「もし、まわりの音がぜんぶドレミで聞こえたら?」そんなふうに考えたことはありますか。実は、音を聞いただけで「これはド」「これはミ」と音の名前がわかる人がいます。この特別な能力を絶対音感(ぜったいおんかん)といいます。 絶対音感があると、音楽を楽しむのにとても便利ですが、日常生活ではちょっと大変なこともあるようです。この記事では絶対音感とはどういうものか、メリットや少し困ることなどを紹介します。ぜひ、最後まで読んでみてくださいね。
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この記事のもくじ
絶対音感ってどんなこと?

普段、私たちはまわりの音を「ただの音」として聞いています。しかし、絶対音感を持つ人にとっては、聞こえる音全てがドレミのように感じられます。では、絶対音感を持つ人は、日常の音をどのように聞いているのでしょうか?
絶対音感は聞いただけで何の音か分かる力
絶対音感を持つ人は、音を聞くだけでその高さ(音程)をすぐに見分けることができます。たとえば、ラジオで流れる音楽を聞いて、「これはド」「これはソ」とすぐに判断できるそうです。そして、楽譜がなくても、ピアノなどの楽器で同じメロディーを再現できることもあります。また、日常のいろいろな音もドレミとして聞こえます。学校のチャイムや電子音、車のクラクションの音などが、ただの「音」ではなく「ミ」や「ファ♯」のように聞こえるのです。
絶対音感と相対音感の違い
音を聞いて認識する力には、「絶対音感」と「相対音感」の2つがあります。
絶対音感は、どんな音でも単独で聞くだけで「ド」「レ」「ミ」などの音名がわかる能力です。たとえば、ピアノの音を聞いて「これはラ」とすぐに判断できます。
相対音感は、ある基準となる音を聞いた後、その音とくらべて「次の音がどれくらい高いか、低いか」を判断する能力です。たとえば、最初に「ド」を聞いて、そのあとに「ミ」を聞いたとき、「ドより3つ高い音だからミだ」と考えます。
音楽を演奏したり、歌ったりするときには、相対音感がとても重要になります。絶対音感がなくても、相対音感を身に付けることで、楽器を弾くときや歌うときに音を正しくとらえられるようになるでしょう。では、絶対音感や相対音感を身に付けるには、どんな練習をすればよいのでしょうか?
絶対音感や相対音感はトレーニングで身につく?

絶対音感と相対音感は、生まれつきのものなのでしょうか。それとも、トレーニングで身につけることができるのでしょうか。ここでは、絶対音感と相対音感がどのように身につくのかを詳しく見ていきます。
絶対音感は子どもの頃に身につける人が多い
絶対音感を持つ人の多くは、子どもの頃にこの能力を身につけています。特に幼児期は、脳が柔軟で音に対する感受性が高い時期です。この時期に音楽のトレーニングを始めると、音を正確に捉える力がつきやすくなります。
たとえば、ピアノやバイオリンなどの楽器のレッスンを幼い頃から受けると、音に敏感になり、音階(ドレミファソラシド)を覚えるのが早くなります。音楽を通じて「音の高さ」や「違い」を感じる力が育まれ、絶対音感を得やすくなるのです。
結論として、絶対音感は子どものうちにトレーニングを始めることで、より早く身につけやすい能力だと言えます。そのため、幼い頃から音楽に触れることが、絶対音感を育てる大切なポイントになります。
相対音感は大人になってからでも!
一方で、相対音感は大人になってからでも身につけることができます。相対音感は、音と音の「間隔」を感じ取る能力です。この能力は、年齢に関係なく、練習をすれば上達できます。では、どんな練習をすればよいのでしょうか?
*ドとミ、ソとレなど、音の間隔を意識して歌う
ピアノやキーボードなどを使って、「この音の次はどれくらい高い(低い)かな?」と考えながら歌ってみると、音程の違いを感じやすくなります。
*好きな曲を耳で聞いて、音をまねして歌ってみる
最初は1つのフレーズだけでもOK!少しずつ音の流れを覚えて、どの音が高いか低いかを意識すると、相対音感がきたえられます。
*知っている曲のメロディーを、違う音から歌い始めてみる
たとえば、「きらきら星」をいつもの「ド」ではなく「ソ」から歌うなど、スタートの音を変えて歌う練習をすると、音の間隔をより意識できるようになります。
このように、相対音感は練習を続けることで強化できる能力なので、大人になってからでもコツコツ練習すれば、演奏や歌のスキルも向上します。
実際、多くの音楽家がこの能力を活かして日々の練習を行っています。相対音感を身に付けたい方はまず、できることからチャレンジしてみましょう。
絶対音感があるといいこと・困ること

