雪が降る温度はどのくらい?雪の結晶を作ってみよう!

公開日: 2024/02/28

冬の寒空に雪がちらつくと、ウキウキする人は多いのかもしれません。特に普段あまり雪が降らない地域に住んでいる人のなかには、雪遊びにあこがれを持っている人もいるでしょう。雪は寒い地域で降ると思われがちですが、実は寒いだけでは雪は降りません。他にもさまざまな条件があります。そこで、雪が降る温度や条件、夏も雪の観察ができる人工雪発生装置の作り方もご紹介します。

目次
雪が降る温度(気温)はどのくらい?
雪が降りやすい条件は?
日本海側と太平洋側では雪の降り方が違う?
【実験】雪の結晶を作ってみよう!
雪が降る温度は条件によって異なる!冬の天気予報に注目してみよう

雪が降る温度(気温)はどのくらい?

雪が降る日は冬でも特別寒い日だとイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。しかし、寒い日だからといって雪が降るわけではありません。雪ができる仕組みや雪が降るときの温度について解説します。

雪ができる仕組み

雪が降るときに空を見上げてみると、一面厚い雲に覆われているのが確認できるはずです。雪は雨と同様に、雲の中で作られます。空に浮かんでいる雲は柔らかそうに見えますが、実は「雲粒(くもつぶ)」という水滴と「氷晶(ひょうしょう)」という氷の粒が集まってできたものです。

海や川などの水が温められて上空にのぼっていくと、まわりの水蒸気を取り込みながら、上空高い場所にのぼっていきます。山に登ったことのある人はわかるかもしれませんが、標高が高くなればなるほど気温は下がります。水蒸気を取り込んだ空気が冷やされて水の粒になったものが雲粒です。

雲粒がもっと上昇して気温がマイナス20度くらいの場所に到達すると、水の粒は氷になります。こうしてできるのが氷晶です。氷晶も雲粒のように、まわりの水蒸気を取り込みながら上昇していきますが、ある程度大きくなると重さに耐えられなくなって落下します。落下するときに雲の中にある雲粒にぶつかって、どんどん大きくなります。大きくなったり回転したりしながら氷が結晶になったものが、雪と呼ばれているものの正体です。

雪が降る温度は?

雪は雲から落ちてきた氷晶と雲粒の塊です。しかし、地上の気温が高いと氷は溶けて水になります。水の状態で落下したものが雨です。つまり、ある程度地上の気温が低くなければ、雪は降らないということです。

雪が降る条件は他にもありますが、目安としては上空1,500メートルにおける気温がマイナス6度以下だと雪になる可能性が高いといわれています。また、地上の気温が4度くらいまでなら、途中で溶けずに雪が降ることがあると考えられています。

夏でも雪が降ることはあるの?

地上に落下する前に解けるため、日本の平地において気温の高い夏はほとんど雪が降りません。しかし、標高が高く気温が低い場所であれば、雪が降る可能性もあります。例えば、日本一標高の高い富士山は、8月でも雪がちらつくことがあります。

雪が降りやすい条件は?

雪が降るために地上の気温が低いことが大切だと説明しました。しかし、気温が低くても雪が降らないことがあります。雪が降りやすくなる条件をご紹介します。

気温が低い

氷が水になる温度は0度だと学校で習った人もいるでしょう。しかし、気温が0度より高くても、雪は溶けずに降り続けることがあります。具体的にいうと、日本海側では2~3度以下、太平洋側だと1~2度以下であれば雪が降るといわれています。この気温よりも高い場合には、雪は地上に降りてくる前に解けて雨やみぞれになるでしょう。

湿度が低い

湿度が低いことも、雪が降る条件の1つです。雪が降ってくる間に溶けたとしても、途中の湿度が低ければ再度蒸発する可能性があるからです。水は蒸発するときにまわりの空気を冷やす性質があります。蒸発によって空気が冷やされると、あとから降ってきた雪が溶けないで地上に降ってくるようになります。

上空の空気が冷たい

上空の空気が冷たくなければ、雪は降りません。一般的に地上1,500メートル地点の気温がマイナス6度以下であれば、雪が降ると考えられています。しかし、乾燥していることの多い太平洋側の場合、マイナス3度であっても雪が降ることがあります。また、大雪になるかどうかの基準は、5,500メートルの気温がマイナス36度以下です。

このように、地上付近の気温や湿度、上空の空気の温度などの条件によって、雪が降るかどうかは決まります。

日本海側と太平洋側では雪の降り方が違う?

