性が高まるので、得点しやすくなります。

〈目線や体の向きのフェイント〉
目線や軸足の向き、体の向きをフェイントとして使う方法です。自分から見てゴールの左側に右足でボールを蹴る場合、特に意識をしていないと、目線と軸足(キックのときに地面についている足)のつま先は左を向き、左の肩が前に出ます。これを逆手にとって、目線や足、体の向きなどをまっすぐまたは逆にしたりすると、GKを騙せる可能性があります。

〈GKのタイプに合わせて蹴る〉
相手の癖や傾向を掴み、それに合わせて蹴り方を変える方法です。
GKのタイプは大きく分けて3つあります。

1. 予測をして、ボールを蹴る直前に動く
2. ボールを見て蹴ると同時に動く
3. キッカーの動きを観察して動く

1のタイプに対しては、ギリギリまで観察し、動いた瞬間に違う方向へボールを蹴ると成功率が上がります。
2の場合は、速いシュートを打ちます。ボールが良いコースに飛べばGKは間に合いません。
3に対しては、目線や軸足の向き、体の向きをフェイントとして使うと良いでしょう。

どのタイプかは、試合中や他のキッカーのPKで判断します。キッカー自身のタイプ(シュートが強い、正確に蹴れる、直前で蹴る方向を変えられるなど)を踏まえて、ゴールキーパーのタイプと照らし合わせるとよいでしょう。

〈GKの意表を突く〉
相手の意表を突くプレーも有効です。例えば試合中のPKでは、ボールを軽く前に蹴りそこに味方選手が走り込んでシュートをする「タップ・ペナルティ」という方法があります。

ゴール中心に向かってチップキック(ボールをフワッと上げる蹴り方)をする「パネンカ」や、つま先で蹴る「トゥーキック」、助走なしで蹴る、なども予測がしにくく効果的です。ゴールキーパーのタイプに合わせて蹴るときと同様に、自分の得意不得意や状況も考慮は大切です。

〈心理テクニック〉
心理戦を仕掛けてPKの成功率を高めることも可能です。GKと目を合わせて惑わせたり、挑発的な態度を取って相手の集中力を奪ったりするのが一例です。何度か対戦したことがある場合など、自分の傾向が掴まれていると感じる場合は、以前とは蹴り方やフェイントの仕方などを変えることで、相手を混乱させる方法もあります。

決めるか外すかプレッシャーとの戦い!!PK戦のルールって?

PK戦には、試合中のPKとは少しルールが異なる部分があります。ここではPK戦のルールについて解説します。

・PK戦とは

両チームが5人ずつ交互にPKを行い、より多く得点をしたチームが勝利となる試合結果の決め方です。トーナメント方式の大会や順位決定戦など、勝敗を決めなくてはいけない場面で用いられます。

〈PK戦になる条件〉
延長戦がない試合で前後半を終えて同点、または延長戦を終えても同点で、試合の決着をつけなくてはいけないときにPK戦を行います。

・PK戦の進め方

次にPK戦の進め方について解説します。

1.主審がコイントスを行い、どちらのゴールをPK戦で使うかを決めます。
  グラウンド状態や日差しの向き、風向き、などを考慮して決める場合もあります。

2.もう一度主審がコイントスを行い、勝ったチームが先攻後攻を決めます

3.PKの資格がある選手の中から、チーム内でキックの順番を決めます。

  資格がある選手は、後半終了時にピッチ上に立っていた選手です。
  そのため、PKが得意な選手がベンチにいる場合は、終了間際に交代する場合もあます。

  PK戦の前やその最中に退場者や負傷者が出て、チームの人数に差が出た場合は、人数が多い方のチームが選手を除外して同数にしなくてはいけません。

4.キッカーとGK以外のPKの資格がある選手は、センターサークルの中で待機します。キッカー側のGKは、ゴールラインとペナルティーエリアのラインが交わる辺りの、ペナルティーエリア外のゴールライン上で待機します。

5.両チームが攻守5回ずつPKを行います。
点差が開き、残りのキッカーの全員が決めても相手に追いつけないときは、その時点  でPK戦は終了します(3人ずつ蹴り終わった時点で、一方は全員得点、もう一方は全員失敗している場合など)。

6.5人ずつ蹴っても同点の場合は、6人目のキッカーが蹴ります。

  6人目以降は、追加で1回ずつPKを行い、どちらかがもう一方のチームより多く得点するまで続けます。全員が蹴っても決着がつかない場合は2巡目に入ります。

・PK戦の反則事項

キッカーやGKに関する反則事項は、基本的に試合中のPKと同じです。ただし、試合中のPKと違い、ゴールに入らずに跳ね返ってきたボールをもう一度蹴ることはできません

キッカーが反則した場合は(GKとキッカーが同時に反則した場合も含む)、そのPKは失敗と記録され、キッカーに警告が与えられます。ゴールキーパーが反則をした場合は、1回目はPKのやり直しのみ、2回目は警告が与えられます。

PK戦ってどれぐらい続くの?ワールドカップでのPK戦最長記録!

6人目以降は、決着が付くまで続けられるPK戦。その最長記録はどのくらいかご存じでしょうか?

・ワールドカップのPK戦最長記録

ワールドカップのPK戦最長記録を叩き出したのは、2023年の女子ワールドカップの準々決勝、オーストラリア対フランス戦。
計20人(各チーム10人ずつ)がキッカーを務め、男女含めてワールドカップ史上最長のPK戦となりました。

結果は7-6でオーストラリアの勝利。
オーストラリアのゴールキーパーはPK戦で3つのセーブを見せ、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれています。

勝敗を左右する大事な局面!

サッカーは元々点が入りにくいスポーツです。そのため、PKの1点の重みがとても大きく、キッカーにもGKにも大きな期待やプレッシャーがかかります。

その中での心理戦を読み解きながら、さまざまな駆け引きやスキル、そして勝負の行方を楽しんでください

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