絶対音感を持つと、音楽を楽しむうえで良いことがたくさんあります。しかし、一方で少し大変なこともあるようです。ここでは、絶対音感のメリットと困る点について説明します。
【いいこと】音程をはずしにくい
絶対音感があると、音を正確に聞き取れるため、歌や楽器の演奏で音程を外しにくくなります。
たとえば、合唱で歌うとき、正しい音をすぐに判断できるので、周りの人に影響されずに安定した音程で歌うことができます。
また、楽器を演奏するときも、音のズレにすぐ気づけるので、楽器のチューニング(音の調整)がしやすいです。ピアノやギターの音が少しズレていても、「いつもと違うな。」と気づけるため、正しい音で演奏することができます。
このように、絶対音感があると音楽のクオリティを高めることができ、プロの演奏家はもちろん、趣味で音楽を楽しむ人にとっても大きなメリットになります。
【困ること】いろんな音が気になってしまう
一方で、絶対音感があると日常生活の音が気になりすぎてしまうことがあるようです。
たとえば、電車の音やドアの開閉音、時計の針の音など、普段なら気にしないような音も 「ド」「レ」「ミ」などの音階として聞こえてしまうことがあります。そのため、静かな場所でもいろいろな音が耳に入ってきて、集中できなくなることがあるのです。
また、音楽を聴くときに演奏のズレが気になりすぎることもあります。たとえば、好きなアーティストのライブを楽しんでいても、「あれ?今ちょっと音がズレたかもしれない。」と気になってしまい、音楽を楽しめなくなることも。
このように、絶対音感があることで音に敏感になりすぎてしまうのが、少し困る点だと言えます。
絶対音感がなくても音楽はできる?

「音楽をするなら絶対音感が必要?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
音楽で大切なのは、音をどう感じて、どのように表現するかです。絶対音感がなくても、メロディーやハーモニーを理解して演奏できますし、演奏技術や表現力を磨けば、音楽の素晴しさをしっかりと伝えられます。
実際に、プロのミュージシャンでも絶対音感を持っていない人はたくさんいます。それでも多くのミュージシャンが、素晴らしい音楽を作り、世界中の人を感動させています。音楽は、技術だけでなく、気持ちや創造力も大切です。
ですから、絶対音感がなくても心配いりません。好きな音楽を聴いたり、歌ったり、楽器を弾いたりしながら、音楽を楽しんでくださいね。
絶対音感を知って音楽の世界をもっと広げよう!
私たちのまわりには、いろいろな音があふれています。楽器の音や歌声、学校のチャイムや車のクラクションも、すべてが新しい音楽へとつながっているかもしれません。
「この音、なんだろう?」と耳をすませたり、楽器でいろんな音を出してみたり、好きな音楽を口ずさんでみたり…。そんな小さなことから、音の世界はどんどん広がっていきます。
絶対音感があってもなくても、音楽は誰でも楽しめるもの。大切なのは、自分なりの音の感じ方を見つけて、音楽を楽しむことです。聴いて、歌って、弾いて、感じて――新しい音の発見をしてみてください。音楽の世界には、きっとワクワクすることがたくさん待っていますよ。