日本では日本海側と太平洋側で雪の降る量が大きく異なります。北海道から中国地方までの日本海側では、毎年たくさんの雪が降り「豪雪地帯」と呼ばれています。積雪が多くスキー場がたくさんあるのも、日本海側です。

日本海側の冬は雪が多く降る

日本海側に雪が多く降るのは、冬にシベリアや中国といった北西から吹く非常に冷たくて乾燥した風が影響しています。中国大陸から吹いてきた風は、温かい日本海を通るときに水蒸気を取り込み、雪を降らせる雲を発達させます。この雲が北海道や本州の中央を通る高い山にぶつかることで、山沿いの地域を中心にたくさんの雪が降ることになります。

太平洋側の冬は乾燥した晴れの日が多い

太平洋側の冬は日本海側とは違い、晴れて乾燥している日が多くなります。雪を降らせる雲は標高の高い山々にぶつかったあと、水分を含まない空気になって太平洋側に吹いてくるからです。ただし、太平洋側でもまれに雪が降ることがあります。「南岸低気圧」と呼ばれる低気圧が太平洋の南沿岸を通過するときは、太平洋側にある首都圏でも降雪が観測されます。

【実験】雪の結晶を作ってみよう!

雪があまり降らない地域に住んでいる場合、雪の結晶を間近に見たことがない人も多いでしょう。実は道具を準備すれば「人工雪発生装置」を作成でき、夏でも自宅や学校で雪の結晶を作ることが可能です。コツをつかめばできるので、雪を作って観察してみましょう。

用意するもの

● 500ミリリットルのペットボトル(表面に凹凸のない炭酸飲料用のものが良い)
● ゴム栓(6号サイズ)
● 釣り糸60センチメートル(直径0.1ミリメートル以下のもの)
● 発泡スチロールの箱(ふた付き)
● 消しゴム
● ドライアイス1~1.5キログラム
● 軍手
● カッターナイフ
● ホチキス

実験の手順

1. 発泡スチロールの箱のふたをカッターナイフで切って、ペットボトルの直径と同じサイズの穴を開ける
2. ペットボトルに入るサイズに消しゴムを切る
3. 消しゴムにカッターナイフで切り込みを入れて釣り糸を通し、ホチキスの針で固定する
4. ペットボトルに水を少し入れてよく振り、水を捨てる
5. ペットボトルに息を何度か吹き込む
6. 消しゴムをペットボトルに入れ、底につく位置で釣り糸が平行になったら、ゴム栓をして固定する
7. 発泡スチロールの箱の中央にペットボトルを立てて、まわりにドライアイスをしきつめる
8. 箱のふたをして、斜め上からペットボトルの中を観察する

実験と観察のコツ

雪の結晶は繊細なので、装置を少し動かしただけでも崩れてしまいます。観察するときは箱の外からそっとのぞくようにしましょう。
今回の実験で行われたように、気体(水蒸気)が直接固体(雪の結晶)になることを「昇華(しょうか)」といいます。昇華するときの条件や時間の経過によって、結晶の形が変わってきます。結晶の形に注目して観察をしてみましょう。

雪の結晶を作る際の注意点

雪の結晶を作るのに必要なドライアイスは、素手で触るとやけどをする可能性があります。ドライアイスを触るときは、軍手を着用してください。また、ドライアイスから発生するガスを吸い込むと危険なので、換気をしっかりしましょう。

雪が降る温度は条件によって異なる!冬の天気予報に注目してみよう

雪が降るためには、気温や湿度などさまざまな条件が必要です。日本の気象を見てみると、冬の日本海側には雪が降る条件がそろっています。一方、日本海側で雪が降ったあとの空気が流れてくる太平洋側では、晴れて乾燥する日が続きます。雪がめったに降らない太平洋側に住んでいる人は、雪の予報が出ると嬉しくなるかもしれません。

しかし、雪になれていない地域で降雪があると、交通が混乱する恐れもあります。気象庁では上空の気温や寒気予想も発表しています。雪が降る条件である「上空1,500メートルの気温、マイナス6度」や大雪の恐れがある「上空5,500メートルの気温、マイナス36度」に注目しながら、天気予報をチェックしてはいかがでしょうか。

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