海の水には塩が含まれています。その塩の濃さ(塩分濃度)は世界中どこでも同じだと思いますか?実は、場所や季節によって違いがあるのです。 この記事では、世界の海の塩分濃度の違いや、日本付近の海の特徴をわかりやすく解説します。海水の塩分濃度を知ることで、地球環境の変化や海の生き物の暮らしについて、もっと深く考えるきっかけになるかもしれません。
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この記事のもくじ
海水の塩分濃度ってどのくらい?

海の水はしょっぱいですが、その塩の濃さは場所や気候によって少しずつ変わります。
では、海水の塩分濃度はどのように変化するのでしょうか。また、塩以外にはどんな成分が含まれているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
・海水の塩分濃度は約3.4%
海水の塩分濃度は、平均して約3.4%です。これは、1リットルの海水に約34グラムの塩が含まれていることを意味します。
ただし、塩分濃度はどこでも同じではありません。場所によって約3.1%~3.8%の範囲で変化します。この違いは、気温や降水量、河川の水、海流の影響など、さまざまな要因によって生まれます。
では、塩分濃度が高い海と低い海にはどのような特徴があるのでしょうか。これについては、別の章で詳しく説明します。
・海水に含まれる塩以外の成分って?
「海水=塩水」と思われがちですが、実は塩以外にもさまざまな成分が含まれています。
海水の主な成分は塩化ナトリウム(食塩)ですが、それだけではありません。マグネシウム、カルシウム、カリウムなどのミネラルも溶け込んでおり、海の生き物の成長を助けたり、水のバランスを保ったりする役割を果たしています。
さらに、海水には鉄や亜鉛などの微量元素も含まれています。これらは植物プランクトンの成長に必要な栄養分です。また、海の生き物が呼吸するための酸素や、地球の気候に関係する二酸化炭素も溶け込んでいます。
このように、海水は単なる塩水ではなく、さまざまな成分が絶妙なバランスで混ざり合っています。そのおかげで、多くの生き物が暮らせる環境が保たれているのです。
海水の塩分濃度は季節や地域によって変わる?

海水の塩分濃度は、場所や季節によって変化します。また、海流の動きや地形も影響し、世界の海の塩分濃度はどこでも同じというわけではありません。では、塩分濃度が変わる理由について詳しく見ていきましょう。
・海域によって塩分濃度が変化する理由
海水の塩分濃度が地域ごとに異なるのは、自然環境の影響を受けるからです。
たとえば、
*気温が高い地域:海水がどんどん蒸発し、水分が減るため塩分が濃くなります。
*気温が低い地域:海水が凍ると塩分が水に残るため、周辺の塩分濃度が上がります。
逆に、氷が溶けると淡水が加わり、塩分濃度が下がります。
*雨が多い地域:海に流れ込む雨水が増えることで塩分濃度が下がります。
*川が流れ込む場所:大量の淡水が混ざるため、海水が薄まり塩分濃度が低くなります。
*海流の影響:異なる塩分濃度の海水が運ばれ、地域によって変化が生じます。
このように、気温、降水量、川の流れ、海流、氷の影響が重なり合うことで、世界中の海で塩分濃度の違いが生まれています。
・海水の塩分濃度が高い地域の特徴
塩分濃度が特に高い地域には、いくつかの共通点があります。そのひとつが、気温が高く乾燥していることです。
暑い地域では、海水がどんどん蒸発し、水だけが空へと上がっていきます。そのため、海に残る塩分の割合が増え、塩分濃度が高くなるのです。
たとえば、紅海やペルシャ湾は気温が高く、蒸発量が多いため、塩分濃度が高いことで知られています。また、内陸の塩湖では、水が川や海へ流れ出ることがなく、蒸発だけが進むため、普通の海水よりも塩分濃度が高くなることがあります。
このように、乾燥した地域や水の流れが少ない場所では、海水の塩分濃度が高くなる傾向があります。
・海水の塩分濃度が低い地域の特徴
気温が低く、雨や雪が多い地域では、海水の塩分濃度が低くなる傾向があります。また、川の水や氷が溶けた水(淡水)の影響を強く受ける場所でも、海水が薄まり塩分濃度が下がります。特に、大きな川が流れ込む場所では、淡水が海水を薄めるため、塩分濃度が低くなりやすいです。たとえば、アラスカやシベリア沿岸では、川の水と氷が溶ける影響で塩分濃度が低く、バルト海では、多くの川が流れ込み、一般的な海よりも塩分濃度が低くなっています。
このように、寒い地域や淡水がたくさん流れ込む場所では、海水の塩分濃度が低くなるのです。
日本付近の海水の特徴は?

日本のまわりの海は、地形や海流の影響を強く受けています。日本列島は太平洋と日本海の間にあり、四季の変化も海の性質に関係しているからです。そのため、海の塩分や温度は季節ごとに変わりやすく、さまざまな生き物が暮らせる環境が生まれています。
日本の近くには、南から流れる暖かい黒潮と、北から流れる冷たい親潮があります。黒潮が流れる太平洋側は、塩分濃度がやや高めです。一方、親潮が流れる地域は塩分濃度が低めで、これらの海流が交わることで、多様な環境が広がっています。
また、季節によっても塩分濃度は変わります。梅雨や台風の時期は雨が多く、海水が薄まりやすくなります。乾燥した季節には海水が蒸発し、塩分濃度がやや高くなることもあります。
このように、日本の海は地形や海流、季節の変化によって、それぞれの地域で異なる特徴を持っています。こうした環境が、日本ならではの豊かな海を生み出しているのです。
海水の塩分濃度が変化したら地球にどんな影響がある?

海水の塩分濃度は、地球の気候や生き物の暮らしに関わっています。塩分のバランスが崩れると、海の流れ(海洋循環)が変わり、気候にも影響が出る可能性があります。また、海の生き物にとっても、塩分濃度の変化は生きる環境の変化につながる重要な要素です。
近年、海水の塩分濃度が上昇していることがわかっています。その大きな原因のひとつが地球温暖化です。気温が上がると海水の蒸発が増え、水分が減るため、塩分が濃くなります。
塩分濃度が高くなると、塩分の変化に敏感な生き物は生息地を移動したり、数が減ったりする可能性があるでしょう。
たとえば、サンゴ礁は塩分濃度の変化に弱く、白化現象を引き起こすことがあります。サンゴが減ると、それを住みかにする生き物にも影響が及ぶかもしれません。
このように、海水の塩分濃度の変化は、海の生き物や気候だけでなく、人間の生活にも関わる問題です。
海水の塩分濃度の変化は海の生き物たちに影響する!
この記事では、海水の塩分濃度が地域や季節によって変わること、日本付近の海の特徴、環境への影響について解説しました。
海水の塩分濃度の変化は、海の生き物にとって重要な問題です。この変化を抑え、健全な海の環境を守るために、私たち1人ひとりの行動も大切です。
今後、研究が進むことで、海水の塩分濃度の変化がどのような影響をもたらすのかが、さらに明らかになるでしょう。また、地球温暖化を防ぐために国際的な協力を通じて、効果的な環境保護が求められています。
海は地球にとって大切な資源です。私たちが意識を持ち、できることから行動することが、未来の海を守ることにつながるでしょう。