紙の作り方|自由研究にもおすすめ!自宅で行う紙すき体験
公開日: 2022/11/30
身の回りには紙がたくさんあります。学校で使う教科書やノート、新聞紙や雑誌、キッチンペーパー、トイレットペーパーやティッシュペーパーなど種類もさまざまです。これらの紙は、何からどうやって作られているか知っていますか。この記事で紙の原料や製造方法を学び、自宅でも紙を作ってみましょう!
- 目次
- 紙は何から作られているの?
- 紙の作り方は?
- 和紙の作り方
- 【自由研究にもおすすめ!】牛乳パックを使った紙の作り方
- 【自由研究にもおすすめ!】植物を使った紙の作り方
- 紙づくり体験で環境問題について考えよう
紙は何から作られているの?
紙は、おもに木材や古紙から作られています。紙の原料となる木材には、モミやマツ、スギ、ヒノキなどの針葉樹と、ユーカリ、ポプラ、アカシア、カシなどの広葉樹があります。針葉樹は含まれる繊維が長いため強度が高く、広葉樹は繊維が短く強度は針葉樹に劣りますが、きめが細かいというそれぞれの特徴があり、作る紙の目的に合うようバランスよく配合して利用されています。木材は細かく砕いて「木材チップ」と呼ばれる木片にして、原料に使われます。木材チップには、丸太から角材や板材などの製材を取った残りや、製材に使えない細い木や曲がった木、間伐材などが有効利用されています。環境にやさしい紙の原料として、バナナの茎や「バガス」があります。バナナの茎はバナナを収穫するときに捨てられる部分です。バガスとは、サトウキビの搾りかすです。とくにバガスは紙の製造過程で高温高圧処理する必要がないため、エコな原料として注目されています。その他、ガラス繊維を使ったガラスペーパーや、セラミック繊維を使った燃えにくいセラミックペーパー、炭酸カルシウムを主成分とするストーンペーパー、ポリプロピレン樹脂から作られるユポ紙など、さまざまな原料の紙があります。また日本では古紙回収率が高く、古紙を再利用する技術開発も進んでいるため、現在、紙の原料の約6割が古紙です。
紙の作り方は?
工場で紙を作る工程には、大きく分けてパルプ(紙を作るもととなる繊維)を作る工程とパルプから紙を作る工程の二つがあります。《パルプを作る》1,まず、木材から繊維を取り出すために、木材と薬品を高温高圧の釜で煮込んで、木材に含まれる「リグニン」を溶かします。リグニンとは、木材の成分同士をくっつける接着剤の役割をしている物質です。リグニンを溶かして繊維をばらばらにして取り出します。2.釜で煮込んだあとは、異物を洗い流して除去し、漂白、洗浄の過程をへれば白いパルプが出来上がります。《パルプから紙を作る》3.出来上がったパルプを機械で切りほぐしたり押しつぶしたりしてけば立たせ、繊維同士を結合しやすくします。4.薬品を加えてパルプを強くしてから、繊維を均一に広げるために紙すきの工程に入ります。紙をすく網の「ワイヤー」の上に乗せて機械で紙をすきます。この工程で、プレスロールで挟んで水分を取り、さらに熱で乾燥させます。5.塗料を塗るなど表面を滑らかにする加工を施し、カッターで均等な大きさにカットして完成です。
和紙の作り方
ノートやコピー用紙など、身の回りで使われている紙のほとんどは、工場で大量生産されている「洋紙」です。これに対し、日本で伝統的に作られている「和紙」は、原料や作り方の工程が上記とは異なります。和紙の原料は、楮(こうぞ)、雁皮(がんぴ)、三椏(みつまた)などの落葉低木の皮です。また、同じ和紙でも産地によって作り方が違います。《伝統的な和紙の作り方》1.材料となる植物を蒸し釜で蒸します。2.蒸した植物の皮をはぎます。はいだ皮を「黒皮」といい、これが和紙の原料になります。黒皮は水に浸しておきます。3.