ホタルはなぜ光る?発光する仕組み|ホタルが飛ぶ条件と観察のマナー
公開日: 2023/12/29
初夏の夜を彩るホタルの光は、ゆらゆらと揺れて幻想的ですね。ホタルが光りながら飛ぶ姿を一度は見てみたい方も多いのではないでしょうか。しかし、世界中に2,000種類以上が生息しているホタルは、すべての種類が光るわけではありません。 また、種類によっては生涯を通じて光ることもあります。そこで、ホタルが発光する仕組みや飛ぶ条件など、ホタルの光について解説します。観察するときの注意事項もご紹介しているので、ホタルを見に行くときは参考にしてください。
- 目次
- ホタルはなぜ光るの?卵や幼虫の頃から光るホタルもいる!
- ホタルの種類は2,000以上!全部のホタルが光るの?
- 小さなからだのどこが光っているの?ホタルが発光する仕組み!
- ホタルは何時頃に飛んでいるの?ホタル観察のマナー
- いろいろな目的で光るホタル!種類によって異なる光り方を観察してみよう!
ホタルはなぜ光るの?卵や幼虫の頃から光るホタルもいる!
「結婚相手を見つけるためにホタルは光っている」と聞いたことはありませんか。日本で多く生息しているゲンジボタルの成虫は、5~6月頃の夜に川辺を飛びながら、オスとメスが光を使ったコミュニケーションを取っているといわれています。そして、オスとメスが出会うと交尾をし、次の世代を残します。しかし、実は繁殖のためだけにホタルは光るわけではありません。
ゲンジボタルは卵や幼虫時代も含めて、生涯光ることができます。卵や幼虫、サナギなど繁殖に関係ないときもゲンジボタルが光る理由は、敵を警戒して食べられないようにするためだと考えられています。
ホタルの種類は2,000以上!全部のホタルが光るの?
ホタルというと、日本ではゲンジボタルとヘイケボタル、ヒメボタルなどが有名です。しかし、実はもっと多くの種類のホタルが生息しています。また、ホタルの中には光らない種類もたくさんいるのです。ホタルの生態を詳しくご紹介します。
世界には2,000種以上、日本には約50種類のホタルが生息している
世界には2,000種以上のホタルが生息しています。温暖で湿気の多い場所が好きなホタルは、アジアや南北・中央アメリカの国々の湿潤地域などさまざまな場所で見られます。日本に生息しているホタルは約50種類。全国各地にホタルの名所があり、初夏の夜には観光客で賑わいます。
実は光を出さないホタルもいる
日本に約50種類もいるのに、名前を聞いたことのあるホタルは2~3種類だけという方も多いでしょう。実はホタルの中には、成虫時代に光らない種類もあります。光を出さないホタルは注目されないので、名前を知られていないのかもしれません。
日本に生息するホタルの中で特に有名なのは「ゲンジボタル」と「ヘイケボタル」
日本に生息するホタルのなかで、特に有名なのはゲンジボタルとヘイケボタルです。どちらも成虫時代に光るホタルですが、生態は少し異なります。それぞれのホタルの特徴をご紹介します。
【ゲンジボタル】
日本で有名なホタルのひとつはゲンジボタルです。梅雨の時期に里山の小川近くで光りながら飛んでいることが多いでしょう。水のきれいな場所に生息するので、環境の良い場所の象徴といわれる存在です。
成虫の大きさ:12~15ミリメートル
外見の特徴:胸部の黒い模様が+になっている
食べ物:成虫は何も食べないが、幼虫はカワニナという巻き貝を食べる
光り方:西日本は2秒間隔、東日本は4秒間隔で点滅しながら、緑色の強い光を放つ
生息地域:本州・四国・九州の、流れのある細い小川近辺に生息
【ヘイケボタル】
ヘイケボタルはゲンジボタルより一回り小さなサイズのホタルです。4~10月頃と、光る期間が長く、きれいな川辺よりも水田を好みます。このため、ヘイケボタルはゲンジボタルに比べると身近に観察できるホタルといえるでしょう。しかし、近年水田への農薬散布や環境変化によって生息環境が狭められています。
成虫の大きさ:7~10ミリメートル
外見の特徴:胸部の黒い模様が-になっている
食べ物:幼虫はモノアラガイ・サカマキガイなどの貝類やオタマジャクシ、ミミズなど
光り方:弱い緑色の光がすばやく明滅する
生息地域:北海道・本州・四国・九州の、流れのない水田やため池などに生息
小さなからだのどこが光っているの?ホタルが発光する仕組み!