柔らかくなった黒皮の表面を削ります。ここから「白皮」と呼ばれます。4.アルカリの溶液を入れて煮込み、リグニンを除去します。5.ごみなどの不純物を手で取り除きます。底に細かい穴の開いた水槽を使うこともあります。6.皮を打ち棒でたたいて繊維をほぐします。7.繊維をほぐした原料を、水とネリ(繊維を分散させるためのねばり気のある液体)と一緒にすき舟(紙をすくための水槽)に入れ、「簀桁(すけた)」ですくって縦横に揺らし、紙を一枚ずつすきます。簀桁は木の枠に竹ひごで編んだすだれのような「す」をはめた道具です。8.すいた紙を圧搾機などでゆっくり水をしぼり、木の板に張って天日で乾燥させれば完成です。
【自由研究にもおすすめ!】牛乳パックを使った紙の作り方
牛乳パックを使って、再生紙を作ってみましょう。《用意するもの》・1リットルの牛乳パック1個(ポストカードが3枚作れます)・食品トレイ2個・不織布性の水切りごみ袋・はさみ・カッター・ミキサー・食品トレイよりも大きい容器・タオル《作り方》1. 牛乳パックを洗い、適当な大きさに切って、大きめの容器で2~3日水につけておきます。時間がない場合は、なべで15分程度煮ればOKです。2. 牛乳パックに十分水がしみ込んだら、牛乳パックの外側と内側についているシートをはがして紙だけにします。3. 紙をすく枠(すけた)を作ります。まずは、食品トレイの底をカッターやはさみで切り抜いて枠を2つ作りましょう。4. 2つの枠のあいだに適当な大きさに切った不織布の水切りごみ袋をしっかり広げてはさみます。これで紙をすく枠ができました。5. 2を少しずつミキサーに入れ、水をミキサーの半分から3分の2くらいまで加えて、どろどろになるまでミキサーにかけます。2をたくさん入れるとミキサーが壊れる可能性があるので注意してください。6. 5を容器に入れて、枠ですくえるくらいになるまで水を足します。枠を使って、紙の厚さが均一になるように縦横に揺らしながら、紙をすきます。7. 枠を外して、紙が下になるようにして不織布ごとタオルに乗せます。不織布をゆっくりはずして、タオルで押さえて水気を取ります。8. 水気が切れたらガラス窓に張って、乾燥したら完成です。
【自由研究にもおすすめ!】植物を使った紙の作り方
植物を原料とした紙づくりにトライしてみましょう。《用意するもの》・原料にする植物(イネ科や水草、イヌビワ、クワなどがおすすめ)・紙すき枠(牛乳パックで再生紙を作ったときと同じやり方で紙すき枠を用意します。)・重曹・漂白剤・洗濯のり・ミキサー・紙すき枠よりも大きい容器・新聞紙・木綿の布・板・おもし《作り方》1. 植物は適当な大きさに切って水洗いします。木や堅い草は皮をはいで使います。2. 1.で準備した植物をアルカリ水溶液で2時間から6時間、やわらかくなるまで煮ます。アルカリ水溶液は、水1リットルに重曹100グラムを溶かしたものです。水で洗った植物に指で触ったとき皮がばらばらになるくらいが目安です。3. さっと水で洗って、漂白剤の入った水に一晩つけておきます。4. 水洗いして、水と一緒にミキサーにかけます。このとき洗濯のりも少し加えるとよいでしょう。5. 紙すき枠で紙をすきます。6. 水を切って、新聞紙、木綿の布、紙、木綿の布、新聞紙の順に重ね、一番上に板を置いて重しをのせます。新聞紙は時々交換しましょう。紙が乾燥したら完成です。※アルカリ水溶液は取り扱いに注意してください。
紙づくり体験で環境問題について考えよう
牛乳パックから再生紙を作る自由研究ではリサイクルの仕組みについて、雑草などの植物から紙を作る体験では、非木材から紙を作ることで森を守る取り組みや日本の和紙作りについて学ぶことができます。出来上がった紙は、はがきや名刺などに利用してみてくださいね。