暗いなかでホタルを見ていると、光だけが見えていて、ホタルのどの部分が光っているのかがわかりにくいかもしれません。光っている部分や光る仕組みを解説します。
ホタルの光っている部分
ホタルの体の中で光っているのは、お尻に近い部分です。お尻とお腹の間に「発光器」と呼ばれる黄色い部分があり、そこが光っています。
ホタルが発光する仕組み
ホタルが光るメカニズムは、お尻の近くにある発光器に秘密があります。発光器の中には2つの物質があります。発光する物質「ルシフェリン」と発光をサポートする酵素「ルシフェラーゼ」です。この2つの物質とホタルの体内にある酵素が化学反応を起こすことで光が出ます。電球の光は光っている間に熱を帯びますが、ホタルが発光する化学反応では熱が発生しません。
ホタルは何時頃に飛んでいるの?ホタル観察のマナー
日本全国にホタルの名所があり、ホタル祭りなども開催されます。ホタルが光っているところを実際に見てみたいと思う方は、ぜひマナーを守って観察に出かけてみましょう。ホタルを観察する前に確認したいポイントをご紹介します。
ホタルを観察できる時期
ホタルが見られる時期は、地域によってさまざまです。九州ではゲンジボタルが5月中旬から見られますが、東北地方や標高の高い場所では7月中旬ごろから見られます。ホタルの寿命は約1年ですが、成虫になってから2週間程度で死んでしまいます。このため、光りながら飛ぶ成虫のホタルを同じ場所で観察できる期間は約2週間です。
ホタルが飛ぶ時間
ホタルは、日没から2時間後が活発に飛ぶといわれています。具体的には、夜の7時30分頃から徐々に飛び始め、8時~9時が活動のピークとなっています。
ホタルが飛びやすい天気
ホタルが活動的になるのは、気温が20度以上で湿度が高い日です。雨上がりや雨が降る前の生暖かさを感じる日は、絶好のホタル観測日和となります。
ホタルを観察するときの服装
ホタルを観察するときは、長袖シャツ・長ズボンを着用し、肌の露出を避けるようにしましょう。のホタルを観察しに行くときは、川辺や里山などに、ホタル以外のさまざまな虫が出現しやすい環境に出かけることになります。虫刺され防止できるような服装を心掛けましょう。
ホタルを観察するときのマナー
ホタルの生息環境を守り、近隣住民の方に迷惑をかけないように、ホタルの観察ではマナーを守りましょう。また、夜間のお出かけになるため、事故が起きないようにしっかり自分の身も守ることが大切です。気を付けたいポイント6つをご紹介します。
ホタルは強い光が苦手なので、懐中電灯の使用やカメラのフラッシュ撮影は控える
ホタルの生息エリアは汚さない
足元に気を付けて、川や池、みぞに近付かない
ホタルを捕まえない
近隣住民の迷惑にならないように騒音に気を付ける
ホタルの観察では暗い場所を歩きます。大人と一緒に行動し、子どもだけで出かけるのはやめましょう。
いろいろな目的で光るホタル!種類によって異なる光り方を観察してみよう!
世界で2,000種、日本だけでも50種類が生息しているホタル。ホタルの生態はさまざまなで、卵や幼虫の時代も発光しているホタルがいる一方、まったく光らないホタルもいます。
日本で見られる光るタイプのホタルの代表例はゲンジボタルとヘイケボタルです。どちらも緑色がかった光を放ちますが、光り方は異なります。生息している地域も異なるので、ホタルが活動する季節にはぜひホタルの生態を調べてから観察に出掛けてみましょう。夜間の外出になるので、大人と一緒に行動し、マナーを守ってホタルの観察をしましょう。
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